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京都府立医科大学Presents マイナーエマージェンシー!(6)〜その診療、本当に正しいですか?〜

京都府立医科大学Presents マイナーエマージェンシー!(6)
〜その診療、本当に正しいですか?〜
[第6回]タマ(命)を守れ!陰囊痛のマネジメント
担当:松山 匡
京都府立医科大学附属病院救急医療部/救急医療科
監 修:太田 凡
京都府立医科大学附属病院救急医療部/救急医療科
代 表:宮本雄気
京都府立医科大学附属病院・東京大学公共健康医学専攻
副代表:牧野陽介
京都府立医科大学附属病院救急医療部/救急医療科

「絶対に断らない救急」をポリシーとする府立医大救急科.それを実現できるのは,「魚を単に与える」ような単純な知識だけではなく,応用の利く「魚の釣り方」を知っているから.そのコツを皆さんにお教えします!


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今回のPoint!

・陰囊(内)の解剖を理解しよう.
・陰囊痛の鑑別診断を理解しよう.
・急性陰囊症の鑑別をあげることができるようになろう.
・急性陰囊症の診断ができ,適切に対処を行うことができるようになろう.
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 今回は泌尿器科領域の救急疾患(特に急性陰囊症)について解説していきます.特殊な領域ではありますが,適切な病歴聴取と診察で,泌尿器科医に速やかにコンサルテーションが必要な場合とそうでない場合を区別することが可能です.また泌尿器科領域以外の疾患,たとえば腹部の疾患の放散痛であることもあり,幅広い鑑別診断を想定して診療することが大事です.

【人物紹介】
・指導医 O先生:「断らない救急」をポリシーに皆を時に優しく,時に厳しく指導する.
・初期研修医 M先生:初期研修1年目.最近ようやく救急当直に慣れ始めてきた.

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症例

特に既往のない15歳,男児.1時間前からの左陰囊痛を主訴に午前1時に救急受診.外傷歴なし.
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M先生 うわー,こんな時間に…….陰囊痛なんて…….とりあえず痛み止めを使って,数時間後の泌尿器科外来に受診してもらおうか.
O先生 M先生,困ってしまってどうしたんだい?
M先生 いやー,15歳の子どもが陰囊痛で来院してまして.陰囊痛なんてお手上げです.夜中に泌尿器科の先生を呼ぶのもはばかれますし,痛み止めを処方して明日の泌尿器科外来受診を促そうと思います.
O先生 まぁまぁM先生,まずは解剖学的には陰囊のどのあたりを痛がっているんだい?
M先生 か,解剖…….

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