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日向坂4期生試論最終稿:似て非なる愛こそすべてだ:日向坂46四期生おもてなし会

はじめに

 本稿は2月11日と12日に行われた日向坂46四期生のおもてなし会の感想という名の感情置き場となっています。これを書き始めたのは2月13日ですけど、余韻がずっと抜けないし魂が幕張に居るような感覚があります。加入してから約半年、様々な経験を12人で乗り越えてきた四期生の皆にとっておもてなし会の光景がどう映ったのか、どんな感情だったのか、などはひとりひとりのブログなどから語られると思いますが、オタクサイドとして感じたものをこうして残しておくこともまた、今後四期生が活躍していく上でもその出発点となったこのイベントのことを刻み込む上では必要になると思っているのでこうしてアーカイブをしています。過去は未来の礎なので。ただ、半分以上は自分のためでもあります。この感情が薄れないうちに書き残してやるぞ的な。前置きはこれくらいにしつつ。それではどうぞ。

ROMANCE DAWN

 遡ること約5ヶ月前、9月21日にドロップされた日向坂四期生ティザームービー。壮大なBGMに海辺の岩場に立つ12人の人影だけが確認できるあの映像が出た時のワクワク感と、同時にこの12人が「日向坂」というチームに加わって行く未来の想像のつかなさが入り混じった感情になっていたことを思い出します。

 そこからここまでのあゆみは周知の通り、個人ティザー、ブルラズMV公開、個人ドキュメンタリーを経て各個人と四期生というチームの輪郭を捉えつつ、ツアー千秋楽でやひなくりへの出演でパフォーマンスを経験したり、ミーグリへの参加、ひなあい収録などを経て、ようやくファン全体にも四期生という存在が知られてきた期間だったと思います。そうした十分な助走期間を経て実施されたのがこの「おもてなし会」。四期生だけで挑む最初の大舞台。わたしはこの日を心待ちにしていました。日向坂になりたいと強く思った子たちがステージに立つ側としての第一歩を正式に踏み出す、そうした場に立ち会えることのなんと幸せなことか。

※↑はブルラズ、個人ドキュメンタリー、またシブツタパネルから四期生を描き出そうとしたものになります。試論最終稿である本稿の前段になりますのでよろしければこちらも。

 開催直前にはメンバーの半数超がコロナ罹患により足踏みせざるを得なかった中でも、なんとかギリギリのタイミングで全員が揃ったのは奇跡的でした。変則的な順番になったSHOWROOMリレーも全員が着実にバトンをつなぎ、SHOWROOMではメンバー同士のエピソードを披露したりポカを投げたり(?)しながら当日に向けての意気込みだったりを各々の語り口で伝えてくれる姿だけで既にサトミツだったのに、本番観たらどんな感情になってしまうんだろう、という。運良く開催された2日間とも幕張の地は快晴かつ春のような陽気で(前日は雨風で祝花とか大変なことになっていたけれど)、これから始まるおもてなし会を祝福しているかのような天気だったことをここに記録しておきたいと思います。

本編

 わたしは1日目:現地、2日目:配信だったので運良く両日とも観ることができました。なので1日目→2日目の間でのわたしが感じた変化点なども記して行ければと。ちなみに現地での座席はアリーナB3ブロックの後半、左右バランス良くステージが見える結構いいポジションだったのでは。

自己紹介

石塚瑶季
 たまき!ボンバイエ!たまき!ボンバイエ!で一気に会場のボルテージを上げてくれる頼もしいトップバッター。四期生の切り込み隊長。コールアンドレスポンスを自身の自己紹介の中で自然に組み込んでいたし、「たまきーーーーー!!」って名前を叫べる嬉しさは何ものにも代えがたいね…。
アクロバットや読売の応援歌を歌ったりとかもありましたけど、その元気印でハッピーなヴァイブスはまさしく「日向坂」であるなあと思いました。たまちゃんがいつでも先陣を切ってくれるから、続くメンバーも安心して臨めるよね、という意味でのファーストペンギン・石塚瑶季だなあと。

岸帆夏
 裸足で登場。からのドジっ子的な感じでコケてから、体が柔らかいという特技を活かして地面においてあるタオルを足で拾って涙を拭くという一連のシークエンスを披露。そしてコールアンドレスポンスでは「ダンゴム〜?」\シー!!/というおそらく史上初めての発声をしました。そこからダンゴムシのように体が柔らかいということでダンゴムシオマージュで丸まりながら起立するまでを披露。すでにめちゃくちゃおもしろい。最後は自分の推しメンタオルを掲げてからマイクを通さない生声での「よろしくおねがいしまーーーす!!!」。サンボマスターみたいなアツさがある。

