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読者感想文 『沈黙』遠藤周作

※ネタバレ注意


あらすじ

時は、キリスト教が禁止とされた鎖国時代の日本。
稀に見る神学的才能と不屈の精神をもった教父が棄教したという衝撃的なニュースから物語は始まる。
苛烈な拷問は仕方のない事と私は思ったが若い司祭には信じられなかったようだ。
なぜならその教父は恩師でもあったからだ。

三人の司祭は日本に忍び込み、日本にキリスト教を広めると同時に恩師の姿を探す。
見つかれば命の保証はない。
それでも行く先々には健気に信仰を続ける貧しい農民の信徒の姿が。

なぜ神は彼らを救わなかったのか。
そんな疑問をダイレクトにぶつける作品。
キリスト教や宗教の理解度によって読み方も違ってくる作品

なぜ神は彼らを救い賜わないのか

そんな疑問をダイレクトにぶつける作品。
拷問の描写や人の心の機微がとことん描写されている中で、見ている私も思わずそんなこと思っていた。
しかもこれは史実に基づく話である。
神など居ないのではないかと考えてしまう。

実体のない死骸

教父が日本で広まったキリスト教をそう評している。
そして、彼らのヤハウェではなく日本的に変化神(大日)によって死んでいると。
個人的にはすごい刺さった言葉だった。
そう吐き捨てる教父の恐ろしさもさることながら、変質してしまっても熱狂的に信じ続けて安易に仲間意識を持ってしまう怖さが私個人的には怖かった。

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