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嫁に深いところをエグられる

夏。
久しぶりに恵比寿ガーデンプレイスへ嫁・次男とともに訪れた時の話だ。

理由は、帰省用のお土産を購入するため。
あまりの暑さで渋谷なんて行ってられないので近場の恵比寿へってことだ。

しかし、どのくらいぶりだったか。恵比寿。
厚生中央病院へ通院する時に来るくらいで、それ以外、駅側に近づくことはほとんどない。

不思議なもんだ。
その昔、江戸川に住んでいた頃は、恵比寿やら代官山やら、事あるごとに遊びにきていたものだが、こんなチャリで30分もかからない近所に住むとパッタリ来なくなる。

人間は遠くのものに憧れるのだなぁ。
違うか。遠いからこそ憧れるのか。
う~~ん。

まぁ、とにかく恵比寿でいつものように土産の買い物を済ませ歩いていると
スターライトシネマというイベントをやっていた。(昔の文章を再構築しているので、現在はやっておりません)

平たく言えば、外でみんなで映画を見ましょう的なイベントだ。
へぇ~~。

(嫁)『スターライトシネマだって』

(僕)『ね。なかなかいいよね』

(嫁)『そう?今日この夏一番の暑さだって言ってんのに、なんで外で並んでまで映画観なきゃなんないのよ』

(僕)『いやいや。趣向が面白いでしょうっての』

(嫁)『なにが?』

(僕)『だから、なんつ~の?オシャレでしょ?オシャレ。夏の夜にさ。恵比寿でさ。皆で外で映画観んだぞ。そりゃ、オシャレ以外のなにものでも無いでしょ?』

(嫁)『そう?みんなで汗かきながら映画観るのが?恵比寿で?』

(僕)『当たり前だろ!恵比寿だよ!恵比寿!天下の恵比寿!東京の恵比寿と言えば、土曜の夜はドコ見ても美人とオシャレ人しか歩いてないって言われるくらいの憧れスポットだぞ!分かるか!?分かんないだろうな~。お前みたいに生まれも育ちも中目黒の人間には』

(嫁)『正直なにがイインだかさっぱりだわ。スイカみたいなオッパイの女を好きな男の趣味と同じ位、さっぱり分からない。気味が悪いだけよね。スイカみたいなの』

(僕)『う~ん。スイカの件は分からんけど、とにかく映画の方はさ。そういうことよ。オシャレっていうか。つまり、映画が面白いとかつまらないとかそういうことじゃなくて。恵比寿でみんなで映画観るとか、そういう稀有なことに参加することで心が満たされるっていうのかね。つまり、そういうことよ』

(嫁)『ふ~~ん。変わってるわね。そんなんで心が満たされるなんて。それにアレも私考えられないのよね。アレ』

(僕)『アレ?.......あ~~、あの野外でビール飲んでるあそこ?』

(嫁)『そう。そう。なんで、こんなクソ暑い所でビール飲んでうまいの?ビアガーデンとかもそうだけど。飲んだそばからジャンジャン汗で出ちゃうじゃない』

(僕)『それがいいんじゃない!暑~~い夏に暑~~い中、キンキンに冷えたビールを飲むのがいいんじゃない!なんで分かんないかな~』

(嫁)『ふ~~ん。ワタシャ、涼しい店でキンキンのビール飲んだほうが、嬉しいけどねぇ.....』

(僕)『そっ、そりゃ、そうだよ!涼し~い店で飲むビールはウマイよ。そりゃ決まってるじゃない。そりゃ、そうだけど、暑いところで飲むのもまた、それはそれでいいなぁ~ってことよ』

(嫁)『そう?......暑くない?』

(僕)『暑いさ!そりゃ、暑いよ!けど、けどね。その趣向がいいじゃないか?ってことなわけよ』

(嫁)『う~~ん。理解できないわね。ホント。世の中は理解できないことでいっぱいだわ。キャンプとか、バーベキューとか。暑いし、寒いし、痛くて寝づらいし。虫とかいっぱいだし。あと、あんたの借りてくる映画とか。なんなの?こないだ観たヒミズとか。何がなんだかさっぱりよ。』

(僕)『う~~ん。難しいな。説明するのが....』

(嫁)『でしょ?説明できないでしょ?ってことは、たいして分かってないってことなのよ。

分かってないくせに分かったふりをして、さも、私は分かりましたよ~。
最高に楽しいですよ~。ってフリをしてるわけよ。
ホントは分かってないのに。わかる?

そのオシャレっぽいとか、そういう『記号』に乗っかって、分かったフリしてるから説明ができないわけ。

映画はこんな暑いトコじゃなくて涼しいトコで分かりやすい南極物語とか、すぐ感動しちゃうヤツを見ればいいのよ。わかる?

ビールも涼しいトコで飲んだほうが美味しいんだから。ホントに』

う~~~ん。ウチの嫁には心が豊かになるとか潤うとか、そういった概念がない。たぶん、その部分のネジが壊れてるんだ。

でも......。でも、言ってることが的を得過ぎてて何も言えん....。

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