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気管支鏡検査後の肺化膿症に注意!

近年、気管支鏡検査後の肺炎の様相が変わったように思います。今までは閉塞性肺炎や一般的な肺葉性肺炎が多かったのですが、腫瘍内感染(肺化膿症)が多く見られました。
他の施設の先生に聞いてもやはり肺化膿症が散見するとの事でしたので調べる事にしました。

J Infect Chemother . 2021 Feb;27(2):237-242. doi: 10.1016/j.jiac.2020.09.029.

気管支鏡検査で診断された327例の肺癌症例を集めました。そのうち、20例(6.1%)で肺炎合併があって、12例(3.7%)が肺化膿症でした。
過去の報告では気管支鏡検査後の肺炎は0.2-5.6%で起こると言われており、肺化膿症は0.22-1.06%とされており、当研究での肺化膿症は明らかに多い結果でした。

肺炎合併のリスクファクターは腫瘍径が大きい(感染群 median 41.3mm vs. 非感染群 median 29.6mm, p=0.003)、空洞や壊死を伴う(感染群 n=8 vs. 非感染群 n=29, p<0.001)、低アルブミン(感染群 median 3.71 g/dL vs. 非感染群 median 4.12 g/dL, p=0.012)、高WBC(感染群 median 7525/µL vs. 非感染群 median 6660/µL, p=0.007)、高CRP(感染群 median 0.59 mg/dL vs. 非感染群 median 0.17 mg/dL, p=0.014)、PD-L1陽性(感染群 n=10 vs. 非感染群 n=78, p=0.033)などが挙げられました。

腫瘍径≥3cm、腫瘍内の空洞/壊死、血清アルブミン≤4g/dLをスコア作りました。AUC 0.737、2点以上で感度70.7%、特異度69.2%、オッズ比5.21でした。

腫瘍径≥3cm、腫瘍内の空洞/壊死、血清アルブミン≤4g/dLの3項目によるスコアに対する気管支鏡検査後の肺炎は症の予測に対するROC曲線

特に2017年から肺化膿症が増加しており、特にEBUS-GSを使用していなかった2013年に比べて増えていました。

肺化膿症と他のタイプの肺炎の比率


近年、EBUS-GSで腫瘍の中心にアプローチし、遺伝子検査を行うためにTBLBの回数を増やしています。その影響で腫瘍内に菌が侵入しやすくなっているのではないかと思います。
その事から、腫瘍内の空洞や壊死がある症例が肺化膿症を起こしやすいのは納得できます。

肺化膿症は普通の肺炎の比べて治療が困難になる事があります。
検査前に発症の予測を行う事が重要です。

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