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Nasir

Nasirは2020年に公開されたタミル語の短編映画。今年のオランダ、ロッテルダムで開かれた国際映画祭にてNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞した。

あらすじ

ナシルは南インドのコインバトールで暮らすイスラム教徒。洋服屋で熱心に働き、金銭的な苦労はあるものの家族や周りの同僚との関係性も順調だった。しかし、ナシルの周りにはイスラム教徒を追い払おうとするヒンドゥー教絶対主義者の集団が活発に活動していた。そんなナシルの日常を描いた作品。

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アムステルダム国際映画祭

この国際映画祭はオランダのアムステルダムで毎年開催されている。カンヌやベネチア映画祭のようにすでに評価の定まった巨匠の映画を上映するのではなく、これから活躍が期待できる新しい才能の発見の場として世界の映画人から注目を集めている映画祭。 上映本数は400本を越え、映画祭会期中の観客数も35万人にも及ぶという。本作はその中でもNETPAC賞というアジアで最も優れた映画を選ぶ賞を受賞した。

南インドの日常

この映画はあるアパレル店で働くナシルという男性の日常を映し出していく作品。家族や周りの人々と何を話し、何を食べ、どこに向かうのか。そういったことが映画のために格好のついたものでなくありのままをひたすら撮っている。少し違うのは類まれなカメラワークで日常の風景が非常に綺麗に捉えられていることと、ナシルのもつ詩的に言葉を紡いでいくセンス。これらが平凡な日常が続く物語に退屈させないスパイスとなっている。

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ヒンドゥー至上主義

ヒンドゥー至上主義はモディ首相が率いるインド人民党(BJP)が掲げている思想。西洋近代文明やイスラム教を批判、全インド国民の80%以上が信仰しているヒンドゥー教徒こそが唯一卓越性を持つとしている。モディ首相は選挙対策としてイスラム教徒に対する対立感情を煽ってヒンドゥー教徒の結束を促しているため、その結果イスラム教徒に危害が加えられることが問題化している。

予告編ビデオ


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