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寓話くらい現実的な

back in black。ダンゴムシが日陰に戻ってくいく。安定の日常に飽き飽きする。遠回りしてベッドに入る。布団に包まれて副交感神経がまとわりつくのもいいが、交感神経がギリギリと擦れるような一瞬が欲しい。パーソナルカラーガン無視の黒いツナギ一丁で夜中の倉庫を走り回った記憶。誰よりも搾取されていた青春が無ければ今の自分は間違いなくありえない。つらい過去を美化とかではない。あの時分の極端なハイとダウンの繰り返しは、都度に莫大なエネルギーを生み出していた。辛いのが強烈に面白くて、ただ永遠に続くかもと考えると猛烈に悲しかった。その度に人に頼ったけど、その度に結局近しい奴との関係性って何か現実的でクリティカルなことを曖昧にしてるだけって気づいた。見覚えのないLINEの登録名がだんだんと増えていく。

年々悪くなる実家との関係は、まさにそのリアルでクリティカルなことが明らかになる過程だった。自分はもう子供ではないと言う現実と自分の生き方や性分という本質的なところがもう隠せなくなってきた。親不孝と不義理を重ね続けて、もう祖父の死に目や甥の成長過程すら捨てようとしている。「するな」という意味を込めて語られてきた悪人やクズの物語を自分は今行う。

いつだって経済的、社会的弱者の更生物語は過度に過去を漂白している。言語化できないままの現実のパンチ力に恐れて、今の幸せな現在を語ることで過去を語ったことにする。語り切ったところで固有性が高すぎて通じるはずがないのに。

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