小西夏菜実
 推しメンがかとしであることを披露するとともに、かとしのことが好きすぎて高2のときに等身大パネルを作ったことがあるとサラッと伝えられる。え?そしてかとしのモノマネをしながら自身のエピソードを交えて話してました。関西魂としてのサービス精神を感じました。エンターテイナーや。

清水理央
 まぶしい。みんなを照らすおひさまスマイルというキャッチコピーがピッタリ。自己紹介の後に「好きなことは歌うこと」と『永遠の白線』の一節を披露。SHOWROOMで白線を言いよどんでたのはここでやると決まってたからだったのか、と後々納得しました。まっすぐだね…!

正源司陽子
 「チョコ好き!バレンタイン生まれの正源司陽子です!」の自己紹介からスタート。フレッシュすぎる。「わたしって夏が好きじゃないですか?」はご存知か?という既に我々が知っている前提のスタンスなのが好きです。からの楽器を習っていたり吹奏楽部でフルートをやっていた関係で「ちょっとだけ絶対音感がある」と宣言。ちょっとと絶対って共存するんや。このパートでフルートで吹く曲は1日目がたしか『ってか』で2日目は『ドレミソラシド』でした。1日目で突っかかってしまった部分も、楽曲は違えど2日目ではミスなくきれいな音色を響かせていたのでさすがだ…となりました。

竹内希来里
 ひとりスタンドマイクの角度が愛おしい。登場して話しだした瞬間時空間をちょっぴりスローにさせる領域展開してる。「好評のきらりんフォント」での自己紹介はただただかわいい。最後は広島弁での意気込み。五体投地した。

平尾帆夏
 ひら砲をアリーナにもスタンドにも撃ってくれたけれど、専用のSEが付いてたの面白かったしその音量と爆発音から察するに全部更地になっているよきっと。「運動はちょっぴり苦手」という前フリからサインボール打ち込みチャレンジ(&投げ込みチャレンジ)は案の定の結果でニッコリ(ただ2日目の3球目は当たってちょっと前に飛んだので喜んでたのも可愛かった)。自己紹介のたびにどんどんレベルが上がっていくね…!

平岡海月
 みっちゃんの声、1/fのゆらぎみたいなの出てると思う。落ち着く。海のように広い心とでっかい夢を持ってやってきたみっちゃん。チャームポイントは大きな耳です!と。これから届く応援の声や声援を少しでも多く長く彼女の耳に届けたいなとなりましたね…。台湾にお友達が居る関係で中国語を少し勉強していたので、と中国語での挨拶(「海で一緒に遊ぼう?」の訳?)に対するコールアンドレスポンス。よい。

藤嶌果歩
 「のんびり北からかほりん降臨ー!」のキャッチフレーズがあまりにもハマっている。たまちゃんありがとうね。フワッとしているようで落ち着きがありクレバーなかほりん。パフォーマンスは自身がずっとやってきた書道で「わたしを漢字一文字で表すと」というお題で「羊」と見事な筆致で書き上げていました。お見事。「ジンギスカン食べて育って〜」って書いた直後に話してたのもよかった。

宮地すみれ
 特技であるバトントワリングを披露しながら「自分はしっかりしているねとよく言われるが実際は甘えん坊でくっつきたがり」であることだったり、加入に対しての思いだったりを語っていました。もう虜になっちゃうよね。

山下葉留花
 はるはる。テンション上げの時の動きが愛おしすぎる。身体揺れてる。特技としての三線(ひなあいでもやってたね!)を、NO WAR in the futureで披露。上手かったし今度こそ春日とコラボして島人ぬ宝が見たい(?)。葉っぱを留めた花のようになりたいと名前の由来に触れながらの決意表明。咲き誇ってくれ!!

渡辺莉奈
 最年少ながらもこの落ち着きはなんなんだ。名前順で渡辺なのでトリを務めることが多いけど、「渡辺莉奈にお任せあれ」と言われたらもう全権委任しちゃう。あと勘定奉行思い出しちゃったね?

