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怒涛の北アルプス裏銀座 その②

さて翌日。快晴だ。筋肉痛もさほどない。5:50小屋のおじさんと記念写真を撮って、出発。もうそんなに不安もない。素晴らしい山並みが終始背中を押してくれる。

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明後日無事にここに戻ってくるよーーーと、振り返って一枚。

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朝焼けと雲海。下の方の水溜りは、登山口の高瀬ダム。こんなに上に来たのね。

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ごきげん。

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槍ヶ岳が見えてきた。岩肌のかっこいいこと!

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3時間ほど、稜線をゆるく登ったり降りたりすると、野口五郎小屋に着く。トイレを借り、一休み。明後日泊りますからよろしくーと、ほぼ自分に言い聞かせるように、小屋の女性に声をかける。

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小屋からちょっと行くと山頂。ここからまたさらに3時間歩くと、本日のゴール水晶小屋。
 途中見晴らしのいいところで休んでいる、60代後半くらいの穏やかな感じの女性としばし話をする。"もう降りたくないわねー"と言うので、"たくさん登られたんですか?"と尋ねると"百名山は5年くらい前に終えたのよね、それからはのんびり登ってる。百名山も当初あまりやる気なかったのだけど、一緒に山やってた友達がガンになっちゃって、彼女に'百名山完登まであと七つだから一緒に登ってー'と頼まれちゃって。それからは、一生懸命登ったわね。"と。
 もっといろいろお話聞きたかったけれど、あまり邪魔をしてはいけないと思い、"気をつけてね"を交わしながら先を行く。

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振り返って一枚。歩いてる人が見えますね。てっぺんのガキガキの右を行ったり左を行ったりする。歩いている時は、次の一歩、先に見える黄色い丸印(ここを歩けのしるし)に、集中。時々見渡すと一面の絶景。なんなんだこれは。私はいったい何をしているんだ。

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もーそろそろ水晶小屋かなー、まだかなーなどと思いつつ、ひーこら歩いていると、道のずーーーっと先の頂上のすぐ下に小屋が見えた。ええっ!あそこなの?遠い!高い!と、内心かなり動揺する。でももうここまで来たら、先に進むしかない。実際ここから1時間20分くらいのふんばりで、あそこまで上がりきるのだけど。

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はい、右上のでっぱりのすぐ下に小屋が写ってますね。ここからなんと20分かからず着くのですが、もちろんこの岩壁を登るのではなく、右側にかなり急だけど登りやすい道がついている。

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12時15分到着。やったーー。やったよぉぉぉ。
宿泊の手続きをして、荷物を軽くしてすぐお隣の水晶岳を目指す。

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快晴は続いてるし背中は軽いし、かなり気持ちは良いのだけど、頂上は?あれか?あのだんだんの先か?一番高い所に人がいるな?もちろん、あのぽこぽこをそのまま歩くのではなく、巻きに巻いていくのだけど、終始結構な岩岩であった。おそるおそる登っていくと、上から可愛い女性がひょいひょいと降りてきたりする。ふむ。若さという名のバランス感覚。。。

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それでもちゃんと着く。足元は岩だらけで狭いけど、なにせお天気最高。

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向こう側に薬師岳(後ろのでっかいヤツね)。

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奥の山並みと右手前の黄緑の間の台地のようになっている所が、天空の楽園"雲の平"。そっかー、こうやってみんなつながってるんだー、元気な足と時間があれば、稜線つないで薬師岳・黒部五郎岳・槍ヶ岳・穂高・笠ヶ岳・常念岳みんな回れるんだーと、当たり前のことに、すごく納得する水晶岳頂上。
後から登ってきた男性二人組に、地図を見せて山の名前を教えてもらう。快く双眼鏡まで出して教えてくれる。黒部ダムや剱岳も見えた。最高だ。

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小屋に向かって下山する男性たち。ちょっと離れて一緒に降りる。
右手奥の白い雲のすぐ左のピークが、明日に予定している鷲羽岳かな。

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小屋前に戻ったら、UFOみたいな笠雲がぽかりと浮いていた。"かわいい!"と写真に撮ったけれど、これは明日の苦難を知らせる予兆である事は、1日を無事に終えて安堵しているこの時の私には、全く思いもよらないことなのであった。

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