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2021年、見たかったのに見逃した映画

ベストテンを挙げるようなことをしたことがありません。今年はやってみようかなと思ったのですが、劇場で見た作品が(覚えている限り)75本、そのうち初公開も含む旧作が29本(10本はシリーズ物)、配信で見た新作が6本。新作は52本しか見ていないことになります。その中から選べるのかな…

とりあえずその前に、見たかったし「気になる作品」としてリストアップしていたにも関わらず見られなかった作品を挙げて見ます。意味があるかどうかは別として…

『DUNE デューン 砂の惑星』 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督

長らく映像化不可能と言われていたSF超大作。ティモテ・シャラメにゼンデイアも好き。なのに見逃すとは全く自分らしいですが、超大作なので今後絶対どこかで見られるはず。アレハンドロ・ホドロフスキー監督やデヴィッド・リンチ監督も見たのかな… だとしたら感想を聞いてみたい。

『WHOLE ホール』 川添ビイラル監督

自身も同じ境遇の監督が「日本で普通に暮らしている“ハーフ”の日々の生活を通して、アイデンティティーや日本社会に対する複雑な気持ちを誠実に描いた」作品ということで、個人的に関心のあるテーマなのですごくみたかったのですが、上映館も上映期間も限られていて無理でした。

『COME & GO カム・アンド・ゴー』 リム・カーワイ監督

通称「キタ」と呼ばれる大阪の繁華街で生きるアジア人たちの群像劇。どの国であっても、その国で暮らす“異邦人”に関心があります。なのでとても見たかったのですが、見逃しました。

『ビースト』 イ・ジョンホ監督

韓国ノワール。連続猟奇殺人モノはもうあんまりアレなんですが、主演の渋いベテラン俳優、イ・ソンミンさんとユ・ジェミョンさんの演技が見たかった。

『王の願い』 チョ・チョルヒン監督

ハングル文字の作成をめぐる物語。言葉に大きな関心があるので、ぜひ見たかった。

韓国語は日本語よりかなり音素が多いですが、ハングルという文字を作るにあたり、その辺りが簡素化されなかった(似た音を一つにしてしまうとかの)ことがすごいなと思います。(これとこれはほぼ同じ音なので違いを気にしなくていい、みたいなことが現代ではあるっぽいですが、文字作成の時にはそこを明確に分けていたということですよね)

関係ないけど、韓国が漢字を放棄したことは残念だなと思う。なぜなら漢字圏というだけで通じること、想像できることもあったりするから(理由や経緯を知らずに言っています。デリケートな問題があるのだろうとは思います)。もちろん、逆に大きな誤解を生むこともありますけれども。

日本語を廃止して英語にする、というのを本気で考えた人が過去に日本にしましたし、現在もどこでも通じる(とされる)英語の方を重視する傾向にあります。でも、どこでも通じない日本語、私は好きです。音素が少ないこともあるのか、音楽の分野ではグローバルにはなりにくい(KーPOPとの違いはそこかと思います。が最近日本の80年代音楽が世界的に流行しているので、それだけではないでしょうね)ですけれども。他の希少言語と同様、なくならないで欲しいです。

『HHH:侯孝賢』 オリヴィエ・アサイヤス監督

オリヴィエ・アサイヤス監督が侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督を撮ったドキュメンタリー。1997年に制作された映画ですが、劇場初上映でした。

台湾ニューシネマにも侯孝賢監督にも関心があるし、単に一人の監督がどんなことを考えて映画を作っているのかという点にも興味があります。なのに見逃した…
折を見て特集上映があるような監督なので(撮った方も撮られた方も)、いずれまたどこかで見られると期待してます。

『アンモナイトの目覚め』 フランシス・リー監督

19世紀イギリスを舞台に、異なる境遇の2人の女性が化石を通じてひかれあう姿を描いたドラマ、ということで、海を挟んだお隣フランスを舞台に異なる境遇の2人の女性が惹かれ合う『燃ゆる女の肖像』(こちらは18世紀です)を思い出しつつも、おそらくは全然違う物語を見せてくれるだろうと期待していたのに、見逃しました。レンタルが始まっているので、それで見ることになるかも。

『14歳の栞』 竹林亮監督

35人の中学2年生、2年6組全員に密着したドキュメンタリー。

まず、え? 全員? そんなことが可能なの? って思うし(自分が中2だったら絶対やだって言うと思う。きっとそういう子いただろうし、だとするとそれをOKの方へ持って行った監督はすごい)、とにかく観たかったのですが、予約しないで映画館へ行ったら(だっていつも予約して行っても空席あるから)、なんと満席で入れなかった。で、その後行けずじまいに終わってしまいました。どこかで上映してくれないかなあ。レンタルとかないだろうし。

『恋する寄生虫』 柿本ケンサク監督

リャオ・ミンイー監督『恋の病 潔癖なふたりのビフォーアフター』は、潔癖症の二人が主人公の作品でしたが、こちらは潔癖症と視線恐怖症の二人。前者は全編iPhoneで撮影されたポップな映像で、人の心のシビアな部分を描いた面白い作品でした。本作は、トレイラーを見る限りちょっとホラーっぽいところもあるのかな?
多分まだどこかで上映してくれそう、と思ったら、まだ都内で上映中のところがありますね。期間内に行けるかな(観たい作品が引きも切らないので…)

見逃したけど、また上映するので見にいくつもりの作品

昨日、ものすごく久しぶりに下高井戸シネマに行きまして、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督『13回の新月のある年に』を観てきました。日本での上映権が切れるため、昨日が最後の上映でした。

ついでに、またちょくちょく通おうかなと思って会員になってきました。いつぶりだろう? 「映画館に通う」みたいなことずーっとできないでいたんですよね(個人的な事情です)。DVDで見ることもなかなかできなかった。今も行きたい時にいつでもふらっと行けるような感じではないのですが、以前よりはだいぶできるようになって来ました。
いまの社会情勢では、会員になることは、たとえ頻繁に通えないとしても、ミニシアターに支えられて来た者がミニシアターのためにできる一番容易いことじゃないかと思います。もちろん通えるに越したことはありませんけれども。

枕が長くなりましたが、見逃していた作品のうち、下高井戸シネマで再上映するものがいくつかありまして、これらは早速観に行きたいと思っています。

『TOVE トーベ』ザイダ・バリルート監督。ムーミンの原作者の半生。

『ミッドナイト・トラベラー』ハッサン・ファジリ監督。アフガニスタンからヨーロッパを目指す難民家族のドキュメンタリー。

『ディナー・イン・アメリカ』アダム・レーマイヤー監督。パンクバンドのオタクと推しの恋。

『サマー・オブ・ソウル』アミール・トンプソン監督。NYで20万人を集めた大規模音楽フェスのドキュメンタリー。50年間封印されていた、もう一つのウッドストック。

それから12月の注目映画にリストアップした作品はまだ『ラストナイト・イン・ソーホー』しか見ていないので、こちらもできるだけ見たい。

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見たい気持ちばかりが先走り、いろいろ追いつかなくてなかなか全部は見られません。本の「積ん読」のように、「見たいリストに入れていてまだ見ていない映画とその状態」のことを端的に表す言葉を探しています。


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