伝統パフォーマンス/いきなり即興劇/ファッションショー

・伝統パフォーマンス
 ここ以降のパートはMCがそれぞれ2人ずつ置かれながら、進行と演目を受けてのコメントなどを回していました。伝統パフォーマンスゾーンはかつて先輩が披露していたドラムやカラーガード、フラッグやダンストラックを披露。冒頭のVTRではZeppツアー当時の映像が流れていて、まさしくエンターテインメント集団を目指すパフォーマンスをここで踏襲することが示されました。
 一つ一つ詳細にと言うよりは総論的な感想を書いていくと、まずドラムチームは1日目は固さの残る表情があれど2日目にはそれもほぐれていた印象でした。かほりんひらほーは常に「魅せる」ことを忘れずにいた感覚があり、また多少のミスが有ってもチーム全体でカバーする気概が見えました。カラーガード・フラッグチームはやはりバトンを経験していたこともあってかレジェ(宮地すみれさんのことです)の所作が段違いにうまくて、ただ他のメンバーも慣れない物体を扱うこのパフォーマンスにおいてもたくさん練習したんだろうな、というのが十二分に感じられる手さばきでビシっと決めていたのが良かったです。ちなみにカラーガードは東村さん直伝とのことでした。
 ダンストラックはフォーメーション移動も振りそのものも激しいストイックな作りで、終わってからも息を整えるのに時間がいるくらいのものだったけれど、思っていたよりも何段階もバキバキに踊れているのに素直に圧倒されました。その中でもダンスという意味で頭抜けているのは石塚清水宮地山下の4人だったかなと個人的には思います。のちのミニライブで世界観とか文脈、表情も込みでパフォーマンスしたときにはまた変わってきますが、純粋にダンススキルとフロアを上げるという意味においてはこの4人が特に強く印象に残りました。

・いきなり即興劇
 迷作(?)が数多く誕生したこのコーナー。エチュードのシチュエーションがハードすぎる。1日目組ではかほりなのやつが好きでした。先生と生徒役でちょっとワルな生徒を演じるりなし。2日目は岸宮地コンビが個人的にツボで好きで、なんで左ハンドルなんだよとか、岸くんの声のデカさとか。エチュードが終わる毎に平岡先生からの有り難い講評の時間があったのも含めてよかった。こにしは1日目でMCをやっていたから「逃げられると思ったのに〜」と嫌そうな表情をしてからのめちゃくちゃ準備運動の動きをやっててさすが関西魂…!となってました。でも何割かは本気で嫌そうだった気もする。こにし正源司の兵庫県姉妹はいい味出してました。野菜を切り刻むしょげに対しこにしが「…食戟…!?」ってぼそっと言ってたのがすき。1日目の感想でたしかたまちゃんが「これ5年後くらいに見返したいね」となっていてなんだか温かい気持ちになりました。46時間tvで乃木坂3期生がお見立て会の映像振り返ってゲラゲラ笑っている、みたいなあの空気感を想像しました。きっとたまちゃんを筆頭にわちゃわちゃうるさいのだろうなあと微笑ましくなりましたね。

・ファッションショー
 スタンド通路を練り歩いて1人ずつ登場。1日目のしょげは白のスカートにクリームイエローのラフなパーカーの装いで、ストリート系がめちゃくちゃ似合うんだなとビビッと来ました。そしてこにしは1日目と2日目でベースの赤のトラックトップは変えずに羽織るアイテムを黒のベスト→黒のレース地ワンピース(であってるか自信はないけど)と変えていて抜群におしゃれだった。はやくどこかの雑誌の専属になってほしい。ひらほーは清楚なワンピースで肩出しだった装いにドキッとするとともに、歩きながら流れるようにひら砲撃ちまくってたのがサイコーでした。そしてみっちゃんは黒のスウェット地トップスにスカーフを巻いて、茶色のショートパンツにスニーカー、手には手帳?本?を持っていて、これでメガネをかけられたらわたしの残機が100あっても足りなかった。大学の図書館でばったり会う同じゼミの子、みたいな存在しない記憶が一瞬で過りました(?)ハケ際のパフォーマンスもみんな個性が出ていて楽しかったです。

ミニライブ

Overture
 これまで何度も聴いてきたOvertureだったけれど、四期専用の煽りVをバックに流れるそれはこれまでのあゆみとここから始まるこれまでの約半年の集大成としてのパフォーマンスが始まる…!というワクワク感と、声を出して「日向坂!46!」と叫べること、その歓びが空間に満ちていて既に泣いてました。オーオーオーオーの部分はキーがわたしには高すぎてむずいんですけどそこは気持ちで。Overture大好きなんですよね、グループの象徴なので。その音楽に乗って登場することはそのグループを背負っているということで、純粋に歴史で言う所の「日向坂」以降をメインとしてそこに憧れて入ってきた後輩たちが「日向坂」としてステージに立つ上でのこの上ない後押しになるナンバーだと思ってます。ライブが始まるぞという気持ちをぐっと高めてくれます。

