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結核患者さんの熱が下がらないんだけど、放っておいていいの!?

肺結核は慢性発症する疾患ですが、適切な治療を行っても改善は緩徐になる事がよくあります。そのような症例では長期に発熱や炎症反応が高い状態が続き、主治医はやきもきするものです。
他の感染症を合併していないか?治療が聞いていないのか?パラドキシカルリアクションか?薬剤熱か?などなど、、、
そこで肺結核の長期に渡る炎症について予測因子を調査しました。

Medicine (Baltimore) . 2022 May 13;101(19):e29297.

CRP5mg/dL以上を示した症例を収集し、4週間以上に渡ってCRPの高値が持続した症例を比較しました。
 炎症維持群→CRPが4週間を超えて5mg/dL以上を示した症例
 改善群→4週間以内にCRP<5mg/dL
炎症持続群のリスク因子として、CTで4cm以上の空洞を認める(p<0.001)、入院時のCRPが9mg/dL以上(p=0.004)、結核薬による副作用あり(p=0.033)が有意差を認めました。

CRP<5mg/dLへの低下の累積発生率(カプランマイヤー)
A:CTで4cn以上の巨大空洞を認めた症例の方がCRP改善まで長期であった、B:入院時のCRP≥9mg/dLの症例の方がCRP改善まで長期であった。

Odds比の高かった4cm以上の空洞と入院時のCRPが9mg/dL以上について炎症改善までの日数をカプランマイヤー曲線を用いて比較しました。いずれの因子においても炎症が改善するまでの日数が長期に渡っておりました。

4cm以上の空洞を有する肺結核症例は重症の所見とされており、入院時の炎症反応が高い症例が炎症が持続しやすい事からもやはり重症例で炎症が持続しやすいと考えられます。過去の報告では炎症が持続する症例では治療開始2か月後の喀痰抗酸菌培養陽性例が多いと言われていますが、2か月後の喀痰抗酸菌培養が判明するのは治療開始後4か月後であり、入院時には判断がつきません。

当研究の結果から、入院時に4cm以上の空洞、CRPが9mg/dL以上を認めた場合、適切な治療を行っていても炎症が4週間以上持続する可能性があると分かりました。

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