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【SAPIXのカリキュラム】前期土特教材『分野別補充プリント』の重要性

新6年生が始まる2月より、平常授業に土曜志望校別特訓(以下『土特』)が追加されます。
前期での土特算数の重要内容は『分野別補充プリント』であることは間違いありません。しかし、私が思ったほどこの重要性を生徒も保護者も何なら講師も分かっていないため、ご説明致します。是非、これ以降のご家庭はこの記事で2月から『分野別補充プリント』の重要性を認識し最後の入試に役立たせて頂ければと思います。


前期の土特に関しての概要は下記を参照願います。



『分野別補充プリント』の概要

内容:平面図形
用紙:B4プリント1枚で片面が授業用、裏面は復習用の同一問題
復習テスト:復習テストにはA・Bの2種類があり、どちらも授業内の問題の数字替え
回数:全20回
問題数:だいたいは全部で大問4問

『分野別補充プリント』の内容

平常授業ではやりきれない平面図形における特殊な解き方や固有な解き方をする図形に対しての集中授業が内容です。
入試において確実に理解し気付かなければならない形や解き方を学ぶことになります。

『分野別補充プリント』の重要さ

端的に言えば『入試に出る』からです。
具体例を示しますと、

上記左は分野別補充プリント(以下分野別)の4回目である折り返しの回の大問3です。右側は慶應湘南藤沢2022年度大問3になります。全く同じ形です。

左が分野別13回『四角形分割』(単元名は正方形分割ですが、正方形以外にも使うので私は四角形分割と呼称しています)の大問3です。右は海城中学校2022年度大問2です。長方形と平行四辺形と違いはありますが、同じ形と言えます。

上記のように本当に出題されるのです。もちろん、これらのように分野別の内容とそっくりに大問として出てくることはかなり稀と言えますが、小問集合まで考えると相当出題されています。

また実際は上位校での図形を考える際の切り口として考えていくことが本来の使い道と言えます。
例えば下記の例ですと、

左は分野別17・18回目で学ぶ『三角形分割(通称ベンツ切り)』の形です。数学ではメネラウスやチェバの定理を考えるでしょうが、中学受験では全く違うアプローチで考えていきます。そして右は年度は失念してしまいました(相当昔です、20年以上前ほど)が開成中学で出題された問題です。
考え方は下記のように考えます。

左と右の図のように、三角形の中での線を消して(解く際には頭の中でになります)そこに左下の頂点から補助線を引けば『ベンツ切り』の形になります。つまり一つの図形の中で2つの『ベンツ切り』が重なった形と言えます。

上記の問いは相当昔の開成の問題でしたが、現在でも『ベンツ切り』を解法に用いる問いは星の数ほど出題されています。それだけ重要な解法を分野別では学んでいくことになります。

『分野別補充プリント』の学習で重要なこと

上述のように分野別の内容は非常に重要になります。そんな重要な分野別を学ぶ際に大事なことがあります。
それは何度も練習することです。

何度も練習する意味は2つあります。

①形を覚えて気付けるようにする

図形において大事なことは形を覚えるということがあります。文章題と違い図形にはハッキリと目に見える形があります。そこから判断をし『◯◯の形なんだ』と気づくことが出来るようにすることは図形を解く際に非常に重要なことになります。
もちろん、丸暗記をしても解ける問いは大してありませんので、どういうポイントからその解法を行うのかを理解をして覚えることは必須です。

②考えなくても判断出来るようにする

皆さんは九九を答える際に何かを考えるでしょうか?
例えば『4✕5はいくつ?』と聞かれた際に何も考えずに『20』と頭に出てくるはずです。
最終的に分野別の内容もこうなる必要があるわけです。分野別は大事な内容ですが、それはあくまで入試レベルの平面図形(ひいては立体図形にも)を考える際の基礎であることは間違いありません。そういった内容を考えなければ出てこないというなら、そもそもそのレベルの問いを解くことが出来る段階にないということです。
このように考えなくても出来るようになるには量が絶対に必要になります。
しかもただ量をこなすのではなく、考えて解くことを繰り返すことでその内考えなくても勝手に頭が判断している状態になるように練習するのです。

