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安心に温度があるとすると、

どれくらいの熱だろう。


ぼんやり、そんなことを考えながら

かぼちゃを煮ていた。

今日はかぼちゃのポタージュを作った。


牛乳ではなく、豆乳で作ったけど

まろやかでかぼちゃのうまみもしっかり出ていて

とてもおいしかった。


わたしは雑貨と文具の店で働いている。

今販売しているものは、

もちろん何年も何十年も前から

ずっとベストセラーのものやブランドがあり、

その存在を知ったうえで買いに来る人も

そうでなく、うちの店で出逢い、

そこからファンになるひともいる。


今日は仕事が休みで、自分が大学時代まで過ごした部屋を

かたづけていた。


文房具などをまとめた段ボールを開け、いらないものなどを整理していたら

ある鉛筆削りが出てきた。

それは、今となっては私もよく知っている

ステッドラーの鉛筆削り。

ステッドラーは言わずと知れた

ドイツの製図用筆記具ブランド。


大学受験真っ只中の高校生のころ、私は

文具はすきだったが、ブランドなどには特にこだわりもなく、

強いて言えば無印良品のペンとナカバヤシのノートを愛用していたくらい。

書きやすさなどは気にしつつも、必要なものとして文具店で買っていたのを覚えている。


10年の時を経て、今私は

そのステッドラーの鉛筆削りの

ブランドと、その価値を知ることができた。


とても不思議な感覚なのだが、

この出来事に、少なからず安心したわたしがいた。

それは、うまく表現できないが、

昔から、好きな自分がいた、ということの証明のように

感じたから。


おかしな話かもしれないが、

なぜか、そのステッドラーの鉛筆削りに安心を覚えた。


文具店員になってから、

当然知らなかったメーカーやブランドやそのアイテムは

無数にあり、今でも勉強中だ。


きっとどこかに、

そんなに知らなかった自分が、

今ここにいていいのだろうか、という少しの不安があったのだと思う。

というか、気づいた。


私の中に気づかぬうちにあった不安に、

安心に変わって気づく。


この体験はとても面白かった。


いち文具好きとして、

いち販売員として、

また、一人の人間として

こんな気づかぬうちに抱いていた不安を

ひとつづつ解消しながら

ちょっとづつでも進化できていると思うと、

これはうれしい出来事だ。



こんな状況だからこそできた家の掃除と、

自分の不安と安心が

おもしろいようにつながった今日。

これからの私の、様々な場面に影響する

大事な出来事になるだろうとおもっている。



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