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思い通りに、思い通りにならない世界を選んだ。
スピリチュアルな本を読むと、たまに「人は生まれる前に自分がどのような人生を歩むのかを決めてから生まれる」という理論を目にする。
ぶっちゃけ言うと、この理論は検証不可能だ(そこに神秘性が、つまり、「真実かもしれない味」が宿るのだけど)。
だから、この言葉を正しいと仮定しよう。個人的に、嫌いではないし。
……うん。思い通りにならないことが多すぎる。
欲しいものは手元になく、想い人は隣にいない。
これが本当に、生前の自分が決めた物語なのか。
仮定を是とするならば、まさにその通りなのである。
この思い通りにならないことも、生前の僕にとって想定内のこと。
それを踏まえた上で、この物語を選んだ。
つまり、思い通りにならないことが、思い通り。
だからこのままでいい。
思い通りにならない様を、楽しもう。
これが、「生前に物語を選択する」理論の導きなのだろう。
そう信じると、少しだけ、ほんの少しだけ、頭が軽くなる気がする。
これが【信仰】というものの、実に即物的で具体的な力なのだろうけど、それはまた別のお話。
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