M1:ブルーベリー&ラズベリー
 イントロで2人ずつ振り返るところから既に泣いてました。これまでMV、代々木体育館、スタジオライブ、ひなくり、あとはシングルの配信ライブかな、場数としてはそれらを経てきたけれど、このおもてなし会という大一番に自分たちに書かれた楽曲を一番最初に持ってくるという構成。四期生ここにありを魅せつける1曲目だったと思います。配信で見ているとより感じるんですけど、カメラへの目線だったり一瞬一瞬の所作の細かさがより見えたので着実に何段階もブルラズがレベルアップしているのがわかりました。とくに後半でも触れるんですけど、宮地すみれさんの表現力が光りまくっている。センター清水およびフロントの宮地小西はその身長の高さという面もさることながら、ダンスに表情をつけるのがうまい3人だからこそ、このフロントが大正解であるなあと確信しました。要所では藤嶌正源司の表情が光っていたり。個人的に好きな振りはメンバーも言及していた一度円になってから広がって1列になるパートだったり、「ゴーゴーと過ぎていく回送電車 思い出になど出来ない」で電車に揺られてるところだったり、「ごめんねと言ったら終わった」で両手でかたどっているハートが緩やかに壊れていく様子だったりがあります。とにかくこの曲への思い入れが強すぎてたぶんこの先この時のブルラズを思い出しては涙を流すんだろうなあと思います。パフォーマンスとしての進化が確実に感じられ、かつ四期生としてのチームワークもにじみ出ていて最高でした。ずっと大事にしていってほしい楽曲です。

M2:ドレミソラシド
 正源司センター。解釈の一致!!!!!!!!となりました。ドキュメンタリーやのちのMCでも話していたけれど、彼女のアイドル像は「隣で手をとって一緒に」なので、指揮者としてメンバーに相対しみんなと視線を合わせながら自身もまた背中を押されるという姿は、かつてのレコ大で披露されたオーケストラバージョンのドレミソラシドの小坂さんを彷彿とさせました。ドキュメンタリー映画第1弾の中でも象徴的なシーンだったと思うんですが、
「(小坂さんって)めっちゃ日向坂のこと好きですよね」という監督の質問に対して笑顔で答えるあの。パフォーマンスとしてもあのチャールストンステップをキレイに12人全員が踏めているとことだとか、手の振りと円環のフォーメーション移動だったり、少しでもずれると全体の見栄えが崩れてしまいかねない部分も全員がしっかりこなせていて想像以上でした。もちろん細かい部分でのクオリティだとか場数的な意味での拙さは残っている、それでも楽曲の精神性を理解し咀嚼し四期生としてのドレミソラシドを表現していたところがわたしはたまらなく嬉しかったしグッと来たんですよね。

M3:キュン
 藤嶌センター。笑顔のきらめきがとまらないかほりん。キュンそのものはひなくりでも披露していた(全体で)けれど、フォーメーションも含めて形にしていた。かほりんの「可愛い」は今後語り継ぐレベルで良かった、一つのバリエーションを作り上げていたあれは。そして後半の「好きだよ」は正源司。囁きの爆イケげんちゃんで、たぶん瞬間のワレを使い分けている表現の持ち主だと思います。その後のMCで「先輩の楽曲をカバーさせていただいて」と言っていたけど、君たちはもう日向坂だし、四期生が解釈した「日向坂」をこのミニライブを通して感じることができるのが本当に嬉しい。日向坂としての1st〜4thをこのミニライブで経験させることでシン・日向坂を作り上げていくという意志も感じつつ、その原点であるキュンを大事にパフォーマンスしてくれたことが何よりも刺さりました。

M4:こんなに好きになっちゃっていいの?
 小西センター。1日目も2日目もイントロとセンターの人選でどよめきとオオオ…!という期待感が入り混じった声が客席から漏れていたけれど、それもある意味元楽曲のイメージ(および小坂さんのセンター性が際立つ)かあるからこそ、これをどう表現するんだ…?という感覚がありました。ただ、イントロでモニターに写ったこにしの目を観たらそんな杞憂なんて吹っ飛びましたし、彼女の特徴でもある目力は人をロックすることができるという意味での歌舞伎の見得やにらみにも似たものを持っているけれど、その目力に似合うだけのダンスや表情、感情の波の表現だったりを備えていることはそのパフォーマンスを見れば伝わってくるものがありました。
 そしてこれは本人もブログに書いていましたし2日間観ていた者としてもはっきりとわかったのは、曲中の表情の変化です。1日目はその世界観の中での表現を全うしているようにも見えましたが、2日目では終盤に笑顔を見せるという楽曲そのものへのストーリーに解釈を付与するようなパフォーマンスができていて、本質的な意味での表現者としての矜持とそこに至るまでの一つ一つの積み重ねを感じて、もっとこの人の表現を見てみたい、と強く思いましたね。

