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「中国山地にキラ星のごとく点在する実践者が勇気づけられた本」 —ウィー東城店での創刊号イベント

『みんなでつくる中国山地創刊号』の発売を記念して、イベントが開催されています。180人もの方々が会員になってくださり、「みんなでつくる中国山地百年会議」の設立総会も無事に終わりました。次は、創刊号をきちんと届け、新しく仲間になってくれる人と出会いたいという思いでイベントが進められています。

11月14日は、創刊号にも登場したウィー東城店(広島県庄原市東城町)で2部構成のイベントがありました。第1部では、店主の佐藤友則さんと中国山地編集舎の森田一平さん、ローカルジャーナリストの田中輝美さんが本やこれからの中国山地について語り合い、さらに後半の第2部では「みんなで届ける中国山地」と題して創刊号をもっと届けるにはどうしたらいいかを参加者みなさんとアイデアを出し合いました。広島や岡山など中国山地から参加者があり、充実した時間になりました。

たばこもある、化粧品もある、美容室もある本屋「ウィー東城店」

ウィー東城店は、中国山地の山間に位置する本屋さんですが、普通の本屋さんと異なり化粧品やたばこ、物産品を店内で販売し、敷地内には美容室やコインランドリー、鶏卵販売場もある複合店。本屋の隣で美容室を始めた時に「なんで美容室?」といった疑問の声がなかったことから、「なんでもできる」とお客さんが必要なものを足し算的に追加していったら、今の状態になったようです(来年はパン屋もできるみたいです)。

なんでもそろうという点も面白いですが、イベント中も客足が絶えることもなく、さらに訪れたお客さんのほとんど全員が店員さんや佐藤さんと話を交わしているのが印象的でした。滞在時間は短かったですが、佐藤さんや店員のみなさんに会いに人が集まるような素敵な場所だと感じました。

ウィー東城店 店内

ファンキーな狼煙(のろし)

第1部のトークイベントでは、3人による熱く、面白いフリートークが繰り広げられました。佐藤さんは、「数字で根拠を示しながら、過疎が終わったという表現がうれしかった。ファンキーな狼煙の上がり方だった」と『のろし号』を手にした当時のことをまず振り返った後に、創刊号は中国山地の各地で活躍する実践者が多く登場していることに注目し、「中国山地にキラ星のごとく点在する実践者が勇気づけられた本だと思う」と話していました。

地域で活躍する人がどこか孤軍奮闘している感覚を持っていることに驚いたとともに、佐藤さんの話から実践している方々にとって『みんなでつくる中国山地』がどういった存在なのか、またどういった存在になりうるのかを実感しました。

トークイベントの様子

これからの新しい地元

続いて、フリートークでは本に込められた思いや裏話などが語られました。『のろし号』では中国山地の現在地が確認され、『創刊号』はこれからどんな社会を目指すのかを模索し、「地元から世界を創り直す」がテーマに掲げられています。人と人のつながりがあり、一緒に住んでいる仲間だから足りない所はみんな補い合う地元から、世界を変えていく必要があることが会場で共有されました。

「地元はここでない」—そうした疑問が頭に浮かぶ人も多いかもしれません。ただ、佐藤さんも店のある庄原市東城町が出身ではなく、「お客さんが教えてくれて今がある。第2の地元に育ててもらえた」と語ります。さらに、田中さんの「地元は自分でデザインできる。それを見つけて選んでほしい」という言葉や、森田さんの「土地の上に人のつながりがあるからこそ地元。新しい人どうしのつながりも含まれる」という言葉が印象的でした。

佐藤さん写真

どうやって「みんなで届ける中国山地」

第2部では、佐藤さんから素敵な提案があり、「みんなで届ける中国山地」と名付けて、参加してくださったみなさんと創刊号を届けるアイデアを出し合いました。

創刊号を購入できる店も限られ、届けたい人に届けるための方法が確立していない中で、参加してくださった方一人一人から意見をいただきました。例えば、100年間の発行を目指す年鑑誌『みんなでつくる中国山地』の100年セットや、大学進学で県外に出ていく子どもに届けるための4年セットなどのストーリーが込められた提案のほか、都会のアンテナショップや議員図書館に置くといった新しい視点からの提案もありました。

ウィー東城店 外観

突然の投げかけだったにもかかわらず、みなさんがそれぞれ自分の思いや取り組みを話しつつ、自分事のように本の届け方を提案する姿がまさしく「みんなで届ける中国山地」を体現していました。

最後は、また再会できることを願いつつ、みんなで記念撮影をしました。約3時間の長丁場でしたが、みなさんの顔から充実感があふれていました。

みなさんご参加いただき、ありがとうございました。引き続きイベントは開催される予定ですので、ご参加をお待ちしております!

(中国山地編集舎・江見光太郎)





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