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才能豊かで、魅力溢れる君たちへ


   総合政策学部4年勝浦太郎

朝4時を知らせるアラーム。
時計を何度も確認しながら食べる朝食。
肌寒くて薄暗い駅までの道。
酔っ払った学生と眠たそうなサラリーマン。
始発電車3号車の一番端の席。
一日の始まり。

毎日が勝負だった。

毎回の練習が戦いだった。

求めているものと現実の差にもがき、「今日こそは」と挑んでは打ちのめされ、「明日こそは」と鼻息を荒げて、20時半に床に就く。

そんな日々を繰り返していたら、いつのまにか四年が経っていた。

最後の部員ブログは、今、もがいている後輩へエールを送りたい。


ここからは、中大サッカー部の後輩たちに向けて話すよ。(最後の機会だから、普段言わない、少々照れくさいことも言う。時間ある時に読んでくれたら嬉しいな。)

話は少し逸れる。

僕は大学ニ年~三年の約一年半の間、サッカーが明らかに上手くいってない時期があった。

それまで当たり前のようにできていたトラップやパスができなくなり、ミスの連続。試合中は視界がぐらつくこともしばしば。点を決めても喜びを感じず、負けても悔しさを感じられない時期があった。

「サッカーが苦しい」と思った。

練習をすればするほど下手になってる気がしたし、事実、数ヶ月後には、カテゴリーは一番下まで落ちていた。

大学三年の夏、3軍のベンチ外。上から数えると11番手のFWだった。

この頃の僕は、暗中模索の日々から抜け出す未来が想像できなかった。

でも、一年半が経ったあたりで、やっと心と思考の整理がつき、頭の中の霧が晴れた。

そこからは、自分の持っている全ての力をサッカーにぶつけ続けた毎日だった。

3ヶ月後、トップチームに昇格した。関東リーグでは試合に出て点を取れるようになった。

「頑張ったでしよ」というのを言いたいわけではない。

僕が言いたいのは、
「先のことなんて誰にもわからない。」ということ。

もし、

今、「何かが上手くいってない」「辛い」と感じている後輩がいるのなら、僕は声を大にして言いたい。

「絶対大丈夫だ。」と。


僕の持論だけども、

劣勢な状況から這い上がるために必要なものは色々あって、その内の一つは、"これから良くなっていくだろう"という「ほんの少しの希望」だと思う。

最近、数人の後輩が僕に相談をしてくれる。

彼らはもがいている。

必死にサッカーと向き合っている。

目の前の熱狂的な試合を外から見ることしかできないという辛さ。

「自分にとってサッカーとは何なのか」という問いを頭の中で何度も反芻する日々。

将来の進路について、己の可能性に対する期待と不安。

痛いほど気持ちがわかる。

それと同時に、傍で見ているとわかることがある。

「敵いそうもない」というライバルとの差はきみが思っているほど大きくない。

「難しいかも」と見上げている壁は案外高くない。

全ては紙一重で、物事を諦めるには早すぎるかも知れない。

不安と悩みで悶々としている精神状態では本来のパフォーマンスは発揮できない。

だから、

この文章が、

三年の冬まで三軍でもどこでも関係ないんだという意地が、

僕ら四年の闘う姿が、

彼らが悩みの渦から抜け出す、ほんの少しの希望になれたらと思う。

真剣だからこそ苦しい。

必死な姿は美しい。

みんなと一緒に闘える日々もあと少し。全力で駆け抜けよう。


朝4時を知らせるアラーム。
もぐもぐパクパク食べる朝食。
ひんやりしててほんのり明るい駅までの道。
陽気な学生とうたた寝しているサラリーマン。
始発電車3号車のいつもの席。
一日の始まり。

毎日が濃密だった。

毎回の部活が青春だった。

負けた悔しさで喉を通らない飯があり、勝利した興奮で午前3時まで眠れない夜があった。

そんな日々を繰り返していたら、あっという間に四年が経っていた。

最後の部員ブログは、才能豊かで、魅力溢れる後輩へエールを送りたい。

(終)

勝浦太郎

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