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京都府立医科大学Presents マイナーエマージェンシー!(5)〜その診療、本当に正しいですか?〜

京都府立医科大学Presents マイナーエマージェンシー!(5)
〜その診療、本当に正しいですか?〜
[第5回]創傷の処置,ちゃんとできていますか? 末梢神経ブロック編
担当:中島聡志
京都府立医科大学附属病院救急医療部/救急医療科
京都第二赤十字病院救急科
監 修:太田 凡 Bon Ota
京都府立医科大学附属病院救急医療部/救急医療科
代 表:宮本雄気 Yuki Miyamoto
京都府立医科大学附属病院・東京大学公共健康医学専攻
副代表:牧野陽介 Yosuke Makino
京都府立医科大学附属病院救急医療部/救急医療科

「絶対に断らない救急」をポリシーとする府立医大救急科.それを実現できるのは,「魚を単に与える」ような単純な知識だけではなく,応用の利く「魚の釣り方」を知っているから.そのコツを皆さんにお教えします!


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今回のPoint!

① 末梢神経ブロックについて知る.
② 指神経ブロックをできるようになろう!
③ 耳介神経ブロックをできるようになろう!
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 前回に引き続き,今回も創傷の診療です.後編は末梢神経ブロック編です.救急外来では毎日のように創傷の処置を行いますが,処置を行うにあたって鎮痛は必須行為です.鎮痛の方法として局所麻酔法を用いることが多いですが,末梢神経ブロックも行うことができると手技の幅が広がります.今回は救急外来で出会う頻度の多い外傷,そしてその部位に応じた神経ブロックについて学んでいきましょう.

【人物紹介】
・後期研修医 M先生:先週外傷診療の講習を受けて少し自信がついてきている今日この頃.
・指導医 O先生:「断らない救急」をポリシーに,皆を時に優しく,時に厳しく指導する.

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症例1

手指挫創の30歳,男性.料理屋で勤務中,包丁で誤って自分の左示指を2 cm切ってしまい,救急外来を受診[図1]

図1

[図1]症例1 手指挫創

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M先生 眼と違って,これなら自分でできそうですね.創傷の処置の基本は「写真,異物,洗浄,止血」ですね!
O先生 OK,そうだね.
M先生 じゃあ指神経ブロックしてやっときますね!
O先生 ちょっと待って.末梢神経ブロックの前に評価すべきことはなんだい?
M先生 え……評価?

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