見出し画像

Gully Boy

Gully Boyは2019年に公開されたヒンディー語の映画。主演はボリウッドで最も出演料が高い俳優の一人と言われるランビール・シン。国内の映画賞を総なめにしてアカデミー賞にエントリーするもノミネートされることはなかった。全世界で40億円以上の興行収入を記録した。

あらすじ

ムラドはムンバイのスラム街、Dharaviに住む大学生。裕福な家庭の運転手を務める父と再婚相手の母と暮らしていた。ムラドはラップが好きで海外の有名なラッパーの歌詞を暗記するほどであった。ある日、学園祭でMC Sherによるラップパフォーマンスを目の当たりにして自分でもラップを書くようになる。ストリートラップにも参加し、"Gully Boy"(道端の少年)という名前で本格的にラッパーとしての成功を夢見る。

画像1

アジア最大のスラム街の一つ、Dharavi

まず抑えるべきポイントは、主人公のムラドの出身がムンバイのDharaviであるということ。ここはアジア最大のスラム街の一つで、インドの貧困の象徴である。わずか2.1キロ四方の狭い地域に100万人以上の人々が生活している。もちろん十分な居住スペースもなく衛生的にも多くの問題がある。最近ではコロナウィルスの感染者がDharaviで発見されたことで日本でも報道された。このような環境のため「コロナウイルスの感染対策でDharaviをコントロールすることは誰にも不可能」と専門家が諦めるほどであった。

画像2

インドの格差

ご存知のようにインドにはとても大きな貧富の格差がある。この作品でも様々なところでその格差を見ることができる。たとえばムラドはDharavi出身だが、隠れて交際している彼女は裕福な家庭出身で医学部生。そしてムラドは裕福な家庭の運転手を父に代わって務めることもあった。他にもラッパー仲間にも同じく裕福な家庭出身で海外の音楽学校で学ぶ者もいる。父親はムラドのことを思ってなんとか大学を卒業させてちゃんとした仕事につかせたいと思っていた。なぜならそれ以外にDharaviから這い上がる方法がないから。もしも大学を出ていなかったら父親と同じように運転手になる人生しか選択できないのだ。

ラップにのせたムラドの叫び

ムラドも父親の想いは理解している。しかし、ホワイトカラーの会社員としてDharaviから脱出するか、ラッパーとして未来の保証はないが自分の夢を追い求めるかの選択を迫られる。これは人生がかかっているので簡単には選択できない。ヒンディー語のラップのため英語や日本語の字幕では完全にそのメッセージを受け取ることが難しいと思うが、きっと楽しめるはず。"Apna Time Ayega!"(俺らの時代がくる!)

予告編ビデオ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?