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『怪談に学ぶ脳神経内科』【企画誕生前夜】第陸夜(編集A)


円筒分水の解釈

怪談本の執筆開始から約10ヵ月間、
私は全くの新しい試みから書き下ろし原稿が出来上がってくる最初の読解を独占する幸運に恵まれた。

本書についていろいろ語りたいとも思ったが
どんなに魅力的な書評も
“とりあえず読んで”には勝てない。

第1章 突然の報い ―脳卒中』に
塩釜神社が登場するので、とりあえず私の旅行フォルダを開放します。

図1

図1. 宮城県塩竈市 鹽竈神社.

図2

図2.鹽竈神社,左右宮拝殿.


ご執筆中の先生とのメールのやり取りも印象深かった。

・私のかなしばり体験記
・祖母が見たキツネの嫁入り
・医学書界でなぜか鳥獣戯画ブーム
・奇想の系譜展に行ってきました

なかでも、
円筒分水のやり取りはとくに忘れられない。


帰省することになった私の地元の話題となり、
ご当地遺構に話が及んだ。

【編集Aから駒ヶ嶺先生へのメール(改変)】
水をめぐる争いが絶えなかった私の地元には円筒分水があります。
全方位に均等に流れ落ちるのをみるたびに
ここまで厳密な平等しか許せない世界とか嫌いだわーと思ったものです。

図3

図3. 千葉にある円筒分水.

【駒ヶ嶺先生から編集Aへのメール(原文ママ)】
円筒分水という発明はすごいですね.
水の分配(「みくまり」)は水田共同体の要で,
共同体の窮屈さと美しさとして詩にしたことがあります.
この円筒分水のような美しい分配造形は,
なお一層,絆っちゅうものの窮屈さと美しさを,際立たせます.


うんすごい。
本書では駒ヶ嶺先生の世界が広がっています。
もうこれ以上に書くことはありません。
とりあえず読んで。

(おわり)


書籍タイトル
『怪談に学ぶ脳神経内科』

予約ページはこちらから
http://chugaiigaku.jp/item/detail.php?id=3129
https://ebookstore.m2plus.com/mproducts/9784498328549.html?ad=prod_66

著者略歴
駒ヶ嶺朋子(こまがみね ともこ)
1977 年生.2000 年早稲田大学第一文学部卒.同年,第38 回現代詩手帖賞受賞(駒ヶ嶺朋乎名).2006 年獨協医科大学医学部卒.国立病院機構東京医療センターで初期臨床研修後,獨協医科大学内科学(神経)入局.脳神経内科・総合内科専門医.2013 年獨協医科大学大学院卒.医学博士.詩集に『背丈ほどあるワレモコウ』(2006 年),『系統樹に灯る』(2016 年)(ともに思潮社)がある.

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