見出し画像

エブエブ見た?今すぐ見に行って!!

いやー、久々に映画で泣いたし、めちゃくちゃよい映画体験ができたので感想書いちゃおうかな。
かねてからの話題作、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。
公式では「アクション・エンターテイメント」とうたっている。マルチバース!カンフー!うおお!!って感じのエンターテイメント全振り映画だと思っていたけど、想定以上に色んなメッセージが込められていた。
普段映画では「さあ泣いてください!」と言われているようで、あまのじゃくな私は絶対泣かないと心を決めているのに、今作でめちゃくちゃ泣いてしまった。

自分は誰かの娘だと感じている人、誰かの母親だと感じている人、自分の人生にもこの世にもうんざりしてる人、ぜひ見に行ってほしい!!
混沌とした時代を生きる私たちに寄り添ってくれて、勇気を与えてくれる映画だった。(巷では「セラピー映画」と言われているらしい)


★ここからネタバレあり感想★

本作は、
・母と娘の物語
・一つの人生を生きる私の物語
・社会と対峙する私の物語
の3つのテーマに分けられると感じた。


・母と娘の物語

母と娘は密接な(または密接でならなければならないという圧力のある)関係であり、それゆえ複雑な感情を持つことがある。私は子どもがいないので自然と娘の立場で考えてしまうのだが、時として「母親みたいになりたくない。でも、母親には愛されたい」という、相反する気持ちを抱えることがある。ジョイも同じような気持ちを抱えていたから、最後に母親に抱きしめられたとき、私も自分の母親に抱きしめられた気がした。現実の母親はそんなことしないと思うし、永遠に愛で包んでくれるパートナーなんていないと思うけど、きっとどこかの世界線では愛されている自分がいて、愛してくれる母親やパートナーがいるんだろうなって感じることができた。

・一つの人生を生きる私の物語

誰しも、「あの時ああすればよかった」とか「別の人生を生きてみたかった」と思ったことはあるだろう。この映画ではあの時別の選択を選んだ場合をすべて見せてくれる。別の人生を選んだときの方が、今の人生より輝いていて大切な瞬間もたくさんあるけど、それを知ったうえで、結局は何の変哲もなくて退屈な、不満もいっぱいあるし大切な瞬間なんてめったにない現在の世界線を、「ただあなたがいるだけ」で選んだエヴリン。そんなエヴリンの姿を見て、マルチバースを行き来できない私は今の人生の一つひとつの瞬間と、目の前にいる人たちを大切にして生きていこうって前を向かせてくれた。

・社会と対峙する私の物語

娘であるジョイは社会に絶望し、ベーグルを作る。ベーグルは絶望の象徴である。ジョイのセリフで「結局は何もなくなる」「すべては無意味だ」という趣旨の話をしていたと思うが、このセリフが私にささった。そうなんだよ、よく言ったジョイ!!本当は愛されたいし、愛を与えあう社会にあこがれているんだよ。でも現実はいくら愛を与えても裏切られるし、社会は自分に対して敵意をむき出しにしてくる。だから結局何をしても意味がなくてすべては何の意味もない行為。何もしないことが人生における正解なんだよ!!って思っていたから、ジョイにはめちゃくちゃ感情移入してしまった。
最後にエヴリンが、たくさんの敵意に対して愛で立ち向かっていく姿に勇気づけられた。この世界も捨てたもんじゃないって言うと陳腐になってしまうけど、もう少し理想にむかってもがいてもいいのかもしれないって思えた。


結論
今の自分に寄り添ってくれて、愛で包んでくれて、勇気づけてくれた大切な映画!見てよかった!ぜひみなさんも映画館で!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?