 あとはフロントが岸平尾のぽかちゃんずであるところもまた好きでした。岸くんはむき出しの魂であるがゆえの不器用さもあるけれど、その分楽曲と噛み合ったときにとんでもないブーストが掛かる瞬間があって、こん好きではその片鱗が垣間見えました。ひらほーは自己のアウトプットに対してかなり客観的に分析し俯瞰で見た上での魅せ方を意識しているのかな、と推察されるようなところを感じており、それ故に彼女の解釈がストレートにそのパフォーマンスに表れてくるので、色んな曲における彼女のパフォーマンスとその奥にある解釈の形を見てみたいなと思わされました。

M5:青春の馬
 清水センター。馬は小坂センター、DASADAライブに端を発する金村センター、というのがこれまでの形でしたけど、清水センターはこの2人に匹敵するくらい「青春の馬」としての精神性を体現したひとつの「解」になっていたと思います。名前順は石塚からだけど、四期生で最初に公開されたのはずーりおで、さらに研修合宿での課題曲として与えられたのもこの青春の馬で、というCheer upの精神。全身が千切れそうなぐらい大きな振りで懸命に踊る12人の姿がそこにありました。そして「君は絶対諦めるな何があったって」「夜が明けてゆく遠い地平線の彼方 世界はこんなに広かったと知った」の部分でおそらく涙を流していた平岡海月さん、岸くん。決して諦めなかった、食らいついていった結果今こうしてこの場に立っているんだという事実がもう涙腺に来てステージが滲んでました。青春の馬は我々に向けての応援歌であると同時に、演者としての自身にとっても鼓舞する楽曲であるなあと。

M6:JOYFUL LOVE
 宮地センター。ジョイラ前のMCの話はこの後の章で全員合わせて触れるとして、文脈(個人ドキュメンタリー)があったことを差し引いてもパフォーマンスそのもので凄みを感じたのがこのJOYFUL LOVEでした。バトンをやっていたことによる身体感覚の鋭さ=どこをどう動かしたらどう見えるか、というのを身体的に理解している部分であったり、曲線的な動きの流麗さ、緊張と緩和、表情の入り込み方などで一人際立っていました。マジで一番パフォが良かった。番組とかSHOWROOMとかミーグリとかで見せる甘えん坊な側面とかを見せたかと思えば、少し戻りますけど青春の馬でも戦う目をしていた宮地さんがいて、そこには文脈を超えた説得力があったなと思います。あと2日目のJOYFUL LOVEでは平尾さんも目に涙を浮かべていたのが印象的でした。

EN1:ブルーベリー&ラズベリー
 アンコールで再びのブルラズ。その前にTシャツとスカートのおなじみアンコールでの装いで登場した皆。2日目は舞台上で円陣しよう!という流れになり「マイクいる?」「外すか!」みたいな流れで生声での日向坂円陣を披露していたのが非常に日向坂イズムだった瞬間でした。
 パフォーマンスに置いてはM1での緊張は解け、とくに2日目はおもてなし会が終わる!!という部分においても感情すべてを置いてくるような全力投球で踊っていたのが目に焼き付いています。このブルラズ始まりブルラズ締めの流れもいい。四期生が立ち返るのはいつだってこのブルラズだし、帰ってくる場所としてこの楽曲が在ることの意味は大きいなと思います。

 総じて感じたこととしてはライブパフォーマンスが想像していたところよりもかなり高い水準で仕上げられていたこと、そして各楽曲に対しての解釈を四期生として持っていてそれをパフォーマンスという形で昇華していたこと、一人ひとりの表現についてもその特徴が垣間見えたこと、などが挙げられます。思い入れのある楽曲をアクトしているという部分を超えてくるくらい、パフォーマンスに説得させられたというか、四期生の力を感じた気がします。とても良かった。だからこそこんなにも余韻が長いんだと思います。

各メンバーについて

石塚瑶季
 自己紹介パートでも触れたけど、たまちゃんが切り込んでくれることで皆が一歩を踏み出しやすくなる部分は大いにあると思ってます。元気印担当はそれを自分の役割だと認識するあまりバーンアウトしないか少し心配になる面もあるけれど、その方向に進む前にはライバル(好敵手)としてのずーりおの存在だったり11人ぞれぞれとの関係性の中できっと皆が助けてくれると思います。きっと大丈夫。あなたの明るさに救われている人はたくさんいるんだよ、という。キレキレなダンスも弾けるような笑顔も、世界観入り込む系のパフォーマンスでもパフォーマンスそのものの楽しさについ笑みがこぼれちゃうところとかも好きだよたまちゃん!

