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イギリスサイダーの旅 スコットランド編

2019年以来ぶりに、3月上旬イギリスにちょっとだけ行って参りました。
コロナ禍で様変わりしたイギリスサイダー情報の更新をお伝えできたらと思い、ご紹介していきたいと思います。
20年前ロンドンに住んでいたのですが、当時はマンチェスターより北に行ったことがなかったので、今回エディンバラは初のスコットランド訪問となりました。
世界情勢もあり、ロンドンから北回りでヒースロー空港まで14時間に乗り換えてさらに90分で着くエディンバラは大変長い道のりでした。早く世界に安穏が戻ってほしいと願わずにはいられない長時間の搭乗時間でした。
ギリギリ冬時間ということもあり、エディンバラに到着した20:00は真っ暗で風が冷たい冬の終わりでした。
さて、今回メインイベントとは別に訪問したサイダリーをご紹介したいと思います。

エディンバラの中心にあり、ここから各都市に行けるエティンバラ・ウェイヴァリー駅

朝から向かうはアバティーン行きの電車。
予定通り発車と表示が出てますが、ぎりぎりにならないとプラットフォームの番号が表示されないのはイギリスあるあるです。こんなところでたじろいでいる場合ではありません。そして発車時の合図なく、いきなり電車が発車します。日本の電車は本当に乗客に優しいと思います。
かなり本数も出てるので、比較的移動しやすいエリアかと思います。最近はアプリで電車の予約もできるため、券売機で買い方を悩むことなく、QRコード1つで乗車できるので本当に楽になりましたね。イギリスの電車の価格の謎だけが相変わらず解けませんが。電車で1時間のルーカーズにて下車し、お目当てのサイダリーにむかいました。

ルーカーズ駅は吹きっさらしで、朝だったこともあり乗降客もまばらでした。

スコットランドでリンゴが育つのか、サイダリーがあるの?と思う人も多いかもしれません。なんと2024年現在28もサイダリーがあり、コロナ禍で急成長を遂げた産業と言っても過言ではありません。何よりリンゴの生産地の北限を押し広げているのです。
今回そんな急成長の有望株の一人、2019年創業のThe Naughton Cider Company (ザ・ノートン・サイダー・カンパニー)の当主ピーター・クロフォード氏に会い、話を伺いました。

ザ・ノートン・サイダー・カンパニーはルーカーズ駅から車で15分ほどのところにあり、元々実家は農家で広大な農地を所有。ルーカーズの隣町にあるダンディーは、イギリス好きならスコットランド名産フルーツケーキであるダンディケーキを思い浮かべるはず。ダンディーケーキが生まれた背景には、ダンディー港が交易の窓口で色んなものが手に入りやすかったこともありますが、ダンディーではベリーや洋梨などのフルーツが沢山生産されていて、現在もそのフルーツを使用した商品がいくつも商品化されています。リンゴについていえば、19世紀終わりには40本のリンゴの木が植えてあったとの記録もあり、ダンディー生まれのピーターもここに目をつけたとのことで、現在1,500本のリンゴの木を植樹。3,000本まで増やしていきたいとのこと。

安定の曇り空で畑を案内してくれるピーター氏

植樹されている主要な品種は、コックスオレンジ、ピピンズ、ブラムリーと生食用リンゴで、新たにダビネットなどのサイダー用リンゴも植樹していますが、木が成長していく畑の区画とそうでないところがあり、悩みの種だという。リンゴもワインのように土壌が重要なのかと質問したところ、そんなことはないと思うし、イングランドのサイダーエリアを見る限り、そもそもリンゴの品種と土壌がそこまで密接なかかわり合いがあるようには思えないという。
ちなみにこのピーター氏、元々ワインショップで働いた後、フランスで長くシャンパーニュの醸造に従事していて、サイダリーを興す前年の2018年まではコート・デ・ブランのグラン・クリュ、シュイィにあるルグラ・エ・アスにて働いており、サイダリーを立ち上げた後も足しげくシャンパーニュに通い、仕事もしているという、根っからのシャンパーニュラヴァーの職人。
なので、自分のサイダーも基本的に瓶内二次発酵方式にて造っている。

昔からのウォルド・ガーデン(高い壁に囲まれた庭園)もあり、
この庭園内でももちろんリンゴを栽培してる。
話を聞いてるうちに放し飼いの鳥たちもなぜか集合してきた。

かなり広い敷地のためとこれからサイダリー施設を建設するということもあり、とにかく醸造の場所が点在していて、全部を見に行くにはいい散歩になったほど。

樽熟成を行っていた場所。さすが、フランスのシャンパーニュとのかかわりが深いので、
セガン・モローやフランソワ・フレールなど228L.350L&600Lの樽を
入手し品種別に熟成させていました。
取り出すのが大変なんだけど、湿度90%で最高の保管場所なんだと
嬉しそうに話すピーター氏の姿が印象的な熟成庫。

一通り見せていただいたところで、ボトルをその場でデゴルジュしてもらい、試飲することになりました。

Vol.2に続く

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©2024Marie Tanaka
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