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続々.身近な”空気”からカーボンニュートラルを考える

空気の熱を賢く使えば、節電できる

エアコンがないと最近の夏は乗り切れないけど

エアコンがないと、最近の日本は夏を乗り切れない…いつ頃だったでしょうか、名古屋の最高気温が37℃となり、猛暑日が連続1週間も続くようになったのは?
エアコンがなかったらと想像するだけでも、おそろしい…とエアコンに感謝しながら、近頃はカーボンニュートラルということで、節電や省エネが叫ばれていることが気になります。では、なるべく使わないようにしようとすると、テレビでは、「熱中症の防止のために、エアコンの適切の利用」と呼び掛けている。どうすればいいんだ?と生真面目な人は叫びたくなってしまうでしょう。

エアコンがあると涼しくなる原理とは

ところで、そもそもエアコンってなんでしょうか。感覚的には、「体を冷やしてくれる」便利物と思っている人が大半でしょう。では、なぜ、スイッチを入れると、涼しくなるのでしょうか。
扇風機は、スイッチを入れると、プロペラ型ファンが回って、風が送られてくるので、涼しくなる原理はわかりやすいですね。まさかエアコンも、四角いボディの中に扇風機と同じファンが隠されて回っていると思っている人はいないでしょう。
じらさずにその原理を言うと、フロンが気化することで暑い部屋の中にある熱を奪うために、涼しく感じるのです。

涼しくなるのは“フロン”のおかげ

突然、フロンという言葉が出てきましたが、どこかで聞かれたことがあるかもしれません。そうそう、少し昔、フロンはオゾン層を破壊するとか言われていませんでしたか?そうなのです、あのフロンです。
そのフロンがエアコンの配管を通じて、気体にかわるときに部屋の中の熱を奪って運び、その後圧縮され、部屋の外に熱を出した後、自らは液体に戻るのです。
部屋の外に置いてある箱(室外機)の中でファンが回っているのは、フロンの含んだ熱を外に放出するためです。

無料の空気を効率よく利用するエアコンとは

エアコンによって涼しくなるのはフロンのおかげですが、フロンがその機能を果たすためには、フロンを圧縮するためのコンプレッサーが必要です。このコンプレッサーにはモーターがついており、モーターを動かすのに電気が必要になります。それに必要な電力の熱量と空気を冷やす能力の比率をCOP* とかAPF*と言います。その比率が大きいほど、冷房能力が大きい、すなわち、省エネ性能の高いエアコンです。

*COPとは、ある一定の温度条件で運転した場合のエアコンの省エネ性能
*APFとは、年間を通じたエアコンの省エネ性能(実際に近い効率を示す)

暑い空気を外に持ち出すという意味で、ヒートポンプと言われるこうしたエアコンは、夏は空気の中に含まれる熱を出したり、冬は逆に、外気の熱を入れたりしています。いわば、無料の空気を利用しているのです。冷房能力が低いというのは、コンプレッサーを動かすために必要な電力が大きいということになり、最新の機種に更新すると大きく節電することができ、カーボンニュートラルに貢献できます。

フロンは気温上昇の原因でもある

エアコンによって涼しくなるのはフロンのおかげだと言いましたが、その孝行者、フロンは実は温室効果ガスでもあります。そのフロンが配管から漏れ出したり、エアコン処分のときフロンが大気に放出されてしまったり、気温上昇に拍車をかけています。
悩ましい問題です。ますます、寝苦しい夜になりそうです。

(執筆者:中産連 主席コンサルタント エネルギー管理士 梶川)
自動車部品製造業・産業機械製造業・廃棄物処理業を中心に、温室効果ガス排出量算定・削減、省エネ診断、環境法令順守コンサルティングを行っています。

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