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肉食を減らす「ゆるビーガン」広がってます@広島。 スイーツやラーメンも!

 乳製品や蜂蜜を含む動物由来の食品を食べないビーガン(完全菜食主義)への関心が高まっています。美容や健康だけでなく、環境保護や動物愛護にも配慮した生活スタイル。最近は完全菜食ではありませんが、肉食を減らす「ゆるビーガン」が急増中。広島県内でもビーガン対応の飲食店のほか、ビーガンコスメを扱う店の存在感も増しています。(赤江裕紀)

ゆるビーガンとは

スイーツはすべて植物性の材料

 福山市野上町の「ひかり洋菓子店」に並ぶケーキや焼き菓子はすべて、植物性の材料だけを使っている。豆乳や菜種油、ナッツ、果物などを使用し、クリームは豆腐やココナツミルク、寒天で作る。生地もクリームも、しっとりなめらかな仕上がりだ。

 店主の高橋智子さん(53)が2013年、母の病気をきっかけに「体に優しいお菓子を作りたい」と開いた。当初は小麦粉や卵アレルギーのある客が多かったが、ビーガンの客も増えているという。同市田尻町の会社員西畑優美子さん(29)は「ビーガンに関心があり、ずっと気になっていたお店」として初めて来店。美容と健康に気を配っている知人に贈る焼き菓子を購入した。

ビーガン向けランチ「体への負担少ない」

 東広島市福富町のパン工房カントリーグレインは、05年から併設のカフェスプラウツでビーガン向けランチを提供している。社長の片岡裕士さん(50)が、自身の病弱な体質を改善しようと米国で学んだビーガン料理。ここ数年、大豆ミートの普及で理解が深まり、動物愛護の観点から興味を持つ若い客が増えた。

 看板メニューは「クレンジングランチ」。デトックス(解毒)をコンセプトに、腸の働きを促す酵素が入ったニンジンのスムージーと4種類の総菜で食物繊維が豊富だ。片岡さんは「野菜や果物は肉ほど消化にエネルギーを使わないので、体への負担も少ない。中華や和食のレストランを選ぶ感覚で、ビーガンの食事を楽しんでほしい」と願う。

ビーガンの即席ラーメンは米粉の麺

 ビーガンの即席ラーメンを開発したのは、イタリアンレストランを運営するラグドール(広島市中区)だ。2月、米粉の麺で味の異なる3種類を「ココニコ」のブランドで売り出した。とんこつ味もあるが、動物性の原料は使っていない。昆布や豆乳、ガーリックパウダーなどで粉末スープを作っている。

ビーガンコスメも

 ビーガンは食べ物だけではない。植物性の原料でつくった化粧品「ビーガンコスメ」の人気も高まる。ボディーケア用品を扱うLUSH広島本通り店(中区)では商品の9割がビーガン対応となっている。

 「同じ品質なら、環境に良いものを選びたい」と話すのは東区のアルバイト藤原遥さん(23)。今年になってビーガンコスメを知り、ファンデーションをビーガン仕様に変えた。同店ではボディーソープや入浴剤を購入した。

 運営するラッシュジャパン(神奈川県愛川町)によると、英国で創業した1995年から動物実験に反対し、動物愛護の立場から卵の代替として豆腐やバナナを使うなど植物性原料の商品割合を増やしてきたという。広島本通り店のスタッフは「ビーガン対応商品かどうかラベルを見て買うお客さんが増えている」としている。


日本ヴィーガン協会の室谷真由美理事長に聞く

 ビーガンは英国発祥です。日本では、健康志向や地球温暖化などによる環境意識の高まりもあってここ3、4年で急速に広まりました。菜食主義のアスリートの実践を描く米国のドキュメンタリー映画「ゲームチェンジャー」が話題になったことも影響しているようです。

 最近目立つのは完全菜食でない「ゆるビーガン」です。毎日は難しくても週に数回、取り入れるそうです。大手食品企業も注目し、商品開発に力を入れています。東京五輪を機に外国人旅行客を意識した店が相次ぎビーガン対応を導入するなど市場は拡大しています。ビーガンコスメも増え、化粧品からビーガンを知る人もいるでしょう。

 ビーガン仕様のものは、アレルギーのある人やダイエット中の人、さまざまな人に安心して楽しんでもらえる貴重な選択肢の一つだと思います。