岸帆夏
 あんな魂むき出しのMCを未だかつて見たことがない。不器用だけど一つ一つを諦めずに向き合って必ず乗り越えてくるきしほのの頑張りはちゃんと皆に伝わっているんだよ、だからこんなにも応援したいと思うんだよ、というのは伝えたいなあと。ドキュメンタリーでも青春の馬を花火のところでも練習していたし、それがさらに磨き上げられたのが今回の青春の馬だったし、象徴としてのずーりおセンターではあるけれど、きしほのは楽曲の主人公でありながら楽曲自身の表現を体現できる存在なんだと思います。「僕はここにいていいんだ」という。加入前までは人生に目標がなかったと語っていたところから、日向坂としての生きる目標を見出しているのが何よりうれしい。

小西夏菜実
 要所のMCでも落ち着いて涙を流すことなくブレずに話していましたけど、だからといって感情が表出していないわけではなくて、MCで他メンバーは話しているときは身体ごとそちらを向いて聴いているし、全体の方向性ややるべきことを常に認識しながら一歩俯瞰で状況を捉えコントロールしている節があると思っています。だからこそ、自身がセンターとなったこん好きに臨む際には自身の表現に対し真摯に向き合い、1日目のパフォーマンスは不完全燃焼だったと率直に吐露し、2日目を迎えるまでに鏡の前でどう見えるかを研究し「現時点で出せる最大限は出せた」とまで突き詰めるところ、そこがまた好きなところだなあと思いました。表現に真剣なところ。メンバー紹介時の自己紹介のシートで言霊について書いていたように「願い事は口に出さない主義」なのも好きです。ずーりおが真っ赤な炎ならこにしは青い炎といいますか、内に秘めた熱い感情や衝動を楽曲に、パフォーマンスに乗っけてくれるのが、わたしがこにしを好きな理由です。

清水理央
 センターだしMCとして期を代表することが多いずーりおだけど、当人は「失敗ばかり」だとか「アイドルとして全然」だとか等身大で悔しさや至らなさだったりを吐露していくところが非常に人間味にあふれている。それを秘していくというよりは明らかにしていくことにより、自らの核を強くしていくようなところがあるのかなと思います。ただ、パフォーマンスレベルは高いしキャプテンシーも持ち合わせている、そしてその明るさ自体も間違いなくストロングポイントですし、ドキュメンタリーでも「将来日向坂を四期生が引っ張っていくようになったときに先陣を切って引っ張っていきたい」と話していたように視座が高いので、いずれは日向坂を担う存在になっていくのだろうなと思っています。そうしたときに支えてくれる相棒の存在は不可欠で、そこは小西が1期生で言う所のきくとしのような関係性できっと補い合ってくれるはずだと思います。

正源司陽子
 お誕生日おめでとうございます。これはずっと言ってるんですけどしょげちゃんはヒロアカでいうところのデク=緑谷出久だと思っていて、ドキュメンタリーで「自分の素を出しすぎて嫌われた経験があるから自分の意見を言うことが怖い」と言っていた子が、日向坂という存在に出会いひとつひとつを乗り越えていき、「どんなアイドルになりたい?」というインタビュアーの問に対して「落ち込んだり辛いと思っている人の手をとって背中を押す、一緒に歩んでいくようなアイドルになりたい」というアイドル像をステージの上で宣言するのはもうヒーローのそれで、そのアイドル像はかつての自分をも救うものでもある、という。
 本日時点で16歳になったばかりということを忘れてしまうくらいにMCでの言葉は理路整然と、高い視座から放たれていましたが、同期の中では年相応の素の姿ももっと見せられていたらいいな、と思ったりしています。何かの「正解」を追い求めるのではなく、あり方そのものを正解にしていければいいなあと。そんな思いです。

竹内希来里
 ジョイラ前MCでは「私は人前で感情を出すのが得意ではないけれど、おもてなし会の期間では初めは辛い涙をたくさん流したけど最近は嬉しい涙がたくさん出るようになった」と話していたように、ここにもまた日向坂を通して、四期生の仲間たちとの関係性を通じて自己変革している人がいました。アイドル実践により拓かれる自己。またシャープなビジュアルからは予想できないほどホワッとしているし、その空気感は唯一無二で、存在そのものが武器になるタイプのタレント性を持っていると思います。パフォーマンスにおいても一瞬の表情だったりまとう空気感を操ることができるような光る部分が垣間見えているので、今後何段階も跳ねるんじゃないかと(みんなそうだけど)。個人的には、ずっとアイドルになりたくて念願叶ったという子もアツいけれど、わたしがよりぶち上がるのはアイドルを実践することにより自身がアイドルという活動に活路を見出し、ひいては人間的な変革を遂げていく様であり、そういった意味でのきらりんは後者にあたるのかなと思います。アイドルになり、他人を救うとともに自らも救われていく。そうした構図がここにはあります。

