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【まとめ】SAVE THE CATの法則

いちばん役に立つ脚本術

エンターテイメントに関わる人間として、いままでたくさんのシナリオライティングの本を読んできた。小説家が書いたものと脚本家が書くものでちょっと内容が違ったりするので面白いのだが、問題はどれもこれも小難しいこと。

とくに、いわゆる「三幕構成」を取り扱っている本は多い。
けどミッドポイントだとかサブプロットだとか、よくわからないカタカナにごまかされて、本質がわかりづらいものがほとんどだった。

本書は私がこれまで読んだ中でいちばん明快で、しかも実践的だと感じた。
プロットの配分もあわせて、備忘録として記録しておこうと思う。

1.最高のログラインを

ログラインとはつまり、1行で「どんな話」かを説明するもの。

遺伝子操作で復活した恐竜のテーマパークで襲われる
タイムトラベルした先で両親を結婚させるようにする

スピルバーグが好きなのでどちらも有名作から。
このあらすじの段階でワクワクしなければいけない。

2.プロットの配分

オープニング・イメージ(1※数字は110分の映画における配分)
映画全体の雰囲気、変化する前の主人公の紹介

テーマの提示(5)
主人公以外の誰かが、テーマを口にする。
「お金よりも大切なのは家族」とか。

セットアップ(1−10)
登場人物全員が登場する。
彼らの特徴や、のちに起こる問題の原因となる行動も提示される。
主人公に足りていないもの(変化するもの)を見せる。

きっかけ(12)
人生を変えるような瞬間によって旅がはじまる。
マトリックスの電話がかかってくるみたいな。

悩みのとき(12−15)
主人公はアクションを起こす前に葛藤する。
何かしらの疑問をいだき、行動するという結論にいたる。

第一ターニングポイント(25)
古い世界を出て、正反対の世界に進む瞬間。
2つの世界は違うので、自ら入ろうという明確な意志が必要になる。
ルークがハン・ソロの宇宙船に乗り込むように。

サブプロット(30)
一息入れるところ。多くはラブストーリー。
セットアップに出てきていない人物が登場することもある。
その場合、一幕とは正反対の性格であることが多い。

お楽しみ(30−55)
観客に対するお約束を果たす場所。
ポスターや予告編に乗るような、いちばんおもしろいところ。
スパイダーマンが突然身についた不思議なパワーを試すみたいな。

ミッド・ポイント(55)
映画の前半、後半をわけるポイント。
主人公はミッド・ポイントで「絶好調」または「絶不調」になる。
これは見せかけなので、その後に正反対の展開になる。
これを機に、いちだんと危険度がアップする。

迫りくる悪い奴ら(55−75)
主人公に負けた悪役はリベンジを図る。
一方、みせかけの成功にまどわされて主人公は落ちていく。

すべてを失って(75)
失意のどん底に落とされる。
ここで、死の気配が出てくると、良い感じになりやすい。
師匠のオビワンが死んだルークが、その死によって「自分にはすでに力が身についていたこと」に気づくみたいに。

心の暗闇(75−85)
主人公は深く考え、心の奥底を探る。
そして、解決策を見つけ出す。

第二ターニングポイント(85)
メインプロットとサブプロットが融合し、解決に向かって動き出す。
主人公が好きな女の子から解決のためのヒントをもらう、みたいな。
すると悪役を倒し、意中の子のハートも射止めることが思い浮かぶ。

フィナーレ(85−110)
教訓を学び、主人公の直すべき点が直り、メインプロットもサブプロットも主人公が勝利して終わる。
悪役は一掃され、新しい世界が創造される。

ファイナル・イメージ(110)
オープニングイメージとは正反対になり、本物の変化が起きたことを見せる。


お楽しみ、の部分は個人的にすごく驚きだった。
なるほどここで一気にストーリーを進めるのではなく、こういう面白いシーンがありますよという気持ちよさを提供し、ラストにつなげていくのだ。

いくつかのテクニック

・主人公は応援できる人間にする
魅力的な主人公にするためには、不良でも心優しいところをみせる。

・状況説明を楽しく
だいたい説明シーンはつまらない。
ので、なにかしら面白い行動をさせながら説明する。

・魔法は一回だけ
突飛な設定はひとつまでにする。
タイムマシンを作ったら、それ以上のことはしてはいけない。

・危機は近づける
ゆっくりとした危険は意味がない。

・マスコミは登場させない
秘密は、登場人物と観客だけのものにしておこう。

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