ドイツでマイスターを目指す人がマイスターになるための道筋vol.4(学費)

 前回の記事でマイスター試験の受験資格について説明しました。それでは実際にマイスター学校に通いマイスター試験を受ける際にどれくらい費用がかかるのでしょうか。

  まず初めに理解しておかなければならないことは、今まで散々マイスター学校マイスター学校と連呼してきましたが、Meisterschule(マイスター学校)とは俗語のようなもので正式にはそのような学校はありません。マイスターになるための教育・訓練を実施する教育機関を総称してそう呼んでいます。

 手工業の場合その機関はHandwerkskammer(HWK)手工業会議所でして、運営する学校の正式名称はAkademie der Handwerkskammer Düsseldorf(デュッセルドルフ手工業会議所のアカデミー)となります。

 言わばHWKが運営する私塾のように考えて下さい。なので特に入学式も卒業式もありません。マイスターになるために必要な講義を受け、マイスター試験に向けて準備をする場所です。

 義務教育や国立・公立の大学とは根本的に違うので、学費がしっかりとかかります。「マイスター学校は高い」と職人の間でも知られています。その費用は学校によって、或いは業種によっても違います。実技の講義と試験のために必要な材料と道具代が業種によって大きく異なるからです。

 今回はデュッセルドルフのマイスター学校でテーラーコースを受講する場合の学費を例に挙げて見ていきます。

まずマイスターには4科目あります。

科目1(専門実技)、科目2(専門筆記)、科目3(経済)、科目4(教育)

(デュッセルドルフでは科目1 と科目2はセットになっています。科目3と科目4をセットとして履修することもできます)

そしてかかる費用は 授業料、試験料、教材 と3つに分けることができます。

それでは見ていきましょう。

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科目1(専門実技)+科目2(専門筆記)

授業料€6.750 + 試験料€2.190 + 教材€1.500 

科目3(経済)

授業料€1.675 + 試験料€210 +教材€110 

科目4(教育)

授業料€605 + 試験料€220 +教材€35

合計

授業料€9.030 + 試験料€2.620 +教材€1645

ということで学費の総合計は約€13.295 で日本円で約¥1.728.350

(€1=¥130計算)

※(価格は変動することがあります)

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ほとんどの場合ドイツでは連邦奨学金(BAföG)を利用します。私も利用しましたが、BAföGは日本の奨学金制度と違い良心的です。

BAföGを利用する場合以下の通りになります。

授業料&試験料がBAföGの対象(教材は含まれない)

授業料€9.030 + 試験料€2.620 =合計€11.650

地方自治体による返済義務の無い助成金 50% €5.825

KfW(復興金融公庫)からの融資 ローン€5.825

マイスター試験に合格するとさらに融資ローンの €5.825から50%免除され€2.912,50

KfWからの融資 €2.912,50となります。

+教材合計 €1.645

BAföG利用時のマイスター試験合格の場合の総合計費用 €4557,50

日本円で約¥592.475 (€1=¥130計算)です。

※(価格は変動することがあります)

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 ここにさらに在学中の家賃・光熱費・食費・交通費などの生活費がかかります。マイスター学校をフルタイムで通っている場合仕事をする余裕が無いので労働収入0になります。ここもBAföGで地方自治体からの助成金とKfWの融資があるので、BAföG受給の権利がある場合は使用した方がいいと思います。

 ここらへんに関してはまた別の記事を記載したいと思います。

 ということで今回はマイスター学校の学費について紹介しました。BAföGを使いうまくやり繰りしてマイスターを目指しましょう!

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