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オンラインWSで出たアイデアを親和図にまとめる
◼️発散と収束
優れたアイデアやインサイトを得るためには、「発散」と「収束」のプロセスを盛り込んだワークが有効です。
発散の代表例がブレインストーミング。
これは、参加者同士がワイワイと意見を出し合って、誰かのアイデアに乗っかってアイデアを広げていくものです。
収束の代表例が親和図。
これは、出されたアイデアを見ながら、参加者同士が似たアイデアをまとめたり、気になるアイデアをくっつけたりしながら、アイデアをグルーピングしていくものです。
◼️オンライン実施の課題
最近、オンラインのブレインストーミングが増えています。リアルでやるように、どんどんアイデアに乗っかることは難しいですが、例えばチャットとの併用によって、多くのアイデアを参加者から引き出すことはある程度は可能だと思っています。
つまり、発散はオンラインでも出来ると思います。
一方、収束は難しいです。
収束ではアイデア全体を俯瞰し、近いものを選択する必要があります。
このために、リアルでは付箋にアイデアを書き、付箋の位置を動かしてグループを作っては崩し、ということを繰り返します。
これをオンラインでやろうとすると、例えば何かしらのツールを使って、リアルと近いことは出来ます。例えば何かのソフトで同時編集可能なファイルを作成し、参加者が個々にPCから操作することは出来ます。
実際、やってみてうまく出来た、という記事もありました。
しかし、参加者のITリテラシーとネットワーク環境がハードルとなります。
最近のリモートワークの普及で、ネットワークのトラフィックが増大し、作業が重くなりストレスを感じている方も多いのではないでしょうか?
◼️オンラインで収束をどうやる?
そこで考え方を変えます。
そもそも、リアルと同じことをオンラインで実施する必要はないですよね。結果として同じことが出来れば良いので、その実現方法を考えました。
今回は、数量化3類という手法によって、この課題を解決する方法をまとめたいと思います。
◼️親和図はどうやって作られる?
そもそも、親和図の作成では何をしているのでしょうか?
物事には、多数の属性があります。例えば市販の自動車をグルーピングする場合、どのようなグルーピングが考えられるでしょうか?
形、色、値段といったカタログに記載できる仕様はもちろん、デザインや乗り心地などの人の感性に関わる内容もあります。
そのため、例えば20代にヒットする車、というグルーピングをしようとしたとき、どのような仕様やデザインを選ぶかは、評価者によって異なります。
つまり単一の仕様ではなく、複数指標の総合評価によって判断しています。
このような判断を、親和図を作るときには、無意識に実施しています。
なので、何らかの複数の評価指標を定め、それぞれの指標に対して参加者が評価し、その結果を分析することで、アイデアの似ている度合いを評価できると考えられます。
◼️オンラインでの実施手順
これを踏まえて、実施手順を示します。
①アイデアを出す。
②アイデアの評価指標(観測変数)を決める。
③参加者が個々のアイデアを評価する。
④各アイデアに対し参加者の平均評価値を定める。
⑤数量化3類で分析する。
⑥計算された2軸で散布図を作成する。
⑦散布図の近いアイデアをまとめて、グループの意味を考え名前を付ける。
◼️実施例
今回、連休中に参加したオンラインセッションの内容について、個人的に分析したのでその結果を以下に示します。
私が参加したセッションでは、「コロナがオフィスワーカーに与えた働き方の変化の兆しは?」という問いが与えられました。これに対し、参加者が意見をチャットに書き込みました。
セッションでは、ファシリテーターがチャットのコメントを眺めながら進行していきましたが、後日このコメントを分析しました。
まず、出されたコメントから明らかに重複するものを除外しました。その結果、77件のコメントが残りました。
これらを眺めながら、9つの評価指標を定めました。
77個のコメントに対して、9つの指標で三段階で評価しました。
(つまり77×9のマトリクスに1~3の数字を埋めた)
これを数量化3類で分析し、2軸のマップに散布図を作成しました。
この散布図で位置が近いものをグルーピングし、各グループのコメントを記載しました。
記載されたコメントを見ながらグループの名前を決定し、軸の意味を検討しました。
今回は一人でこのプロセスを実施したため、評価指標(観測変数)に多様な観点が入らなかったかも知れません。なので、なるべく多様な観点での評価となるように指標は選定した方が良いと思います。
いずれにしろ、このプロセスでは、ワイワイとやる必要がありません。
オンラインで出たアイデアをすぐにグルーピングすることは出来ませんが、systematicに分析できることと、評価の同時性が不要なことから、オンラインワークショップに向いているのではないかと思います。
※この記事の表紙画像はraining_photoさんによる写真ACからの写真を使用しています。
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