大学セクマイサークルの存在理由

こんにちは。中央大学ミモザ代表をやらせてもらっているYです(もう少しで引退なんですが)。今回初めてnoteに記事をアップしてみました。というのも、セクシュアルマイノリティーサークルの内情というものが、あまり世の中に知られていないのかと思い、私たちについて皆さんにお教えしたいと思って、このような運びになりました。これは、サークルのメンバーにも読んでもらいたいと思いますし、活動する意義について今一度考えるきっかけになれば良いかなとも思います。

私個人としては、セクシュアルマイノリティーサークルというのは、決まった存在理由っていうものはないのだと思っています。いままで幾つかの団体の方とお会いする機会がありましたが、本当に十人十色であると感じました。実際にメンバー同士でお出かけしたり食事会をすることを主としていたり、一方でテーマトーク会やイベントの企画や開催に力を入れたりしているところもありました。

私たちのサークルは2019年春に再始動してからは、細々と食事会やテーマトーク会などを続けてきましたが、当初は代表の私でさえ、きちんとサークルの活動目的などは何も考えてなかったです。とりあえず、他のセクマイサークルがやっていることを見よう見まねでやってみる、そういったような感じでした。しかし、活動を続けていくにつれて、自分の中にも変化が生まれてきて、サークルでの活動が知らぬ間に自分の中に大きな影響を与えていたのだと気づきました。2年間自発的に活動を続け、ミモザには次の機能(存在理由)があるのだと、私は考えます。

セルフヘルプとしての機能

セルフヘルプとは、自助と訳すことができ、厚生労働省の情報サイトe-ヘルスネットによると、「ある障害を持つ者同士が互いに励ましあいながら、その障害を様々な形で克服していくための集団」だと定義づけられています。アルコール依存症の患者の治療にも非常に有効だとされていて、いいっぱなし・ききっぱなしが基本です。セルフヘルプグループの利点は多くありますが、特にセクシュアリティーを告白する際には、大きな役割を果たします。セクシュアリティというものは、非常にプライベートな部分であり、話すのに勇気が必要ですが、似たような立場にいるもの同士なら、割と楽に打ち明けることができてしまったりします。私はこの「打ち明ける」という行為が非常に大切なものだと位置付けていて、というのも、人というものは他者に話すことによって初めて、自分のことを客観視し、受け入れることができるようになるからです。これは、故・砂川啓介さんが著書で話されていたことなんですが、妻の大山のぶ代さんが認知症であることを世間にカミングアウトしたときに、初めてきちんと自分のことを「介護者」として受け入れることができるようになったそうなのです。妻が認知症だと世間に知られないようにするため、一人で介護を続けていた砂川さんは精神的にも肉体的にも非常にお辛い思いをされたと思いますが、他者に自身のことを話すことによって、自分の中の誤解が解け、「家族が認知症であることは恥ではない」と考えられるようになったんではないのでしょうか。ミモザでは自分のセクシュアリティーを話すように強要はしませんが、多くのメンバーが自発的に自分のことについて話そうとします。それが正の連鎖として働いてくれたら、代表としてはとても嬉しいです。

情報共有

ミモザには、様々なセクシュアリティーを持ったメンバーがいて一方で非当事者だと自認する者もいますが、それぞれの立場によって、興味を持つ内容は違ってきますし、それらはセクシュアリティーのみならず性格や価値観にも左右されます。したがって、各々が関心のある情報を持ち寄ることによって、自分が普段知り得ない情報分野などをカバーできます。例えば私は、多少の性別違和がありますが、性表現は身体の性別とほぼ一致しているので、MTFやFTMの方とは少し立場が異なります。ですので、その界隈の知識が欠如しがちだったのですが、当事者のメンバーと話すことによって、「パス度」といったワードについて知る機会が得られました。ちなみにパス度というのは、「自分が認識している性自認が、外見上第三者から認識されているかどうかを表す度数」ということらしいです。LGBTsという言葉で、無理やりセクシュアルマイノリティーが総括されているようですが、実際はゲイ・レズビアン・バイセクシュアル・トランスジェンダー・アセクシャル etc.は互いについて知らないことが多すぎるのが実情だと思います。あと、私はあまり恋愛経験がないのですが、現在お付き合いしているメンバーの話を聞いたりできるのも、個人的に面白いですね。

性の多様性の啓発

現在ミモザは、大学非公認ではありますが、中央大学にある唯一のセクシュアルマイノリティーサークルであるため、注目される機会が多々あります。大学の授業で紹介していただくこともありますし、大学のダイバーシティウィークでは、ファシリテーターとしてワークショップのお手伝いをさせていただいたりもしました。最近は当事者代表として、大学のダイバーシティセンターの職員の方に対し要望を伝えたりする機会を得ることもできました。かいつまんで言えば、影響力を持つようになったということです。まだまだ日本ではセクシュアルマイノリティー当事者にとってバリアフリーな環境とは言いがたく、課題が山積していますが、ミモザがインフルエンサーとして、社会に対して意見を発信できるというのは、非常に喜ばしいことだと思います。ぜひメンバーたちには、自分たちのことを発信し続けてほしいです。人の心を動かすには、直接言葉で伝えていくことが何よりもの近道なので。

最後に

もう少しで、ここを離れてしまう私ですが、後輩たちにはぜひこの場所を守って欲しいと思います。自分が辛くてどうしようもないとき、話を聞いてくれる相手が身近にいることは、とても大きな意味を持ちます。同じ大学生であり年齢が近いということぐらいしか、共通点はないかもしれませんが、それが何よりも心地の良い場所になる秘訣だったりしますよ。

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