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【ネタバレあり映画感想】ミッシングー社会派プリズナーズー

ミッシングを観てきた。
本作内ではBlankという
アイドルグループが登場するが
Blankといえば
同監督の作品である「空白」を想起させる。
この物語もいかにどうにもならないことに
「折り合いをつけるか」という物語だとわかる。

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青木崇高の存在
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「空白」では憤りの矛先が松坂桃李に
決定されるので 古田新太の
迫真の怒りが披露された。

本作においては基本的に
怒りのエネルギーのぶつけ先がない人たちを扱う。
これは作中に登場するクレーマーなどの
「怒りをぶつける人たち」
と対比されているわけだが、
空白における古田新太の役割は
沙織里(石原さとみ)が担当したと言えるだろう。
沙織里が「動」の憤りであれば
豊(青木崇高)は「静」の憤りとなるわけだ。

そしてこの青木崇高という俳優。
まずここに触れさせてほしい。

なぜ今まであまり注目していなかったのかと
自分を責めたくなるくらい
圧倒的に良かった。

特に喫煙所で他の家族に自分たちのIFを投影して
タバコを吸いながら 目に涙を浮かべるシーン。
不意を突かれかなりグッと来た。

本作はここが個人的なピークと言っても
過言ではないくらい
このシーンが圧巻だった。

自分も悲しい思いをしているというのは
建前じゃない。
もちろん沙織里にそれをぶつけ続ける
こともできるし
そうなる家族も実際いるはずである。
ただ豊はとことん優しいのだ。
そして物語終盤では沙織里は
身近な人たちの優しさに触れていく。

ちなみに本作ではもちろん石原さとみも
素晴らしいのだが
周りの俳優も素晴らしい。

ストライカーとして得点を
決めたのが石原さとみだとすれば、
青木崇高と中村倫也は
さしずめ全盛期バルセロナの
シャビとイニエスタといったところか。


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折り合いをつけるシークエンス
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今回登場するメインの四人
娘がいなくなった沙織里と豊
テレビ局で記者として働く砂田
沙織里の弟である圭吾

このメンバーはそれぞれ行き場のない
憤りを抱える者たちだ。
夫婦はもちろん、砂田は対会社(上司や後輩)
圭吾も沙織里と豊と同じように
姪がいなくなったことを悲しんでいた。

さらに圭吾と沙織里は特別だ。
彼らはやり場のない感情を自分に向けている。
間接的に娘がいなくなってしまったこと
の要因を作ってしまった(と思っている)からだ。

物語の終盤ではそれぞれに対する
折り合いをつけて話は終わる。

1つは圭吾が車の中で沙織里に謝るシーンだ。

沙織里は圭吾を強く責めていた。
これは「空白」で古田新太が松坂桃李に
向けていた
強い要因を生み出したものに対する
怒りの感情と類似する。

車の中で圭吾が「ごめん」と言ったときに
流れるBlankの曲は
「空白」おけるラストのメッセージと重ねあわせる
ということなのだろう。

そしてもう1点は
沙織里が身近な人たちの優しさに
触れていくシークエンスだ。

沙織里はネットの誹謗中傷やいたずら電話
にノイローゼになっていた。
ただこれは自分で拾いに行っている情報
も多くあった。
一種の自傷行動のように思える。
自分に非があると感じている分
苦しみたい気持ちが混在していたのだろう。

豊に対しても「赦すか責めるか決めてほしい」
(セリフ間違ってるかも)
のようなことを言っていたりもした。

ただ豊は「俺が一番の味方だ」と優しく接した。
これだけではない。
豊の職場の人たちや
沙織里の職場の新人後輩など
身近な人たちはとことん優しかった。

沙織里はここを見落としていた。
ネットのコメントに目を向けるより
周りの人たちの優しさに目を向けることで
自分が自分を責めすぎていたことに気付く。

さらには同じような誘拐事件が発生したときに
見つかるように手助けしたことをそのお母さん
から感謝される。

これによって今まで沙織里がしてきたことは
意味のあったことだ。
無駄じゃなかったと思えた。
そしてそれを横でずっと支えていた豊が
涙するのだ。

いや、豊最高すぎる、、。
豊あってのミッシング
ミッシングあっての豊である。

そして今まで見落としていた
オレンジのきれいさにも気づいた。
自分を責めるのは終わりにしよう。
自分を赦してあげ
同じことが起こらないようにするために
ボランティアに参加することで
未来に目を向けるのであった。

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プリズナーズのオマージュ?
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良い悪いではなく、
状況や役の雰囲気を観たときに
どうしてもドゥニヴィルヌーヴ監督の名作
『プリズナーズ』が頭にちらついた。
娘が行方不明になるヒュージャックマン
圭吾みたいな見た目のポール・ダノ。
砂田のハードボイルド感も若干ジェイク・ギレンホール
っぽさを感じたし、

圭吾が犯人っぽい感じにするのも
めっちゃポール・ダノやんとなった。
(あっちはポール・ダノが良い意味で
やばすぎてビックリしたが。)

ちなみに、プリズナーズめっちゃおもしろい
のでお勧めです。

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最後に
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あまり触れていないけど
中村倫也もとてもよかった。

ただ、青木崇高やばかったな、、



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