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イギリスサイダーの旅 スコットランド編Vo.2

訪問記の最初はこちらから。
2020年から造り始めたこともあり、まだ3ヴィンテージ目なので、全部試飲しないかというので、お言葉に甘えて全部試飲させてもらえることになりました。はるばる極東日本からやってきたかいがあります。

目の前でデゴルジュしてくれるピーター氏と
ポンと音がするたびに驚く犬とぐらつく階段でそれを撮影する私

主要なサイダーは下記の2つです。
1.Traditional Method Brut Vintage (トラディショナル・メソッド・ブリュット・ヴィンテージ)(写真左の白いラベル)
自社畑の食用と料理用リンゴをブレンドし、シャンパーニュ酵母にてマロラクティック発酵後、一部を樽熟成して、ノンフィルターでドサージュもなし。
2.Overture(オーヴァチュア)(写真中央のブルーグリーン色ラベル)
シャープなスタイルを最優先にするサイダーで酸が低い品種は使わず、ビターシャープと酸が高いサイダー用と料理用品種を15種類ほどブレンドし、シャンパーニュ酵母にて樽発酵。澱と共に23カ月熟成。ノンフィルター。

2020、2021、2022の水平テイスティングでしたが、その年の個性が非常に出ておりました。個人的には酸が大好きなので、トラディショナル・メソッド・ブリュット・ヴィンテージ2020の酸化のニュアンスが感じられながらも複雑味のおかげで全体に深みを感じるのと2021年のオーヴァチュアのがっつりミネラルがあり、シャープさの中にもタンニンが下に広がる感じがとてつもなく好みでした。
ピーター氏いわく、ウォルド・ガーデン(前話写真参照)内のりんごを使うと樹齢が高いこともあるので、全部樽熟成に回しているのだけれど、あの林檎は非常に熟度が高いので、リッチさが際立つよねと。だから好みなのではないかときっちりと分析してくれました。
ただこれらは数百本ずつしか造っておらず、来年以降のヴィンテージに期待が高まるしかないそんな中、もっと手軽に飲めるのも実は作ったんだと試飲を出してくれました。

ラントゥホーン・クラフト・サイダー・ブルーラベル 2022

トラディショナル・メソッド・ブリュット・ヴィンテージとオーヴァチュアで使用した際の食用と料理用リンゴの果汁を先に一部タンクと樽から取り出して、炭酸ガスを注入して早飲みができるサイダーを造ったのがこのラントゥホーン・クラフト・サイダーブルーラベルです。
非常に爽やかでさっぱりしていながらもほのかな蜜のリンゴ感も健在なので、まさに初心者向き。

ラントゥホーン・クラフト・サイダーレッドラベル 2022

こちらも同様に造られたものですが、リンゴの品種がキングストン・ブラックとストーク・レッドのサイダー用品種、それもビターシャープな品種だけにフォーカスして造られたサイダー。
あくまで酸のシャープさを最優先するところは敬虔なシャンパーニュ人のように思えてきます。全くぶれないスタイルです。
ブルーラベルより色合いも深くボディがしっかりしてるので、ヘレフォードなどのイングリッシュサイダー好きはこちらを選ぶかもしれない印象を受けました。

一片の迷いもなくコロナ禍にサイダリーを始めた強い思いを感じさせてくれ、これからさらにどんどん攻めてくる気満々の新進気鋭のサイダリーに思わせてくれました。

そこで、ピーター氏の陽気なんだけど職人気質のマメなキャラも含めて、かなり気に入ったのでサイダーを日本に輸入したいと話しだしたところ、どちらもたった2,200本しか造られてないけれど、来年は4,000本作れるようになるし、他のサイダーも来年以降なら輸入してもいいよと言っていただきました。
ところがその後ご連絡いただき、今回少しでいいなら分けてもいいよということになり、今秋頃日本にラントゥホーン・クラフト・サイダーの上陸が決定しました!
この朗報に狂喜乱舞し、エディンバラの片隅でサンドイッチ片手にガッツポーズしておりました。

Vol.3に続く

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©2024Marie Tanaka
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