香りと記憶の関係
匂いと記憶の関係は非常に強いものがあります。実は、脳から直接伸びる末梢神経は12対存在し、その中で最も先頭に位置するのが嗅神経で、記憶の形成と保存を担う海馬に直接つながっています。
そのため、匂いには視覚や聴覚などの他の感覚よりも、記憶と結びつきやすいという特徴があります。
例として、私の妻の経験を挙げると、彼女は小学生の時に転んで顔を持ち上げた際、目の前にヘビが現れました。
その瞬間の恐怖感と、偶然その場所に咲いていたキンモクセイの香りが、彼女の記憶の中で鮮明に結びついています。
その結果、今でもキンモクセイの香りを嗅ぐと、あの時の記憶がフラッシュバックすると言います。
これは、匂いが大脳辺縁系という感情を司る脳の部位にも直接つながっているためと考えられます。
このような匂いと記憶の結びつきは、人間の生存戦略としての役割も持っています。危険な経験とそれに伴う特定の匂いを結びつけて記憶することで、将来同じような状況に遭遇した時に迅速に反応できるようになるのです。
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