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イチからわかる! 広島県警の自転車違反強化って? あらためて自転車のルールおさらいしました。

 自転車の利用が健康志向やコロナ禍を背景に広がっています。ただ中には「ながらスマホ」といった危険で悪質な違反もあり、大きな事故につながりかねません。広島県警はことし、事故の多い県内42カ所を「自転車指導啓発重点地区・路線」に選び、取り締まりを強めています。あらためて自転車の交通ルールをおさらいします。(岩崎新)

自転車の事故の実情は?

Q 自転車の事故って、そんなに多いの?

 県警によると、2021年に県内で発生した自転車が絡んだ人身事故は964件に上るんだ。そのうち半数近くの44・6%は、自転車側に道路交通法(道交法)の違反があった。自転車乗車中の死者は4人、けが人は954人というから怖いよね。

Q 自転車に乗っていた方が加害者になることもあるよね。

 そうだよ。2002年に福山市でライトをつけていなかった自転車の高校生が歩行者と衝突。歩行者は亡くなり、高校生が重過失致死容疑で書類送検された。全国でみると、自転車側に数千万円の高額賠償を命じる判決も出ているよ。

Q 自転車を運転する側の意識も変えなくちゃいけないね。

 県警はことし5月末、県内42カ所を「自転車指導啓発重点地区・路線」としてホームページで公表したんだ。通行量や人身事故が多い場所を選んだそうだよ。まずは、危ない場所を知って気を付けてもらおうということだね。さらに、この42カ所では特に、取り締まりに力を入れるそうだよ。

自転車のルールって?

Q 自転車の交通違反って、どんなものがあるの?

 自転車は道交法では、軽車両。車と同じように「信号無視」「一時不停止」「飲酒運転」「無灯火」といった違反が決められていて、罰則もあるんだ。運転中にスマートフォンを操作する「ながらスマホ」や、イヤホンで音楽を聴いたり傘を差したりする行為も、広島県道交法施行細則で禁止されていてアウト。4月に成立した改正道交法では、ヘルメット着用が努力義務になるんだよ。県警が2021年に摘発した自転車の道交法違反は63件で、過去5年間で最多だった。

Q 実際には、どんな違反が多いんだろう?

 罰則はないものの、注意喚起のために違反者に交付する「指導警告票」でみてみよう。ことし上半期(1~6月)の交付数は、既に年間の過去最多を上回る1万219件。多い順に①並進②無灯火③携帯電話使用④通行区分⑤一時不停止となっているよ。

Q 通行区分って何のこと?

 

 自転車で走れる場所って決まっているんだ。そもそも車道を走るのが原則。しかも最も左側を通行しなければならないんだ。右側だと逆走になってしまい、車と衝突する危険性が高くなるからね。
 ただ、歩道も条件によっては走っていいんだよ。「歩道通行可」の標識がある▽車の通行量が多く、車道が狭いなど車道を走るのが危険な場合▽13歳未満の子ども、70歳以上が自転車を運転するとき―は、歩道を通行できる。
 でも当然ながら、歩道は歩行者優先だよ。自転車は車道寄りを徐行し、歩行者の通行を妨げる場合は一時停止しなきゃいけない。ベルを鳴らして道を譲らせる行為は道交法違反になる。

Q 広島県は自転車の安全利用を促す条例をつくると聞いたよ。

 広島県の条例には、自転車による料理配達サービスのマナーの徹底や、損害賠償保険の加入義務化も盛り込む方針だよ。最近はスポーツタイプや電動アシスト付きなど自転車の種類や、シェアサイクルをはじめとする利用方法も広がって、ますます便利に。だからこそ、交通ルールを知らないと危険なんだ。取り締まり現場の取材では、違反だと知らずに走っている人が多くいた。「自転車を運転する人もドライバー」という自覚を一人一人が持つことが欠かせないね。

広島県内の「自転車指導啓発重点地区・路線」42カ所