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【中学受験 システム】4年生で起きている現実

SAPIXにおいて、募集停止になる前に入塾する流れから低学年からの通塾が増えています。しかし、中学受験の内容を本格的に学習しだすタイミングが4年生からになることは20年前から変わっておりません。
しかし、個人的にその4年生の現状が非常に危険なことになっていると感じています。今回はその内容をお伝えさせて頂きます。保護者はその危険さを知って、対処をご検討頂くことを強くオススメ致します。


4年生の現状

4年生が現状置かれている状況は一言で言えば、『ムチャクチャ』に尽きると思います。他にも、『悲惨』や『破綻』『崩壊』などに置き換えて頂いても大丈夫だと私は思っています。

何故これほど酷いことになるのかの理由は下記になります。

理由①人材不足

本当にこの問題は業界問わず日本全国で言える問題なのだと思います。

特に塾業界は2つの状況が大きく関わるのではないでしょうか。
1つ目は、アルバイトが中心となる状況です。どうしても大学生が講師の大半を占めてしまうことは否めないです。
いつもお伝えしていることですが、大学生の能力が低いと言っているのではなく、大学生では経験値が無いことと仕事に対して責任感を持ち行うことが出来る人が少ないということからです。
体感的に使える有能な大学生は、10人に1人ぐらいの確率に感じます。

2つ目は、成果が見えにくい職種だということです。これは上記のアルバイトが多い事にも関わりますが、正社員だからと言って別に有能かと言われると別問題という話があります。もちろん受験結果はハッキリと出ますので分かりやすいです、この場合の成果というものは『講師の指導によって成果が出たかどうか』という部分についてです。
これは『教える』という内容がどうしても不明瞭であり目に見えないことでしかなく、結果に必ず繋がるのかどうかは不確かなことしか言えないということが現実だからです。これを口惜しいと考え研鑽を積むか、それともそういうものだからとして言い訳に使うかで講師の実力は大きく変わることになってしまいます。

更に保護者としても、指導の良し悪しは分かりにくいということも拍車をかけるのだろうと考えています。
例えば、大手中学受験塾に講師全員社員を打ち出している塾がありますが決して実績はよくありません。実際に、その塾の子供を教えてみるとSAPIXなどと比較すると受験への仕上がり具合に相当な差を感じてしまいます。
こうなってしまう理由は、結果というものが子供側に依るものもかなり大きいからだと言えるでしょう。

長々と書き連ねましたが、要は子供の実力を伸ばせる講師という人材は非常に少ないということです。

理由②経験値の無さ

中学受験は6年生を担当することが唯一の経験値だと私は思います。
理由は単純で、ゴールであり目的が6年生の受験だからです。目的である受験に子供を送り出し必要なレベルを達成できるかどうか、これを経験せずに指導できるものはどんな世界にもありえないと思います。

具体的には、スポーツの世界などを想像すると分かりやすいです。例えばフィギアスケートの世界で一度も子供を大会に出場するための指導の経験のないコーチが世界大会優勝を狙う子供の指導を行うでしょうか?
もし、そのような人物に依頼をする家庭がいるのであれば周りから奇異な目で見られるでしょう。何故なら、こういった状況で周りの予想を覆せるのはフィクションの世界にしかないからです。現実にはほぼほぼ起こり得ないこと、だからこそマンガ・ドラマ・映画というフィクションの中で我々は興奮し盛り上がるのです。それをリアルの世界で求めてしまうのであれば、流石にそれは夢を見過ぎでしょう。

しかし、勉強という世界だとこの不可思議な状況がそこそこに起きていることも現実です。それは上記のように勉強の指導というものの成果が見えにくいことと、虚飾が可能であることが理由と言えます。
特にSNS界隈では実績などは言ったもの勝ちではありますし、人はわざわざ自分がうまく行かなかったことを周りに公言し広めるようなことはしたがりません。そのため、悪評は広がりにくいという特徴も影響あると思います。

そういう意味でも保護者としては講師のレベルを測ることは難しいため、確認なさるとしたら経歴を確認なさることが最善と言えます。例えば、6年生を担当したことが無い人に指導を依頼することは手術経験の無い医者に対して初めての患者となるということと同義と言えます。それをよくよくお考え頂き決められることをオススメ致します。

どの塾でも基本的に講師が全学年に関わることは時間的に無理があると思います。あるとすれば、例えばSAPIXでは6年生平常授業の片方の曜日は4年生を担当するなどになりますが、それでカバー出来る範囲というのは大きくはありません。ちなみに、6年生を担当しない講師というのは会社から担当させられないレベルだという評価になりますので、4年生・5年生専門担当などという概念は中学受験塾には存在しません。そういうレベルの講師だという考えで間違いないです。
この観点で言えば本当にSNS界隈での怪しい講師は呆れます、例えば現:◯中(元:山◯、何故か昨年末からフルネームが変わりました)という元サピの触れ込みにてX界隈でスパークしている人がいますが、彼は6年生を社員時代に一度も担当はしていません。大学生アルバイトですら担当するSS単科や土特も会社が任せられないと判断されたレベルですが、保護者にはそれは分からないため騙されてしまうご家庭もいらっしゃると思うと悲しいものです。もちろん、酷いのは彼だけでは無いのですが。