伸び悩む家庭の分野別に対しての認識

以前にもお伝えした通り、私はSAPIXで指導していた際に『自分は外様だな』と考えていました。指導経験の半分は自己流で教えていたからです。その私でもSAPIXで指導に携わり分野別の内容は重要だと感じました。

しかし、相談を受けたり家庭教師で指導したりすると分野別の定着が非常に悪いように感じます。それには様々な理由が考えられますが主に下記だと思われます。

①家庭側の問題

そもそも、土特の重要性を分かっていない、ということをお話したご家庭に感じることがあります。
これは下記の講師側の問題のせいや巷の信憑性の低い情報などのせいがまず考えられ、その上で土特算数の内容は前期のマンスリーには出題されにくいという理由も感じます。

②講師側の問題

基本的には大体の担当は分野別の重要性を分かっています。そのため必ず前期の土特の間で強く定着するよう指導をしています。
しかし、大学生や一部の社会人講師にはそこまでの指導をする必要性が分かっていないかそこまで行う気が無いからなのかやりません。そもそも、分野別の重要性を子供たちにアナウンスしない人までいます。そのため、家庭が分野別の重要性を分かっていなく軽んじてしまうことに繋がることもあります。そして、そういうレベルの講師が担当するコースは下位になってしまうことは当然の流れなわけです。

他にも理由はあると思いますが、主に上記が分野別をやり込み定着させるという入試に向けて非常に大事な内容がおろそかになってしまう理由と言えます。

どれぐらいになっていれば良いのか

それでは分野別がどうなっていれば良いのかというと、
完璧になっている
です。
授業で初めて見る際には仕方ありませんが、復習テストは別です。
具体的には
復習テストは満点が基本
です。許せて✕が一つです、人にはミスは有り得るからです。

ここまで言う理由は単純で、一つは復習テストは授業の内容の数字替えだからです。練習を積めば誰でも出来るようになります。
もう一つは量の少なさです。概要で説明した通り分野別はB4サイズの片側に大問4個が一回の内容です。これを次回の土特に確認をするわけです。それしかないのであれば、必ず出来るようにしてこなければいけません。

そのレベルで仕上げてこなければマンスリーに出てこない内容を前期に学習する意味は私には無いと思ってしまいます。
しかし、平気で復習テストを半分も出来ていないなどの結果を出す子が普通にいます。だからこそ、ここは強烈に押していかなければならないのです。
私が土特の担当だった時はたとえ一番下のコースであっても復習テストは満点を要求致しました、そして大半の子はそれが可能なのです。要はやり方と持っていき方です。
復習テストでろくな結果を出せない子に話しを聞くと大抵『練習した』と言います。違います、ただ練習するのではなく『出来るようになるまで練習をする』のです。

まとめ

今回は前期土特で学習をする分野別の重要性をお伝え致しました。
・稀にそのままの形で入試に出題される
・入試レベルの図形を解く際の基礎になる
という理由から非常に重要性が高いわけです。

そのため、分野別は完璧になっているレベルまで練習をする必要があります。しかし、様々な理由から家庭が分野別を軽視していたり子供が完璧なレベルまで練習をしていないという問題を目にすることが増えています。

5年生までは無かった土特という追加の授業、無かった分今までとは違う意味合いがそこにはあります。一番大事なことはこういった内容を正しい知識で知り、その上でどうすべきなのかを検討し事前に準備をしておくということです。
後から取り戻しが出来ないとまでは言いませんが、遅れを取る分負担が増えることは絶対です。
中学受験において戦略を整える役割は子供ではなく大人です。漫然と時間が過ぎることを手をこまねいているのではなく、現状を認識し問題点を見つけどう改善するのかを検討しましょう。

新6年生のご家庭は2月からの新年度に向けて今回の内容を活かして頂けますと幸いです。

算数の家庭教師を行っております。無料相談も行っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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