見出し画像

旅行に使えるフランス語①

フランス在住、香田有絵です。
2024年夏は「パリ、オリンピック&パラリンピック」が開催されます。
この機会にフランスを旅行しようという方も多いでしょう。
テレビでフランスの様子を目にする機会も増えますね。

そこでフランスをより楽しんでいただけるようなことも、ぼちぼち書いていきたいと思います。

第一回は旅行に使えるフランス語その1です。

まずは、フランスで楽しく過ごすためのフランス語3原則から。

1)旅行のフランス語・3原則

1.第一の原則「フランス語力より、コミュニケーション力」


この後いくつかのフランス語を紹介していきますが、大事なのは言葉より、「人としてのあり方」です。

ちょっとした旅行のためならば、わざわざ難しい言葉を覚える必要はありません。基本的には英語で通して大丈夫です。
フランス語を話さないと無視されるというのは昔の話。
言葉にナーバスにならず、リラックスして旅を楽しんでください。
大丈夫。少ない言葉で、結構楽しめますから。

ところで昔だって、わざと英語を知らないふりをしていたわけではないのだと思います。

想像してみてください。昔の東京に外国人が来て、英語でぺらぺら話したとします。英語のわからない江戸っ子が、「てやんでえ、こちとら江戸っ子でい。日本に来るんだったら、日本語話しやがれ」と言ったって不思議ではありませんよね。
フランス人だって、英語がわからなくて、悔しかったのかも。

へりくだる必要も、上から目線も必要なし。感じの良い大人でいましょう。

2.第二の原則「知っている言葉より、使える言葉」

あなたがたくさんのフランス語を知っていることは外からは見えないですし、大抵のフランス人はあなたが知っている言葉の数に興味ありません。
それより、適切な場所で使えることが大事。

少ない言葉だけでも、咄嗟にぱっと口をついて出るくらいまで、声に出して繰り返し練習しておきましょう。

どのくらい練習すればいいかですって? 日本の街中でも、思わずフランス語が出ちゃうくらいまで、です。きっと楽しいですよ。

3.第三の原則「感じがよいとは、間を空けないこと」

パリ街角のカフェで「ご注文は?」と聞いているだろうお店の方に対して、「何と言ったら一番ちゃんとしたフランス語だろうか、ちゃんと発音できるだろうか」などと躊躇していても、あなたの心の中は相手に見えません。
「無表情でこちらをにらんで、何か言葉を発しようとしているけれど、こちらの言いたいことがわかっているのかどうかもわからない怪しい人」と見えてしまします。

逆の立場でもそうですよね。
日本の喫茶店でこちらが忙しいのに「あのー、失礼ですが、すみませんが、わたくしにお紅茶を一杯いただけますでしょうか」(紅茶に「お」をつけるのだったかなあどうかなあ。先生が話していたけれど、どっちだったっけ)などと考えながら、立派な日本語を話そうと考えるあまりずっと無言でいられるより、さっと「紅茶、お願いします」とにっこり言われた方が、話が早い。

心にゆとりを持って使えるフランス語だけ覚えましょう。


以上が3原則です。
それを踏まえて、準備はよろしいですか?

それでは、必要なフランス語を覚えていきましょう。

2)旅行に使えるフランス語

今日覚えていただきたいのは、たった3表現です。
でもこれだけでも、知ると知らないとでは、フランス旅行が違うものになるはず。

1.一番大事なフランス語

まずは挨拶。「ボンジュール」。意味は「こんにちは」です。

そんなこと知ってるですって?本当ですか?適切に使えますか?
使えてない人が本当に多いのですけれど、自信を持って大丈夫と言えますか?