6年生を担当するということは人材としては絞られるため、全員が担当するわけではありません。上記の◯下のくだりで大学生でもSAPIXではSS単科や土特を担当するということを説明致しましたが、これを6年生担当とは考えません。最後の入試まで関わるように指導することが6年生担当と言えるわけです。そのため関わる人は限られるわけです。

理由③シワ寄せ

上記の①②の理由から、何しろ本当に人材不足なわけです。そうなるとどこかに人材のシワ寄せが生まれてしまいます。それがどこかと言うと、4年生以下の学年になります。どうしても、使える人材はそれを必要としている場所に多く配置することになるため、逆にそうでない場所は使えるとは言い難い人材を配置することになります。

そういった人材のシワ寄せのイメージは私の中では下記になります。
6年生⇒上位半分ぐらいは大丈夫なことが多い
5年生⇒3〜4ブロック程は大丈夫なことが多い、意外に上位だと大丈夫とも言い切れない
4年生⇒大半が崩れている、逆に大丈夫なブロックが1つか2つほどと言える
3年生以下⇒まともにやることをそもそも想定しているように思えない

今後の理由:2024年2月からの改変

実は今回この内容を書こうと思った最大の理由は2月からとある改変が行われるということを聞いたためになります。この改変は以前記事に挙げた改変とは違い、また別の内容になります。

具体的な内容を記事に書かせて頂くことは諸事情あり控えさせて頂きます。
とはいえ、内容を聞かれた方で状況が良くなると感じた方は皆無な改変であることはお伝えさせて頂きます。
私はこの改変を聞いた際には、正直呆れました。本当にこれで大丈夫なのだろうかと心配になります。

上記の理由、特に2月の改変から、今まで以上に4年生のクオリティは崩れ酷い状況になることが強まり広がっていくことを私は予想しております。

保護者が考えるべきこと

何故このような状況になってしまうのか、その理由を考えると一つは社会の変化というものは大きく関わることは常にお伝えしていることです。
もう一つは、その変化に大半の保護者が乗っかることを選んでしまったということです。

昭和のノリと馬鹿になさる方も多いと思いますが、何かを得るということには相応の苦しみという対価は必要になるのが普通の人間だと私は思っています。何の苦労も無かったという人は、本当にやっている事が好きで好きで堪らない方なのだと思います。それ以外はありえないでしょう。

しかし、現在は上記の社会の変化に伴い多くの保護者の意識も変化し、苦労をすること自体に忌避感を覚えているように感じます。
その結果、企業としてはその顧客の変化に対応せざるを得ず、現在の状況に陥ってしまっているのだと思います。

本来はこの流れを是正するには多くの人が声を挙げ、方向性そのものを変えさせることになるでしょう。しかし、これは非常に難しいと思います。10年20年先を考えたなら、やるべき価値のある活動とは思いますが、残念ながら数年以内に大きな変化が期待できるようなものではないからです。
そのため、現実的に保護者がお子様の受験に対して考えるべきことは
『何かを達成するためには、何かを失うことも必要になる』
ということです。
引き換えに失うもの、それは時間かもしれない、小学生時代の経験かもしれない、楽しさかもしれない、本人の甘えかもしれない、しかしその代償をもって目的を達成する経験、それは中学受験の最大の意義である、そう理解し考えることがお子様の将来に繋がる中学受験とするための保護者の土台なのではないでしょうか。


一つ具体的に止めた方が良いことをお伝えすると、フリーダイヤルでクレームを言うことです。
インターエデュにてどこかのスレッドで出た話らしいですが、校舎に文句を言うのではなくフリーダイヤルに言ったほうが良いと。これによりフリーダイヤルへの電話が増えたことは現実らしいです。

もちろん、一般的なレベルだけでなく中学受験の世界のレベルとしても異常なあり得ないことは仕方ないですが、現場レベルではフリーダイヤルの大半は下らない八つ当たりとしか捉えておりません。実際に、大半の内容が甘えた考えからの八つ当たりとしか言いようがありません。
しかし、その結果会社から何かしらのペナルティをもらう、それで今まで通りにやろうと思うでしょうか。それが続くとどうなるか、学校の先生の様なお役所仕事的クオリティに近付いていきます。そして、それは上記のようにドンドン現実になっているわけです。
果たしてこれがクレームを言った保護者の望んでいた結果なのでしょうか。こうやって回り回って自分たちの首を締めることになりますので、フリーダイヤルでクレームを言うのは止めましょう。どうしても我慢ならないなら、それなら退塾なさり自分たちの思い描く塾に移られれば良いのです、それが在るのであれば。


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