平尾帆夏
 ジョイラ前のMCでは美穂からお手紙をもらったことを明かしていました。アイドルになるきっかけをくれた美穂の存在に導かれ、「アイドル」ではなく「日向坂」になりたいと強く志した結果としていまここにいる一人でもあります。最初ひらほーのことは所謂アイドルとしての求められ方に果たしてアジャストできるのだろうか(そもそもそんな求められ方が正しいのか、とかはさておいても)、とドキュメンタリーだったりを観た後は少しばかり心配な面もありましたけど(あまりにもまっすぐなので)、ただいざ活動が始まってからひなあいだったりブログ、あるいはSHOWROOMだったりでも、自らの芯をブレさせることなく一つ一つの活動を楽しんでいる様子が伺えて、前述の心配なんて杞憂だったな、と今では思っています。ドキュメンタリーで「でもお母さん、帆夏にはやりたいことができました」と宣言していたように、これから続く日向坂としての人生はきっと明るいものになります。ピアノでお母様に向けてJOYFUL LOVEを弾いていた子が、幕張で2日間累計で1万5000人の前で同じ曲目を日向坂としてパフォーマンスしている、その光景が非常に美しかったです。2日目のJOYFUL LOVEで平尾さんが泣いていたのはそういった背景もあったのかな、と想像したりしました。

平岡海月

海にまであなたは本を連れてきて海を眺めるように愛する

歌集『音楽』P.68
岡野大嗣

 わたしは平岡さんの言葉が好きです。言葉ってその人を如実に表現するじゃないですか、そういった意味でのわたしにとっての平岡さんの言葉は海のように広く深く、風のように優しく、実体験であれ読書を通じたものであれ、そこで得た感情だったりを自分のフィルターで出力している、岸くんの魂むき出しともまた違った形での自分にしかできない表現をしている感覚があります。ブログでも、風景と自身の状況を客観的に捉えてリンクさせたかと思えば、ミクロな主観で感情を素直に吐露する、そうした視点の妙があります。
 平岡さんがアイドルを志したのはけやき坂2期オーデまで遡るというところはドキュメンタリーで明らかになっていましたけど、決して諦めることなくラストチャンスを掴み取ったという姿はまさしく青春の馬であるし、ジョイラ前MCでの「結果が出るまで時間がかかるかもしれないし、私を推してくださる方々になかなか良い結果を伝えられないかもしれないけど、それでも一生懸命本気で頑張り続けたいと思えるものに出会うことができました」という言葉には、アイドルという長年の夢を叶えたあなたを応援できることそれだけで幸せなことだし、これからも応援させてください、と思いますね。
 わたしは平岡さんがブログだったりSHOWROOMで紹介した書籍はなるべく読むようにしています。最近SHOWROOMで「かわいい本」として紹介していた『また、同じ夢を見ていた』(作:住野よる)は、主人公のちょっとませた女の子(口癖は「人生とは〜」)が様々な人に出会うことで成長していく物語で、その中で出会う人々の中に「物語」を書いている南さんという高校生が登場します。南さんとの出会いと交歓と別れを通じて、自分の人生という物語を創る側になっていく、その過程で他人と関わること、「幸せとは」について考えること、を獲得していくというさまは、アイドルに憧れた女の子がアイドルになって今度は物語を届ける側になった、という平岡さんの姿と重ねたりしながら読んでいました。これからぶつかる壁もたくさんあるでしょうし、道のりは長いかもしれません。そうしたときに、このおもてなし会の光景だったりその場で感じていたことに立ち返り、一歩一歩踏みしめて登っていってくれればなあと思います。天職だと言ってくれてありがとうだよ……

藤嶌果歩
 かなり現実主義者でクレバーな面があると思っていますかほりん。そして舞台度胸がある。ただドキュメンタリーやMCでも「これまで何かに全力で頑張ったことがない(意訳)」と話していたところから、自身がダンスが苦手であることを率直に吐露し、時にはだいぶネガティブになることもあったけれど、「できるって楽しい(ライブ前V)」だとか「ダンスを楽しいと思えた(ジョイラ前MC)」だとか、アイドルとしての活動に本気で向き合っているからこそ覚える感情を自覚し、日向坂になれてよかったと語っていたことが刺さっています。キュンセンターも見事だったなと。