フランスでは、「ボンジュール」なしに、何もはじまりません。

日本の習慣では、ブティックや喫茶店に入るとき、スーパーのレジで、こちらからお店の方に「こんにちは」と挨拶しなくてもそれで済んでしまいますよね。こちらが何も言わなくても「いらっしゃいませ」とお店の方から言ってくれ、黙っていても物事は進みます。

でもフランスでは、挨拶しないのはNG行為です。
相手を人としてみなしていないくらいに失礼な行為です。

でも、そのことに気が付かない人が多いんです。
だって、もしあなたがボンジュールと言わなくても、「あなたはボンジュールと言わなかった」と面と向かって非難してくれる人はいないですから。
挨拶をするのは当たり前だから、常識だから。
そして「アジア人に侮辱された」と感じたフランス人が機嫌を損ね、ぞんざいな態度を取る。あなたは意味がわからず差別されたと感じる。
そんな展開が実際あるのです。

そんな不幸な事態を招かないために、何はなくても「ボンジュール」です。

ちなみにこの最後のルをオレンジで書いたのは、Rの発音だからです。
Rは喉の奥でハ行を言うような感じ。でも、これが違っても大丈夫。
英語圏の人も、フランス語のRは得意ではありません。
「ボ・ジュ」くらいでも、ボンジュールと聞こえますので、安心してどんどん言いましょう。言って損なし!

ちなみに、「こんばんは」に当たる言葉(Bonsoir)もありますが、まだ覚える必要ありません。フランスの夏は21時過ぎても明るく、フランス人でも今どの挨拶が正しいかわからなかったりします。迷って間が空くよりはボンジュールと言ってしまうのが正解です。

2.一言付け加えるだけで丁寧語になる便利表現

英語のPleaseに当たる言葉です。

カフェで飲み物を注文するときも、タクシーで行き先を伝えるときも、美術館でチケットを買う時も、自分が欲しいものに、S'il vous plaîtとつけるだけで、意味が伝わり、丁寧な表現になります。

それぞれまずはボンジュールを言ってから、

①カフェで
Un Café au lait, s'il vous plaît(アン・カフェオレ、スィル・ヴ・プレ).
これでカフェオレを注文できます。

②パン屋さんで
Un croissant, s'il vous plaît(アン・クロワッサン、スィル・ヴ・プレ).
クロワッサンが買えます(サンは実際にはソンに近い音ですが通じます)。

③タクシーで(住所を見せながら)
L'hôtel 〇〇, s'il vous plaît(ロテル〇〇、スィル・ヴ・プレ).
ホテルまで行ってくれます。

④美術館で
Une adulte, s'il vous plaît(ユヌ・アデュルト、スィル・ヴ・プレ).
とっさにわからなくてOne Ticketと言ってしまっても、大丈夫。
言ってから、S'il vous plaîtと付け足しておけば感じがいいです。

3.感謝を伝えるのを忘れずに

何かしてもらったら、そのたびに感謝を伝えましょう。

旅行中は見知らぬ土地で、何かと人にお世話になることが多いものです。
お店でも、カフェでも、ホテルでも、観光地でも、何かをしてもらったら「ありがとう」を伝えましょう。

「お客様」と「店員さん」という関係でも、お互い対等な人間であることをお忘れなく。
お店の方に「ありがとうございました」と言われて、うんとうなずくだけみたいなのは、失礼です。
特に男性は言いすぎくらいでちょうどいいですから、とにかく言いましょう。

MerciもRが入っているので、オレンジを使って書いてみました。ルをのどの奥で言う感じ。

Merciだけでも通じます。が、せっかくなので、Merci beaucoupをセットで覚えておきましょう。口先だけでなく、心がこもっている感じがします。

似たような表現でMerci bien.というのがあって、バリエーションを増やすためにか使ってしまう方があるのですが、お薦めできません。ちょっとかっこよく聞こえたりもするものの、丁寧具合と感謝具合が「減った」表現なのです。
日本語で言うと気さくに「ありがとねー」や「ありがとよ!」みたいな感じです。フランス人によっては「Merci具合が減った感じ」と言います。相手を軽んじているような、「大したことじゃないけどね」というような感じがあるのだとか。旅行では避けた方が無難です。

今日は3原則と3表現をご紹介しました。
Bonjour.
S'il vous plâit.
Merci beaucoup.
旅行中は一日中使いまくる言葉ですから、癖になるほど練習してみてください。

それでは、また次回に!









いいなと思ったら応援しよう!