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人前で泣いた日〜後編〜

夜19時前くらいだったか

あたりが薄暗くなった頃に

自宅の玄関ベルが鳴った。

モニターに映るのは

メールをしたお母さんと、

隣には6年生の班長さん。

私が少し話すやり取りをしたのを察知して、

息子は急いでトイレにこもり、

絶対に顔を合わせたくない意思表示。


私が一人で玄関先へ行くと、

班長さんは既にめちゃくちゃ泣いていた。

6年生とは言え、子供らしく

えぐっえぐっと

泣きべそって言っていいくらいに

泣きじゃくってた。

「息子さんにお怪我をさせてしまい、

本当に申し訳ございませんでした。

息子の怪我を病院に行って

診てもらってくださいと、

親子二人で謝る姿。

「私は今回、初めてのことで

とてもびっくりしました。

首の赤みは冷やして引いてきたので、

一旦様子を見ます」と伝えて、

なぜ息子にそういうことをしたのか

息子が何か気分を害することを

したりしたのかと

本人に直接聞きたかったが、

泣きじゃくるだけで

まったく聞ける状況では無かった。


「子どもを育てていくのは

そのご家庭や学校だけじゃなくて、

地域全体も関わってくると私は

考えているから子ども会にも入って

色んな人とコミュニケーションを

取る事は大切だと思っている」と続けて

私は話した。

(実は息子の同級生で

同じクラスにいる女子は班長の妹。

3年生の時に母子(兄妹)で

この地域に引っ越してきた転校生。

実はそれまでは、のんびりとした感じの子が多い

穏やかなクラスだったのだが

その頃にもうひとり別の男の子も引っ越して来て、

「性格がキツくて口が悪い」と

その転校生女子の事を含めて、

息子や周りのお友達たちも

ぼやいていたのを覚えていた。

クラスの雰囲気がその頃少し変わったのだ。

きっと、お母さんは仕事や家事で

毎日毎日忙しくしてて

子供さん達はあまり

かまってもらえないのかな。。。

留守番しているであろう妹さんも、

いろんな寂しい気持ちを抱えているのだろう。

根底にある愛情不足が、

周りに向けられた

暴言や暴力の原因になるのは

悲しいけれど子供なら尚更あると思う。

だからって許されることではない。

…そのことを考えながら、

ゆっくりと慎重に言葉を選んで

私はそのお母さんと班長さんに最後に伝えた。

「どの家庭も、もちろん私もそうだし、

みんな仕事も子育ても

色々大変だと思うけど、

一緒に頑張っていきたいと

私は思っているんです。

(少し泣き止んで落ち着いてきた

班長さんに向かって)

◯◯くんがした事は強さではない。

それを下級生に向けるんじゃなくて

◯◯くんには妹がいるし、

自分より弱い人たちを守るために

強さは使って欲しい。

明日からもよろしく頼むで!班長さん!

あと、お母さん。

息子さんの心のケアをしてあげて

くださいね。」

そう話しながら、

班長のお母さんの心情を想うと

涙が出て来てしまった。

人を傷付けたり

怪我をさせるような子供に

育ってほしいなんて思う親は

この世に居ないと私は思うから。


「そんな…息子さんの

お怪我の方が…」と言いかけて

言葉を詰まらせたお母さんも泣いていた。


少し心配そうにしていた息子には翌朝、

「いつも通りで大丈夫だから」と話して

学校に行くのを見送って、

私は出勤した。

帰宅してから息子から聞いたのは

班長さんはその日学校を休んだそうだ。

ちょうど土日を挟んで、

翌週にはちゃんと登校していた班長さん。


私が人前で泣いた

数少ない

エピソードのひとつ。


ちなみに、

「人を殺すなんて

俺はなんとも思わない」という

班長さんのあの発言は

お母さんには一切伝えていない。


それは彼の本心では無いと信じてるし

これ以上そのお母さんが、

悲しんだり苦しんだり

して欲しくなかったから。

怒りなどではなく、

やるせないと言うか

あの涙は自分でも

どう説明したらいいのか

今でも分からない。

みんな

完璧じゃないし

最初から

思い通りにいく子育てなんて

無いと思っている。

だから、

日々

成長していく子供とともに

親も成長させてもらっている。


現在、成長途中。まだまだ進化し続けます!サポートよろしくお願いいたします!