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『メグとばけもの』感想:人間の少女と最強の魔物の心温まる物語

以前「インスタント・ゲームズ」でも紹介した『メグとばけもの』をプレイしましたので、感想記事です。

該当記事はこちら。

Twitch配信でプレイしましたので、アーカイブを見たい方はこちら。

※本記事は『メグとばけもの』の核心に触れる可能性があります。プレイ予定の方は可能な限り、プレイ後にお読みいただくことを推奨します。

ゲーム性

戦闘

『メグとばけもの』のゲーム性は、戦闘と一部のミニゲームに詰め込まれています。ただし『ドラゴンクエスト』のようなバトルはありません。

ウルトラパンチ!つよそう

『メグとばけもの』の戦闘では、ロイがダメージを受けます。上記画像の通り、ロイのHPは99999。最強の魔物にふさわしいステータスです。なので駆け引きがまったくない……というとそうではありません。

左にあるゲージは、後ろに隠れている少女・メグの心で、ロイがダメージを受けるとこのゲージが減っていきます。これがゼロになると負け=実質HPのようなものと思っていいです。最強の魔物でありながら駆け引きが生まれる、面白い手法です。

メグが泣いちゃうとダメ

それ以外の戦闘システムは至ってシンプル。ですが、後述する物語の良さが戦闘の中にも組み込まれています。『メグとばけもの』特有の戦闘システムを活かしており、「そう来るか」と思ってしまうかもしれません。

ミニゲーム

『メグとばけもの』は基本的に一本道のストーリーで、道中にミニゲームが設置されています。比較的簡単な傾向にありますが、キャラクターの特徴を把握していないと頭を悩ませることもあるかもしれません。

レーザー、謎の機械、ヒビ割れ……

ミニゲームは戦闘の最中にも発生します。特別難しいことはありませんが、メタな演出もあったりしてクスリとできます。

パズルアクションが多いです

グラフィック

ドット絵

本作は全編にわたってドット絵で描かれています。『MOTHER3』に近い雰囲気があります。

ドット絵好きであれば、間違いなく満足できる表現が詰まっています。ドット絵だとキャラクターの表情などの表現に限界がありますが、『メグとばけもの』はドット絵でこの物語のすべてを表現しきっていると思います。

演出

本作でもっとも印象に残っている演出は、スタッフロールです。これだけは記事に画像を載せません。ぜひプレイして確かめて見てください。スタッフロールの特性、ドット絵、そしてこのゲームの物語を結集させた素晴らしい演出です。

世界観

ストーリー

最強の魔物が人間の少女を守る、頻出する凸凹コンビの物語。キャラクターの個性はシンプルですが、物語における役割がわかりやすく、プレイしていて関係性がよくわからない……ということは起こらないと思います。

かわいらしく、憎めないキャラクターが多い

ストーリーは表題の通り、心温まる物語です。最強の魔物が、人間の少女を拾い、泣くと世界が滅ぶというその少女を、なんとかして人間界へと送り返す――……物書きであれば、どういう展開になるかは想像つくかもしれません。

驚くべき展開もありましたが、具体的な内容やタイミングには触れません。「ストーリー」は『メグとばけもの』の根幹をなす部分であり、感想記事とはいえネタバレに触れたくない部分でもあります。繰り返すようですが、一度プレイしてみることをオススメします。

これはネタバレではないです

キャラクター

最強の魔物だけどちょっと変わってるロイ、そのロイに懐いた”泣くと世界が滅ぶ”少女のメグ、ロイの友人であるゴラン。冒険は基本的にこの3人(?)で進めます。

魔界を統治する「評議会」、人間でありながら魔界に住む「ポール」、とにかくやばい「やべーやつ」など、個性的なキャラクターに溢れています。数が多すぎるということはないので、一度プレイすれば覚えるでしょう。

やべーやつ

いわゆる悪役ポジションのキャラクターも、(一部を除いて)憎めないキャラクターばかりです。一部のキャラクターも物語においては必要な存在であるので、キャラクターのバランスは絶妙かもしれません。

サウンド

BGM

本作でこだわりが強いポイントが「BGM」。なんと『メグとばけもの』のBGMにフォーカスした特設サイトまであります。

ネタバレというほどではないため記しますが、『メグとばけもの』のBGMには「楽器は美しい音色のもの」「リズムに”がらくた”を使う」「世界観を統一させるため主旋律はピアノ」など、世界観を守るための工夫がこれでもかというほど凝縮されています。

詳しくはぜひ、前述の特設サイトをご覧ください。こればかりは文字で伝えるより、実際に聴いてもらったほうが早いです。

ユーザビリティ

快適さ

『メグとばけもの』の操作は四方向(+ナナメ)移動+決定ボタンの最低限で、操作に悩むことはないです。マップ間の移動がワールドマップ方式(でいいのか?)なので、移動が不便で困る……ということは起こりにくいです。

設定項目は言語、各種音量、決定ボタンの位置、ウィンドウorフルスクリーン程度で、プレイ中の変更は基本的にできません。オートセーブありで、タイトル画面に戻れば設定し直せるため、気になるポイントではないです。
細かい設定ができませんが、それによってゲームプレイに大きく支障が出る、ということは少ない印象です。

わかりづらい点は「オートセーブされているかどうかがわかりづらい」というところかなと。オートセーブというより「中断と再開」に近い感覚と思っていただければわかりやすいと思います。

一度クリアするとチャプター機能が開放されますが、これも親切とは言いづらい仕様です(エンディング画面でしばらく待つと出てくるメニューorワールドマップでのみ開けるメニューにある)。

ストーリーを何度も味わいたい場合は不便ですが、幸い、通しでのゲームプレイ時間が4~5時間程度のため、もう一度最初から遊ぶことでも解決できます。お好みでどうぞ。

総評

『メグとばけもの』には、一般的なRPGのようなヒリつく戦闘はありません。謎解きも難しいものもなく、単純なプレイ時間は数時間です。

その数時間に詰め込まれた物語は、1650円の価格設定も相まって、まるで一本の映画を見たような体験ができます。メグとばけものが出会ったことで起こりうる結末は一見の価値アリです。

BGMにも、ぜひ注目してみてください。メインテーマは優しいピアノの音色が染み渡りますが、戦闘BGMとなると打って変わってジャズ調の激しいピアノに心を揺さぶられます。本作はサウンドトラックもリリースされており、サウンドトラック自体にもある仕掛けが施されています。ぜひその目で確かめてみてください。

『メグとばけもの』はSteam、Nintendo Switch、XBOXなどで発売中です。


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