東海カーボンの2019年12月期第1四半期(2019Q1)決算を読む~黒鉛電極のボロ稼ぎは続くか?

今回は東海カーボンの2019年12月期第1四半期(2019Q1)決算についてみていきます。


東海カーボンは、電炉用の黒鉛電極のほか、タイヤやインク用のカーボンブラック、半導体製造装置用のSiC部品などなど、炭素を利用した諸々の製品を製造する企業です。

ここもと市況高騰で黒鉛電極の価格が上昇し、同社の業績は目下確変中となっています。

今回はそんな東海カーボンの業績をみていくとともに、各種統計から黒鉛電極の市況なども含めて眺めていこうと思います。


まずはいつものように、お手元に東海カーボンのサイトから以下の決算資料を落としてきてご用意ください。

今回は以下のものを中心にみていきます。

2019年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

2019年12月期第1四半期決算説明会資料

※なお、以下に載せる画像の多くは特別な表記がないかぎり同社の決算資料より引用しております。

※過去の同社の決算に関しては以下をごらんください。

【5301】東海カーボンの業績と株価~黒鉛電極が収益の柱~


東海カーボン 2019年12月期第1四半期決算(2019年Q1決算) 概略

まずはざっくりと決算数字を確認していきます。

東海カーボンの2019年Q1決算の業績は、前年同期比で売上が65.5%増、営業利益が68.3%増と非常に堅調になりました。

この背景には、おもに電炉用黒鉛電極市場の暴騰があります。

黒鉛電極の輸出価格は最安値の3倍近くまで上昇しており、これが同社の業績を押し上げる形となりました。

とりあえず、そのあたりの事情の背景も含めて、各事業セグメントごとに追ってみていきます。



中国の環境規制強化で暴騰した黒鉛電極

東海カーボンの業績拡大の背景には、中国の環境規制強化があります。

2017年末頃より中国で環境規制が非常に強化され、大気中に放出される二酸化炭素や窒素酸化物、粒子状物質への当局の取り締まりが厳しくなりました。

これにより、いわゆる地条鋼とよばれる、ただスクラップを溶かして固めただけの粗悪な鉄が市場から排除されたほか、大気汚染対策を施しにくい中小規模の高炉も廃炉に追い込まれ、代わりに電炉を用いた製鉄法が推奨されました。

このことにより電炉用の黒鉛電極の需要が拡大。

とくに高品質で知られる日本製の黒鉛電極に需要が急拡大し、価格が暴騰することになりました。

なお、電炉についてはこちらの動画をご覧いただければどんなものかわかると思います。



途中、溶鉱炉にぶち込む黒くて固そうな太い棒が出てきますが、あれが黒鉛電極です。

電力の使用量は凄まじいのですが、とりあえずコークス利用するより環境負荷は小さいので、中国政府としても電炉を積極的に推奨していきたいのだそうです。

そんなわけで、黒鉛電極の輸出価格が急上昇しました。

そこらへんを統計でみていきます。


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