宮地すみれ
 良い意味でいちばん想像よりも遥か高いところにいたなと感じたのが宮地さんでした。楽曲によってのカラーで相性は多少あれど、どの楽曲にもチューニングした上での80点以上は叩き出しているイメージが今回のミニライブで感じ取れましたし、上記でも触れましたけど身体の駆動がおそらく脳内イメージとほぼ同じものを出力できるような動きをしていて、故にひとつひとつの振りがその奥のイメージまでも喚起させるようなはたらきを持っている状態になっていました。すごい。ブルラズフロントの小西が剛なら宮地さんは柔、小西が直線とキレなら宮地さんは曲線と緩急、といった概念としてのシンメを形成しているなと思います。
 JOYFUL LOVEの光景を見て日向坂になりたいと決意した子が、日向坂としてJOYFUL LOVEをセンターでパフォーマンスしている。ステージから見た虹はどうだったかな。この楽曲を貫く優しさはもう四期生たちも獲得しているし、だからこそパフォーマンスにおいてそれが滲み出ていたと思います。存在としての美しさをそこに感じました。

山下葉留花
 はるはるもまた諦めなかった組。ダンスのパフォーマンスも四期の中では上位レベルの上手さがあり、表現以上に「どう楽しませるか」が常に頭にある状態でパフォーマンスをしている印象があります。どちらかというと年長組、かつ四期生内では「聖母」ポジションにいるので、メンバーからの信頼も厚く頼れるお姉さん(少し天然なところもある)だけれど、こうしたポジションの子は得てして相棒が必要になってくるかと思います。その相棒ポジションはひらほー(同い年)が担ってくれているので、きっと大丈夫。「負けたことがある、というのがいつか大きな財産になる」は彼女を見て思い出す言葉です。

渡辺莉奈
 ついこの間14歳になったばかりとは思えない落ち着きっぷりはすでに皆の知るところですけども、MCでも話していたようにおもてなし会の準備期間は大変だったしできなかったことが悔しくて涙を流してしまった、でもそれを四期生の皆は駆け寄って相談してくれたし、そこで人前では弱い自分を出さないようにしていた、隠していただけだと気づいたこと、「支えてもらうことの大切さを知った」という境地に既に至っているりなしにも驚きますし、四期生の関係値の深さをここで感じましたね…。「強がらなくていいんだよ、弱いところももっと見せていいんだよ」と言ったのは誰だろう、たまちゃんかな、とか。最年少が最年少らしくあれる場所にきっと四期生もなっていくでしょうし、騒がしくも温かい四期生が作り出す空間はまさしく先輩たちが醸し出すそれともう同じになっているんだよ、と思っています。

おわりに

 四期生加入の報からはや5ヶ月と少し、こんなに強く思い入れを持ちステージ上での情動に心動かされるなんて、たぶん3月の東京ドーム直後あたりの自分には想像もし得なかっただろうなと思います。このおもてなし会を終えてまず思ったことは、四期生が真に日向坂として始動したんだ、この12人は紛れもなく日向坂の遺伝子を持っていてその魂は脈々と受け継がれているんだ、ということでした。「似てるような全然似てない僕たち」はブルラズの一節で、たぶん演出意図としても衣装や髪型、ティザーの秒数に至るまで均等にしていたと思うんですが、最初は見えにくかった個々人の個性が、今こうしておもてなし会を経てこんなにもハッキリと光っているというのがわかるかと思います。同じ船に乗った仲間としてこれからの長い旅もどうかよろしくね、という気持ちです。未来を感じるということ以上に嬉しいことはない。四期生の皆さん、お疲れさまでした。またひな誕祭で会おうな!!!!!!!!!

おまけ

・お見送り会は1日目アリーナだったので名前順前半組(石塚岸小西清水正源司竹内)でした。こにしタオルを折りたたんで小さくアピールしたらずーりおがこにしにタオルを知らせてくれて反応いただけました、嬉しかった…。みんなは爆速で流れていくので手を振ったり指ハートしたり。すぐそこに居るという事実がわたしにとってどれほど大きかったか。

・今回初めて個人宛に祝花を出しました。やり方も何もわからなかったので有識者にアドバイスを頂いたりしながらなんとか形になったのが嬉しかったです。祝花ゾーンも今まではあんまり注目してなかったけど、FFの方が出していたりだとかそのクリエイティブが面白かったりとか、みたいな楽しみも見出すことができました。

以下当日にこぼれ落ちたツイートたちを抜粋して貼っていきます


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