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トラウマ記憶の仕組み、最新技術で解明

当院の利用者の中にも子供時代についた心の傷を、癒されないまま大人になったと思われる方が何人かいます。

 心の傷、として知られるトラウマ。これに関連する記憶の脳内メカニズムは、長らく謎に包まれていました。しかし、最新の研究がそのベールを剥がしました。

 先日、「Nature Communications」という著名な学術誌に掲載された一連の研究により、トラウマ記憶の脳内の神経細胞ネットワークとその成立メカニズムが明らかにされました。この研究は、いくつかの大学との国際的な共同プロジェクトとして進められました。

 研究チームは、先進的な技術を駆使して、マウスの脳内での神経活動を詳細に追跡。特に、トラウマ体験前後の神経の動きを比較しました。結果、トラウマ体験後の脳内には新しい「連合回路」が形成されること、そして、その「ハブ」となる特定の神経細胞が存在することが明らかにったのです。
 これを「経験依存的ハブネットワーク」と名付け、トラウマ記憶の核心部分としての役割が確認されました。

 この発見は、トラウマやPTSDの治療に対する理解を一歩前進させるもの。将来的には、この「経験依存的ハブネットワーク」をターゲットとした新しい治療法の開発につながるかもしれません。

 私たちの心の中にある痛みや傷跡に関連する記憶。科学の力で、その謎を少しずつ解明し、より良い治療法を見つけ出す日も遠くないかもしれません。

https://www.nips.ac.jp/release/2023/10/post_519.html


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