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自筆証書遺言がどうしたら無効となるのか?ご存じですか?

遺言者の直筆によって作成されるのが自筆証書遺言です。
誰でも手軽に作成でき、コストもほとんどかからないため多く利用されている遺言書ですが、作成上のルールはかなり細かく指定されています。
1つでも条件を満たさなければ無効となるため、誤った遺言書を作成しないようにしてください。

自筆で作成されていない遺言書

2019年1月から、財産目録のみパソコン作成や代筆が可能になりました。
しかし遺言書の本文はあくまでも自筆ですから、遺言者自身の手書きでなければ無効になります。
財産目録のパソコン作成を拡大解釈している人もいるので注意してください。
ちなみに、登記事項証明書や預金通帳の写しを財産目録として添付することも可能ですが、すべてのページに署名と押印が必要です。

作成日がない、または作成日が特定できない遺言書

遺言書の作成日が書かれていない、または作成日が特定できない場合も無効になります。
「○年○月○日」と書かれていれば問題はありませんが、「○年○月吉日」の場合はいつを指しているのかわからず、無効な遺言書になってしまいます。「末日」や「遺言者の満80歳の誕生日」の場合は日付を特定できるため無効にはなりませんが、カレンダーどおりに作成日を書いておく方が無難でしょう。

署名や押印がない遺言書

自筆証書遺言には遺言者の署名が必要であり、一般的には戸籍上の氏名を記載します。
芸名や通称、ニックネームなどを記載する例もあり、遺言者が特定できれば無効にはなりませんが、相続人や第三者を困惑させるような署名は避けるべきでしょう。
また、押印がない遺言書も無効になるので注意してください。
認印や拇印でも有効とされていますが、後日のトラブルを防止するため、実印を使用するのが無難です。

訂正方法を誤っている遺言書

自筆証書遺言は加筆や訂正、削除があっても無効にはなりません。
ただし訂正方法には細かなルールがあるので注意してください。
文言を訂正する場合は訂正箇所に二重線を引き、その上に訂正印を押印します。
訂正箇所の傍らに新たな文言を記入し、余白部または遺言書末尾に「本行○字削除、○字追加」や「本遺言書○行目の甲を乙に訂正した」などの文言を記入します。
訂正印は遺言書の署名に使ったものと同じ印鑑を使ってください。

内容が不明瞭な遺言書

自筆証書遺言を作成する場合、誰に何を相続させるのか、または遺贈するのか明確に書いてください。
「○○町の土地を○○に託す」と書いた場合、土地を相続させるのか、今後の管理だけを任せたいのかわかりません。
「相続させる」「遺贈する」と明確に書いておけば、遺言書が無効になることもないでしょう。
また、第三者が見ても特定できるよう、相続財産も明確に記入しなければなりません。
「○○町の土地」ではなく、地番や面積、地目などの情報も記入しておきましょう。

共同で書かれた遺言書

2名以上によって作成された遺言書を「共同遺言」といい、民法975条によって禁止されています。
夫婦共同で書いたとしても無効になるので注意してください。

遺言能力のない人が作成した遺言書

条件を満たした遺言書であっても、遺言能力が不十分であれば無効になる可能性があります。
「遺言能力=判断力」ですので、遺言書の効力を理解できない状態で作成された場合、有効性に疑義が生じてしまうでしょう。
また、遺言者には年齢制限もあるので注意してください。

認知症の人が書いた遺言書

認知症を発症している人には十分な判断力がないため、遺言書を作成しても無効になってしまうケースがあります。
ただし、認知症の症状には個人差があり、記憶力は衰えているが理解力は十分残っているという場合もあります。
認知症を断続的に発症するケースもありますが、一時的に判断力が戻っている場合、2名以上の医師の立ち合いにより作成された遺言書は有効となる場合もあります。

15歳未満の人が書いた遺言書

遺言能力には年齢も関係しており、15歳未満の人が書いた遺言書は無効になります。
親権者が代理作成したとしても無効になるので注意してください。

皆さんも良く注意をしてくださいね。


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