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ヴィンチェンツォより前にいたアウトロー弁護士『無法弁護士〜最高のパートナー〜』

2018年・韓国
演出:キム・ジンミン
脚本:ユン・ヒョンホ
出演:イ・ジュンギ、ソ・イェジ、イ・ヘヨン、チェ・ミンス

アウトロー弁護士といえば今年2021年に放送&配信された、ソン・ジュンギ主演の『ヴィンチェンツォ 』を思い浮かべる人も多いと思います。ヴィンチェンツォ はイタリアマフィアの顧問弁護士(コンシリエーレ)でした。

それを遡ること3年、かなり似た設定の作品があったんですね。
それが本作『無法弁護士〜再高のパートナー〜』です。

奇しくも同じ“ジュンギ”の、イ・ジュンギ演じるポン・サンピルは、幼い頃に人権派弁護士の母を亡くし、ヤクザの伯父に引き取られて育ちます。ヤクザにはならず弁護士になりましたが、喧嘩の仕方と男の生き方を伯父から学んでいます。ギリギリのところで法は犯さないが、危ない橋を渡ることも辞さない。線は細いのですが、タフで強いんです。

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その“最高のパートナー”となるソ・イェジ扮するハ・ジェイは、サンピルが母を亡くした時期に母親が失踪し、探し出すために弁護士になりました(探すのであれば刑事の方がいい気もしますが)。正義感が強く、気も強い。護身術もなかなかです。

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母の友人であったキソン市の判事チャ・ムンスク(イ・ヘヨン)が、ジェイの後ろ盾となってくれていましたが、実はムンスクには裏の顔があったのです。

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検事に裏の顔、っていうのは多くの作品がありますが、判事が、っていうのはどうでしょう。私はまだほかに見たことない気がします。
実際にこんな状況になってしまったら恐ろしいですね。社会が判事の思い通りになり、どうにもならなくなってしまう。いくらいかれた世の中とはいえ、現実社会では、ここだけはまともであって欲しいです。

もう一人のキーパーソンは、元ヤクザの実業家、ついにはキソン市の市長にまで上り詰めるアン・オジュ(チェ・ミンス)。

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チェ・ミンスさんって話し方に独特のイントネーションがありますが、これって方言のようなものなんでしょうか。それとも彼独自のものなのか。もしくはイントネーションは普通と変わらないけれど、声や話し方のせいで違って聞こえるのか。いつも気になっていて、調べてみたいなあと思っています。あ、これは完全に余談。

ストーリーは、例によって政治と司法とヤクザのズブズブの関係の中で事件が起こり、その事件の間接的な(といっても重大な)被害者であるサンピルとジェイがそれぞれ弁護士となり、18年の歳月を経て出会うべくして出会い、過去の事件を表沙汰にし、黒幕を法の力で裁くべく奮闘する、というものです。(この筋は早い段階で明かされるので、これを知った上で見ても問題ありません)

それをサポートするのがサンピルが育ったヤクザ世界の伯父でありヒョン(兄貴)であり、地元のチンピラたち。チンピラたちはサンピルの手腕に惚れて、拠点としていた事務所とともに“居抜きで”サンピルの部下(=堅気)となります。『ヴィンチェンツォ 』におけるクムガプラザの面々ほど前面には出てきませんが、似たような立ち位置とコメディパートを担っています。
構図はシンプル、騙し合いも想定内ですが、テンポよくバランスのいい作品でした。

『ヴィンチェンツォ 』は、本作に荒唐無稽さをプラスして、主人公をよりスタイリッシュにし、敵を少しミステリアスに、関係性を複雑にし、また“仲間たち”の個性を際立たせて全体的に賑やかにした感じかな、と思いました。『ヴィンチェンツォ 』でよかったのが、あ、これは見てない人は知らないほうがいいか、ぼかして言うと、ロマンス要素を単純に入れてこなかったことでした。
本作はどうだったか語るのはやめておきます。

韓国ドラマ(日本もそうかもしれないけれども)には司法系の作品がたくさんありますが、どれもおもしろいです。ちょっとありえない設定のものとかもありますが、それはそれとして楽しめたりします。
noteで記事を書いたのは『ハイエナ』(2020)だけだった気がしますが。

『君の声が聞こえる』(2013)『傲慢と偏見』(2014)、『あやしいパートナー』(2017)なども、記事は書いていませんがなかなかおもしろい作品でした。
(今から何か書くならおさらいしないと無理だな)

あ、『秘密の森』(2017)も司法系といえば司法系に入れられますかね。
(今見ると記事がすごく短くてびっくり)

司法系韓国ドラマで、ほかにこんなのあるよ、というのがありましたらぜひ教えてください。ちょっと固めて見てみたい気がして来ました。



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