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2040年、企業は将来の人材不足にどう対応するか? 11月21日に提言発表

9月の敬老の日には恒例の祝賀行事に合わせ、高齢者が社会で活躍するニュースが今年も多数発表されました。健康寿命が70歳を大きく超え、シニアの働く環境も整備されたのでそうした活躍はもはや不思議ではありません。

筆者はコンサルタントとして企業の定年制度延長の支援も手がけており、少なからず感慨もあります。一方で多様な子育て支援策も虚しく、一度下がった日本の出生率はなかなか上向かず、出生数は昨年、過去最低の80万人を割りました。

「少子高齢化」がこれ以上進むとどんな社会になるか、不安を抱える人や企業は多いと思います。 

中堅・中小企業は人材確保が後手に

企業にとってはシニアの活躍を後押ししつつ、若手世代の採用を強化するのが対策の王道ですが、中堅・中小規模の企業が採用強化を本格化したのはここ3年。人口減少が始まって10年以上経つのに比し、対策が後手にまわったと言わざるを得ません。

現在は採用競争激化で、過去に退社した社員をネットワーク化する流れさえあります。さらに若手世代は労働に対する意識が変化し、ワークライフバランスへの配慮の足りない企業は採用強化どころか中途 退社・社外流出のリスクも増大しています。

この記事では企業が今後の人材確保で後手に回らないための備えとして、将来の人材不足をどう予測し備えるべきか整理します。

2024年問題とは?

様々な報道でご存知の方も多いですが、働き方関連法案が2024年4月から全面施行され、運輸・建設業界では労働時間の上限が大幅に引き下げられます。
大まかには同じ人員数だと10%以上の労働時間が減ることになるため、同量の業務を引き受けるにはかなり多くの人材確保が必須となります。両業界とも元々高齢化している業種のため、採用増も難しく、25年に迫った大阪万博の工期通りの建設完了も危ぶまれる程です。

人材確保策と並行して議論されるのは自動化・業務効率化で、運輸業界の例では共同配送や輸送頻度の減少(食品、雑貨)、週末配達の中止(郵便)などが挙げられます。
建設業界でも機械の遠隔操作や建設現場への移動の効率化など様々な対策が検討されています。

(資料出所:2022.6日本食糧新聞)

2025年問題とは?

25年は第一次ベビーブーム(1947-1949)に生まれた「団塊の世代」が全員75歳以上の後期高齢者(2180万人と推測)に達し、日本が超高齢化社会になる年です。

シニアを消費者と想定すれば大きなビジネスチャンスともいえますが、介護サービスの利用者が大幅に増加する介護業界では人材が30以上万人不足する見込みで、2019年比で10%以上の人員を増やせないと、同条件での事業運営が成り立たなくなります。

国の施策として外国人学生に日本を留学・就職先として選んでもらうため、外国人留学生を将来採用する介護施設に、日本語学校(1年)や介護福祉士の養成学校(2年)の計3年に亘り学費や居住費などを補助する方向との報道もあります。

現在の円高が続くとこうした取組みも効果を発揮しづらい可能性も否定できませんが。

 2040年問題とは?

第2次ベビーブーム(1971-1974)に生まれた「団塊ジュニア世代」が全員65歳以上になり定年を迎える時期で、65歳までの現役世代1.5人で高齢者1人を支えなければならなくなり、いよいよ少子高齢化が本格化します。

人口ピラミッドのグラフで見るとそれより年下の世代は人口が減り続け、65歳未満がどんどん細くなる形になります。
特定の業種で人材不足が叫ばれる24年や25年と異なり、全ての業種・産業で深刻な人材不足が発生する未曾有の事態です。

厚生労働白書によれば日本全体で1,100万人の人材が不足し、うち運輸業100万人、建設業66万人、介護サービス58万人、製造業112万人という具合に軒並み人材が足りなくなり、人材確保が至難となる状況が予測されます。

(資料出所:令和2年版厚生労働白書)

今後企業が成長していく上で、将来の人材不足は明らかなリスクであり、今のうちから本格的な未来予測と対策検討(と試行)が不可欠です。

2040年はまだ先、などとは言えない状況にあることを強く認識せざるを得ません。

2040年に向けた「異業種交流会」が進行中

筆者が所属する中部産業連盟は名古屋に本部を置く一般社団法人で、主として社会人向け公開研修や人材マネジメントのコンサルティングに従事しています。

今年設立75周年を迎え、地域への恩返し活動として産業界に貢献する取組みの一つとして、企業が不安を抱える社会的課題に関する「異業種交流会」を開催しています。

交流会のテーマは「人材不足」の未来予測と今後の対策です。

社員の採用強化、定着予防に限定せず、エンゲージメント向上、業務効率化や自動化、リスキリング、タレントマネジメントなど幅広く議論を進めています。

今回の交流会の参加企業は、製造業2社(機械メーカー、食品メーカー)IT系企業1社、運輸業1社、外食チェーン1社の計5社です。

「提言発表」へ

2023年11月21日に実施する中産連マネジメント大会(名古屋市内のホテルにて開催)で、交流会での議論をまとめて発表します。

開催要項


日 時:2023年11月21日㈫ 13:00~16:50 (17:00〜18:00 懇親会)会 場:ホテルメルパルク名古屋 2F 瑞雲 
参加費:無料
プログラム:交流会発表・中産連コンサルタントの論文発表
お申込み:お申し込みの受付は締め切りました。
     

交流会発表のまとめ記事をご覧ください

(執筆者:中産連 経営革新コンサルティング事業部長 石原聖治)


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