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『封刃師』 第5話

第4話の感想はこちら→

駆(早乙女太一)の過去が明かされました。元は普通の人だったとは。
そして、美緒(深川麻衣)にかれん(中村ゆりか)が説明する形で、鎮鞘についてのレクチャーがありました。

そちらに時間を割いた関係上、今回の穢刃の持ち主についてはなんの情報もなし。職場で暴れてたので、普段パワハラ受けてたのかな、って想像する程度で。しかし、短いながらもキレのいいアクションを見せてはくれました。

駆が封刃師になるきっかけになった事件とその後の話は、駆と翔(遠藤雄弥)の関係について示唆的なものでした。以前に駆が、翔は自分を殺すためにいる、と言っていたことの意味がはっきりしましたね。

ところで、普段のこの二人の関係って、あるものに似ているなあと最初から思って見ています。それは、どんな自治体にもあるかどうか知らないのですが、私が暮らす地域にある、子どもの悩みを聞く電話相談です。そのシステムには電話に出る「聞き手」と、それを支える「支え手」という役割の人がいます。

「聞き手」は日々子どもたちの悩みをただただ受け止めます。子どもたちの話を聞く電話なので、説教などもっての外、アドバイスもしません。事の善悪の判断ではなく、悩んでいる気持ちそのものに共感を示してただ受け止めるのです。どんなことでもただ受け止めるということは、かなりの負担がかかります。一人では抱えきれなくなった「聞き手」を支えるのが「支え手」で、今度は「支え手」が「聞き手」の話を聞き、「聞き手」のなかに蓄積した重荷を下ろすのです。

駆と翔の関係は、この「聞き手」と「支え手」の関係にとても似ています。駆は穢れを受け止めますが、受けるほどに自分の中にその穢れが溜まって行きます。その駆を支え癒すのが翔です。第5話はまさにその部分を扱っていて、封刃の仕事をペアで行う理由が改めて腑に落ちました。現場で何もしない(ように見える)翔が駆の仕事について行くのも、「見守る」という形で支える仕事で、さらに今回のように「治療」的なこともするわけですね。今回出て来た肇(橋本じゅん)の例を引けば、まあ、最終的には違うことになっちゃうのかもしれませんが…

全9話という事なので(短い!)、終わりまであと4話です。ますます落とし所が気になって来ました。
誰もが多かれ少なかれ持っている穢れ(本作で言うところの、です)は、どのように解消され得るのか。溜まりに溜まった上で誰かを傷つけるか、誰かに受け止めてもらうしかないのか。では受けた人はその先どうなるのか。
納得のいく答えを出すのは相当難しいでしょう。それだけに楽しみです。ここで出てくる答えが、現実の同様の問題を解くヒントになれば最高ですね。

ところで、今回の終盤の封刃に少し遅延があったのは、美緒の血が鎮鞘についたからでしょうか。このことが後々何を引き起こすのでしょうか。
何かのキーにはなりそうです。


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