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短歌「やさしくおろかな自己犠牲」

6~9月に詠んだ短歌18首です
二次創作の短歌も混ざっています



浅ましい生への固執を飾り立て綺麗な形で差し出して今


カルシウム摂取を心がけておく 遠い未来で化石になるため


現実のほうがやさしいこともある 私ほんとにがんばったかな


戯れに映画のセリフを真似てみる些細な日々にもドラマはあって


「割り勘でいいか」って言う 劇場の帰り道にもドラマはあって


負の感情と比例するハイヒール いずれ世界を壊してみせます


四分の四拍子をワルツにする感じで恋人たちを葬ろうかと


「大丈夫。こちらの轍、ゆくゆくは涙も糧に強くなります」


若人よ芽吹きほころべ 栄冠は君に輝く君らに輝く


魔物も楽園エデンの女神も微笑んだ驚天動地のショーをご覧あれ


先は鬼 後には彼岸 如月の暦が未だ捲れずにいる


Z軸得た軽やかな足取りで物語は新章が始まる


囚人は口を噤んだ これからも胡蝶の夢はそのままでいい


目を覚ます君の初めて見る世界が美しいものでありますように


いつの日か迷える電気羊も救われるだろう報われるだろう


朝の陽を浴びた硝子のようでした 容易くそれを手放して君は


ぽっかりと心に空いた穴からは何も見えない 何も見えない


せんせい、今朝はごはんがおいしくて、猫を見かけて、幸せだよ、せんせい

(二次創作の短歌のまとめ https://privatter.net/p/8713395)


所属している同志社大学短歌会にて会誌『同志社短歌九号』が発行されました。
連作「千夜一夜の白昼夢」を載せていただいています。
文フリ大阪で手に取ってくださった方はありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

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