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素材にとって〝心地良い塩〟がある。

文・撮影/長尾謙一 

クリスマス島の塩(素材のちから第26号より)
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塩には2つの種類があるのではないだろうか。塩味で素材の風味を引き出す塩と、素材に塩味を加えるだけの塩だ。素材にとって〝心地良い塩〟を使うと、そのおいしさは前に出てその存在を主張するが、塩味を加えるだけの塩は塩味の加減を取るだけで、その量を誤ると〝痛い塩〟になる。

心がけることは、料理に季節感と素材感を出すことです。

料理長 原島 忠士 さん

ALLIÉ東京都港区麻布十番
オープンは2016年2月。名前の「ALLIÉ」は、同盟や仲間の意味。お客様とスタッフ、産地の生産者、食材を運んでくれる人たち、つながっているすべての人たちの思いを一皿にのせる、そんな料理をつくりたいと原島氏は言う。料理もサービスも18席の小さな店を少ないスタッフで切り盛りするからこそできる最高のパフォーマンスを提供する。シェフとサービスの一体感が武器だ。

素材に味を足すよりも素材そのもののおいしさを出す

今やり始めたばかりですから「自分のスタイルというのはこれだ。」というのは確立できていません。そこを探している最中です。これから丁寧に仕事をやりながら「やっぱりこういう料理がつくりたいな。こういう料理が自分に合っているんだな。」というものを、時間をかけてつくり上げていこうと思っています。

一番心がけているのは季節感と素材感を出すことです。旬を迎えてその素材が力を持っている一番いい時期に、魚なら魚を、野菜なら野菜をおいしく食べる料理をつくりたい。素材に味を足していく料理というより、素材そのもののおいしさをどう出すかというところです。

「クリスマス島の塩」はどの素材とも相性が良くて、この不思議な塩の力に魅せられてオープンの時から使っています。実はこの店を開店する前にお世話になっていたフランス料理店、ランベリーでも使っていました。

塩味が尖ってなく、まろやかという表現はちょっと違うのかもしれませんが、ミネラル感が溢れていて、何か甘いですよね。クリスマス島の海の水を風と光が塩にした〝完全海水天日干し〟の塩、ですからこの塩は海の水そのままということですよね。ミネラル感が豊富なのも当然といえば当然です。素材の風味を引き出す秘密はここにあるのでしょう。

「クリスマス島の塩」が陰で料理を演出している

これから夏に向かう季節に〝焼きナスとウニとサザエとトウモロコシのクレーム〟をつくりました。夏野菜であるトウモロコシそのもののおいしさをどう出すかがポイントの料理です。

焼きナスとウニとサザエとトウモロコシのクレーム

サザエを蒸してスライスし、ナスは焼いて皮を剥きます。トウモロコシは蒸して焼いて香ばしさを出します。ウニにはコンソメのジュレを添えます。
後はトウモロコシのスープですが、トウモロコシをペースト状にしてクリームと牛乳でのばしてなめらかなクレーム状にします。

この料理の主役はトウモロコシです。主役のトウモロコシと一緒にサザエを、トウモロコシと一緒にウニを、トウモロコシと一緒にナスを召し上がっていただきます。まさにトウモロコシを楽しんでいただくという贅沢な感覚の料理なのです。

ですから、サザエもウニもトウモロコシを食べるためにあるということが分かるように、トウモロコシが他の素材に負けない魅力を持つように仕上げています。

口に入れた途端に、ウニが主役では面白くありません。あくまでもトウモロコシを楽しんでいただく。そのためにウニがありサザエがありナスがあるのです。

この料理を陰で演出してトウモロコシを主役にしているのが「クリスマス島の塩」です。素材がシンプルにお皿の上で活躍できるのはこの塩の力です。「クリスマス島の塩」のミネラル感と甘さでトウモロコシのスープのコクが深まり、まるで砂糖を入れたのかと思うような甘みを感じますが、「クリスマス島の塩」だけでこの甘さを引き出しています。

素材にとって〝心地良い塩〟と〝痛い塩〟がある

次は夏の王様オコゼの料理、〝オコゼのポワレと万願寺唐辛子のソース〟です。万願寺唐辛子のソースには「クリスマス島の塩」と、ちょっと枝豆を入れて食感を出してあります。ズッキーニは新玉ねぎに塩をふって、真空にして蒸してピューレにし、少しハマグリの出汁を入れて和えました。

オコゼのポワレと万願寺唐辛子のソース

オコゼはおろしたらすぐに塩をあてて水分を出し、水分をよく拭ってからポワレします。「クリスマス島の塩」は素材の持っているエッセンスを引き出せるだけ引き出して濃さを増すのです。だから料理は自ずとシンプルになっていきます。

私の料理は「和食みたい。」と言われることがよくあります。万願寺唐辛子や新玉ねぎなどの野菜をソースにしても、夏野菜の力が「クリスマス島の塩」の持つミネラル感と角がない塩味に引き出されて素材本来のおいしさを濃く感じます。

オコゼに「クリスマス島の塩」をあてておくと、旨みがぐんぐん出てきますね。普通の塩だったら、オコゼにとって〝痛い塩〟になります。それがいわゆる、〝しょっぱい〟と言われる塩です。「クリスマス島の塩」は塩がまるくて素材にとって〝心地良い塩〟ですね。

肉にも、この塩のミネラルは力を発揮する

最後に、黒豚、〝今帰仁(なきじん)アグー豚〟を3つの仕立てに調理しました。

今帰仁アグー豚の三種仕立て

まず、1つ目は白ビール煮です。皮の部分も食べられるようトロトロに煮てさっぱりとさせています。「クリスマス島の塩」をふって焼き、白ビールと豚のフォンと鶏のブイヨンで煮込みます。その塩がそのままソースに溶け込んで煮込みの塩気になります。ブラッドオレンジを皮ごと入れますが、白ビールはちょっとオレンジっぽい香りがしますから、豚とオレンジは相性が良くておいしいのでやってみようかなと思いました。

2つ目は豚の炭焼きです。熟成期間を設けてしっかりと管理されたアグー豚ですから、そのおいしさはシンプルに塩胡椒だけで召し上がっていただきたいのです。ソースは豚のフォンと京都の黒七味を入れてつくりました。

3つ目は、ミンチ肉とマッシュルームとセージ、ハーブでファルスのようなものをつくりました。私どもでは〝今帰仁アグー豚〟を半頭買いしていますからステーキには向かないような端っこの肉が出てしまうのです。それをミンチ肉にして塩でまとめて焼いて、焼いておいた椎茸を上から添えました。

部位の違い、調理の違いで〝今帰仁アグー豚〟の魅力を一皿にしたいという私の考えを「クリスマス島の塩」は忠実に表現してくれます。肉にとってもこの塩のミネラルはとても有効です。


お問い合わせ:クリスマス・アイランド21株式会社

(2017年6月30日発行「素材のちから」第26号掲載記事)

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