前歯を直してみた。

前歯を直してみた。

私の前歯2本、これ、なんていうのかな?
ハの字型に生えている。
要するに、前歯2本、歯並びが悪くて、出ている感じ。

正直、この年まで、あんまり気にしていなかった。
でもいつだったか、会社の上司に、「出っ歯」と言われた。
前歯2本の、いわば側面がちょっと出てるだけなので、全体的には出っ歯、とはちょっと違う気もするが。
でも私は結構傷ついた。
そんなこと、面と向かって言われたことがなかった。
それからずーーーっと気にしてしまっていたのは確か。
笑った写真が、決定的に嫌いになった。

急に決めたのだが、歯医者の定期検診に行ったついでに、前歯を直そうと思った。
虫歯もあったので、いずれ直したいとは思っていたが、完全に「当てつけ」が動機。

上司は悪い人じゃないのは分かっているが、いい人でもない。
実のところ、数々のパワハラ発言に耐えてきた。
あんまりそんなことに目くじら立てたくもないので、笑って済ますこともできるが、そんな見た目をどうこう言って人を不愉快にさせることが、今の世の中、まだ通ると思っているのが嫌なのだ。

今はテレワークだからしばらく会うこともないが、そのうちイヤでも会うから、もし何か言われたら、「出っ歯って言われたのが嫌だったから直した」と言おうと決めた。

と思ってやる気を出していたが、いざ治療したら、私の40年ほど連れ添った前歯が無くなったことが、思ったより悲しくて、人目を忍んで泣いた。
元の歯を削って、芯だけ残して、あとはセラミックの義歯を被せる。
一応、歯の形や大きさは、元々のものを踏襲している。
それを綺麗な並びに直した。

大好きな人が気に入ってくれていて、「直さなくてもいいと思うけどな。キミをキミとして形作っているもの、全てが好きだから」と言ってくれた前歯。

でももう前歯は戻らない。
バカなことをしたかも、と思った。
でも、きっと彼は新しい前歯も愛してくれる。
直さなかったら、きっと前歯の歯並びを気にする度、上司への憎しみも、ずっと甦っただろう。

私は上司への憎しみを捨てたのだ、と思うことにした。
前歯と引き換えに、怒りや憎しみから開放されたのだと。
人を憎むエネルギーを、どんな私も愛してくれる人のために使いたい。

コンプレックスは少ない方がいいとは思う。
コンプレックスをポジティブに考えるなんて、メンタル強くないと、実際なかなか難しい。
自分では整形はしてないが(メイクが得意だし)、整形賛成派。
でも、本当に必要かはじっくり、十分に考えてもいいと思う。
思ったより自分のパーツは愛着のあるものたのだ。
唯一無二なんだし。

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