見出し画像

中小企業融資の動向と地銀の戦略

 金融庁は2024年3月末から、地方銀行や信用金庫に新たな資本規制を導入するということです。
 自己資本比率を計算する際に、保有株式の損失リスクを重く見積もる半面、中堅・中小企業向け融資のリスクを今より軽くする。
 相場変動に伴う損失リスクをおさえるとともに、企業の資金繰りを支援し実体経済を支える役割を発揮するよう促す狙いがあるようです。
 金融庁が導入するのは2008年のリーマン危機の反省を踏まえてできた国際規制(バーゼル3)の国内版のようです。
 メガバンクなど海外でも営業する銀行には2023年3月末から最終段階の適用を始めるが、地銀など国内だけで営業する金融機関への適用時期は明示していない状況です。
 銀行は財務を健全に保つために、貸出債権や株式など損失リスクのある資産(分母)に対し、自己資本(分子)比率を一定以上に保つことを義務づけられており、国際基準行は8%、国内基準行は4%が最低水準になります。
新規制では分母にあたるリスク資産の見積もり方を変えることです。
 中堅・中小企業向け融資を対象に、損失リスクに応じた掛け目を低くしています。
 融資を増やしても自己資本比率が下がりにくくなるため、比率低下を避けるための貸し渋りなどを抑制する効果を期待している。
 国内銀行による中小企業向け融資残高は約380兆円で、全体の融資残高の約7割を占めています。
 中小企業は資金繰りの大半を銀行に依存しており、中小向けの融資を増やしても銀行の自己資本比率の低下につながりにくくすることで積極的な資金繰り支援を求めています。
 一方、株式についてはリスクの掛け目を厳しくするということがあり、リーマン危機時、銀行は保有株式の値下がりで巨額の損失処理を迫られたことを反省材料としているので、株価下落で財務が傷み、資本に余裕がなくなった銀行が貸し渋りや貸しはがしでさらに経済を冷やす負の連鎖を招いたとの反省をどのように対策を講じて来るのかによって、中小企業の生き残りが変わってくるでしょう。
 金融庁は、これまでもなれ合い防止などの観点からコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)などを通じて株式の持ち合い解消を強く迫って来た結果、上場銀行の上場株の持ち合い比率は、2000年度の10%超から2019年度に数%まで減ったが、なお岩盤として残っている状況である。
 新しい規制は株式を保有するコストを高くすることで、仕組みの面からも保有株の削減を促し、本来の金融仲介機能を発揮するよう求めるのが狙いである。
 メガバンクなど海外でも営業する銀行には2022年3月末から本格適用する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い2023年3月末に1年間、延期したようです。
 金融庁は国内だけで営業する銀行に対してはさらに1年後の2024年3月末から5年間かけて段階的に適用していく方針だということです。
 この策が吉と出るのか? 凶と出るのか?は、やってみない限りなんとも言えない部分ですね。

 皆様の会社の顧問税理士などから、このような話しがあり、皆様の会社としてこれからどう進めていくべきか?というご提案があってしかるべきだと思いますので、まだそういう話しがあがって来ないまたは、ここ2・3ヵ月経ってもそういう話しがあがって来ない場合は、専門家としての意見を聞いてきては如何でしょうか?

画像1




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?