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おすすめの曲を紹介する2021年10月#01

 こんにちは!Luです。普段は主にボカロPとして活動しています。

 この連載では私が普段聴いている音楽や昔から好きな音楽をまとめた週替わりのApple Musicプレイリストをつくり、その中から毎回数曲ピックアップして紹介しています。ボカコレ参加などで忙しかったため数週間更新が止まっていましたが今週から再開しますので今後ともよろしくお願いします。

 さて、今週のテーマは「ジャズマスターの使い手」です。邦楽シーンではここ数年で非常によく見かけるようになったジャズマスター。もともとフェンダーがジャズプレイヤーのシェアを増やすために開発したギターですが、オルタナティブロックやシューゲイザーなど本来の想定を越えて様々な音楽に使われています。今回は「ジャズマスターといえばここれだ!」という曲から「こんな使い方もあったんだ!」という曲まで紹介していければと思います。

100% / Sonic Youth

 一曲目はSonic Youthの100%。先程ジャズマスターは当初ジャズ向けに開発されたと紹介しましたが、現代ではオルタナティヴ・ロックサウンドの代名詞になっています。そしてそのオルタナティヴ・ロックのみならずグランジやインディー・ロックなど、90年代以降のアンダーグラウンドなロックシーンに多大な影響を与えたのがソニック・ユースです。

 変則チューニングと激しい歪みを用いた奇抜なサウンドに私も最初は耳を疑いましたが、鍵盤楽器などと異なりピッチや音作りの自由度が高いエレキギターのポテンシャルを最大限生かしたプレイングは一度その魅力を知ると病みつきになります。また、Sonic Youthは活動歴が長く曲数も多いため、この曲のような爆音のギターだけでなく美しいアルペジオも聴くことが出来ます。私もまだ網羅することはできていないのですが、気になったらぜひ他の曲にも手を伸ばしてみてくださいね。

Only Shallow / my bloody valentine

 2曲目はmy bloody valentineのonly shallow。シューゲイザーの名曲です。この曲が1曲目に収録されているアルバム「Loveless」は大名盤として知られています。彼らはもともとvelvet undergroundなど60年代のロックに影響を受けたネオアコのような音楽を作っていたのですが、先ほど紹介したSonic Youthなどの影響を受け後にシューゲイザーの代名詞となったサウンドを作り出します。

 長い制作期間や膨大な制作費が話題に登ることも多いですが、大事なのは何よりもサウンドです。爆音でありながら暴力的ではない、溶けるような甘いサウンドは誰しも初めて聴いた時大きな衝撃を受けるものだと思います。しかし、これが奇をてらっただけの変な音ではなく心地よい音として成立しているのがこの曲が名曲たる所以です。

 この特徴的なギターサウンドはリバースリバーブのようなエフェクトの使用や多重録音などによって作られています。特にエフェクトについては、ライブでは足元に大量のペダルをおいていますが、実はその大部分はノイズパートのためであって楽曲の音作りはそれほど複雑ではないといいます。よく聴いてみると確かにフェイザーやフランジャー、コーラスといったモジュレーション系エフェクトはあまり使われておらず、ギター自体は主に歪みと空間系で構成されたシンプルなサウンドです。

 活動歴はかなり長いですが、1991年に「Loveless」をリリースしてから2013年の「m b v」までリリースがなかったこともあり今からでも追いやすいバンドです。最近また新譜制作しているというニュースがあったので、私も今から楽しみにしています。

デストロイヤー / bloodthirsty butchers

 3曲目はbloodthirsty butchersのデストロイヤーです。日本でジャズマスターが広まった大きな要因の一つとして、間違いなくNUMBER GIRLの田渕ひさ子氏の存在があります。そのNUMBER GIRLのラストライブのMCでも向井秀徳氏が尊敬するバンドとして挙げているbloodthirsty buchersですが、NUMBER GIRLの解散後、このバンドに田渕ひさ子氏が加入します。この曲はギターボーカルの吉村秀樹氏が亡くなられたため事実上バンド最後のアルバムとなっている「Youth」に収録されています。残念ながらサブスク解禁されておらず、プレイリストには同バンドの別の曲が何曲か入っています。

 肝心の曲ですが、デストロイヤーという言葉の響きからは想像もつかないほど優しくノスタルジーを感じるサウンドです。そしてギターはジャズマスター2本。ジャズマスターの人気が高まってきた最近でもなかなか見ない編成です。吉村秀樹氏と田渕ひさ子氏の音作りやプレイは一聴しただけでは似ているように思いますが、よく聴いてみると明確に違います。機材でいえば田渕氏はマーシャルのヘッドにオレンジアンプのキャビネット、Blues Driverという特徴的な組み合わせを用いています。また、田渕氏のプレイは音がはっきりしていて太くリズムに比較的正確ですが、吉村氏のプレイはかなり揺れがあります。二人とも同系統にみえて細かい部分で非常に個性的なギタリストなので、2本の絡み合いに着目するとbloodthirsty butchersの魅力をさらに深く知ることができると思います。

12th Street Rag / Roy Clark

 最後に紹介するのはRoy Clarkの12th Street Ragです。 日本ではおそらくあまり知られていないですが、ジャズマスターやジャガーをメインで使用するカントリーギタリストです。

 彼の経歴を辿ると音楽一家に生まれたもののプロボクサーになったりテレビタレントとして活躍したりミュージシャンとしてというよりはエンターテイナーとして評価されているようです。彼のライブ映像がいくつかYouTubeに上がっていますが、確かにいつもちょっとお茶目で面白いパフォーマンスが印象的です。

 これまで紹介した曲がそうであったように、ジャズマスターといえばオルタナティヴ・ロックのイメージが強かったのですが、カントリーでジャズマスターをメインに使用しているギタリストがいると聴いたときは驚きました。また、オルタナティヴ・ロックができはじめたのは80年代~90年代ですが、ジャズマスターが発売されたのは'58年。つまり、今のイメージは再評価されてからできたものなのです。それ以前にジャズマスターがどのように使われていたからについてはあまり話題に登ることが少ないですが、探してみると面白いかもしれません。ちなみに日本にエレキギターブームをもたらしたthe Venturesはモズライトで有名ですが、ジャズマスターもかなり使用していますよ。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。来週になるとプレイリストは更新されて変わってしまいますが、ここでは紹介しきれなかったいい曲がたくさん入っているのでぜひ聴いてみてください。

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