【新年度と収穫と秋の到来】-フランスの9月
1.新年度
9月は新年度のはじまり。
新年度初日の風物詩はスーパーの大混雑だ。
先生は初日に必要な文具などを発表する。
子供たちは、親に連れられ、みんなスーパーの文房具売り場に行く。
必要とされるものは先生によって違うから、新年度にならないと何を買ったらいいのかわからない。
指定のノート、指定の線引き、指定のペンなどなど。
スーパー前の大渋滞を見て、ああ今年も新年度が来たと思うのだ。
2.収穫
8月から始まることもあるけれど、ブドウの収穫はたいてい9月。
収獲は喜びの季節。
一年無事にブドウが育った喜び。労力の果実を手にすることができる。
シャンパーニュのブドウは機械を使わないので(鋏は使います)、収穫人を雇う必要がある。
国内だけで収穫人を雇うことは難しくなり、ルーマニアやポーランドなどから人が雇われる。
以前は生産者が自分の敷地内に収穫人を泊めて寝床や食事を振舞っていたらしい。
けれども収穫人の待遇を改善するために、寝室は何㎡に何人まで、シャワーは何人に1つなど宿泊させる条件が厳しくなった。
たった2週間のためにその条件を満たす施設を作れる生産者はほとんどいない。
よって、収穫人には自分で宿泊施設を用意してもらうか、キャンピングカーで来てもらうことになった。すると今度はそんな余裕のある収穫人がいない。
キャンピングカーで来られるのは、もともとそういう生活をしているジプシーくらい。
それで結局、人集めを請け負ってくれる仲介人に任せることになる。
それで状況が改善されているかというと、
仲介人が間に入って多くのお金を取り、宿泊は片道に1時間半かかることもあり、雇い主と収穫人との物理的・心理的距離が広がったように見える。
収獲人は朝4時に起きてバスに揺られブドウ畑に向かい、仕事が終わっても一息つくまもなくバスに揺られ宿泊施設に着く。それから夕食だ。
以前なら、収穫時間が伸びたら、生産者が気を使って食事を増やしたり、ワインを出したりしてねぎらうことができた。一緒に話すこともできた。
でも今は、そんなことはできない。
収穫人たちは一刻も早くそこを立ち去って宿泊施設に帰りたいのだ。
もちろん、かつても良い生産者ばかりでもなかっただろうし、2週間の宿泊条件が悪かったところもあるだろう。でも改善されたといえるのか、疑問だ。
牧歌的な日々は終わった、ということだろう。
3.秋の到来
木々が色づき始めることもあるけれど、フランスで秋を感じるのは、日の短さだ。
夜の11時近くまで明るかった日々は遠い。
夏至は日の出から日没まで16時間以上あったのが、9月はじめには13時間半、終わりには11時間45分くらいとなる。
日に日に肌で陽が短くなるのを感じる。
そして考えるのだ。もうすぐ冬時間がやってくると。
東京だって夏至と冬至では日照時間が5時間も違う。
だけれど、フランスは夏時間を設けているため、夏はやけに日が長いのだ。
それに寒くなるのが早い。9月には朝晩気温が一桁になる日もある。
天気が悪い日も出て来る。
なんとなく悲観的な方向に心を持って行かれそうになる。
まとめ
ちょっと悲観的になるフランスの9月。
でも大丈夫。
収獲されたブドウはもうすぐワインになるし、きのこなど美味しい食べ物も、もうすぐ食べられる。
ただどんどん日が短くなり、朝晩の気温が15℃以上も違う日々は、意外と体に響くのだ。
夏休みどうだった?来年の夏休みどうする?クリスマスはどんな予定?
なんとか楽しみを見つけようとする、それがフランスの9月だ。
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