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コラム13「シーミーで育む、家族の絆。」

2018年4月21日(土)
八重山日報・沖縄本島版

※※コラム『ちゅうざんの車窓から』※※

NO.10「シーミーで育む、家族の絆。」

 沖縄のお墓参りと言えば、「清明祭(シーミー)」。沖縄の方であれば誰もが知っているお墓参りのことで一大行事ですが、県外出身の方にとっては、その風習や内容に驚くことも多いようです。たしかに、亀甲墓(かめこうばか)と呼ばれる沖縄のお墓自体、県外の方から見れば「古墳!?」と見間違うほどの大きさなので、驚くのも無理もありません。そんな大きなお墓の前に親族一同が集まって、お重箱に詰まった食事をいただく光景は宴会の様ですし、お酒を飲んでほろ酔いになるおじさんがどのご家庭にも一人や二人はいるものなので、初めて目にする方が驚くのも当然かもしれませんね。

 「シーミー」の由来は諸説ありますが、もともとは中国の「食物が成長を始める時季」という意味で、生命力あふれる季節を意味する「清明の節」に由来する行事を琉球政府が取り入れ、士族を中心に普及したとされています。今年も、ゴールデンウィークなど大型連休に県外から帰省する家族のタイミングに合わせて行う家庭も多いのではないでしょうか?

 私がパーソナリティを務めさせて頂いているラジオ番組 fm21「ちゅうざんのラジオ・サンデー」にもリスナーのみなさまからシーミーに関するお便りが多数届いています。内容は「家族や従兄弟に会える」といった喜びの声が多く、ご先祖様へのご挨拶を通じて家族の絆が深まるシーミーの素晴らしさが感じられます。同時に、女性陣からは、お供えする料理、主に三枚肉の煮付けや結び昆布、赤かまぼこ、厚揚げ、魚天ぷら、お餅などを調理するのが大変という切実な声も耳にします。また、男性を立てる風習が根強い沖縄ですから、若い女性や奥様方は親戚中に気を遣いながらの一日となりますので大変だと思われます。男性陣も早朝から草刈りや墓掃除で忙しいとは思いますが、こういう時こそ女性への気配りを忘れないようにしましょう(笑)。

 シーミーはみんなが顔を合わせ、近況を話したり親戚同士のつながりを持つ貴重な日です。特に子どもたちにとっては、ご先祖様への感謝と家族のあたたかさを大人たちから学ぶ特別な経験になるはず。今年のシーミーも、みなさまが笑顔で過ごせることを祈りつつ、私も帰省した際にご先祖様へ真っ先にご挨拶しようと思っています。


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