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いつもの通り道②

(過去投稿のいつもの通り道の続き)

朝、駅に向かって歩いていると、若い女性に「この先に猫がいて怖いので、ついて行ってもいいですか?」と声をかけられた。

一緒に歩いて例の猫がいなくなった瞬間に小走りでその女性は走り去って行った。

「今度猫カフェにでも行きませんか?」と誘えなくて後悔した。

というのが前回のあらすじ。

それから半年後、僕は部署異動で別のオフィスで勤務することになった。

数ヶ月してなれて来た頃、猫の女性に似た人が社内にいた。

ただ身長が全く違うと感じたので他人だと思った。

そんなある日、仕事の帰りに電車に例の彼女が乗り込んで来た。

まさかとは思ったが、同じ駅で降りて、家も近所のようだった。

共通の知人に話すと、後日その知人の話から同一人物であることが判明した。

まさにその次の日、偶然に猫の女性と話せるタイミングがやって来た。

お疲れ様です。と他の社員に挨拶するように、挨拶をしたついでに、あの時の方ですか?と聞くと、間違いなかった。

ただ彼女の薬指にはシンプルな指輪が光っていた。

僕は心の中で

おかしいだろ!!なんで既婚者なんだよ!!
普通運命の出会いなんだから独身が相場だろ!!

と憤った。

今はと言うと、普通に世間話ができる仲になっている。

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