村上春樹さん、ずっと同じこと書いてる?
村上春樹さんの本って読んだことありますか?
そこには村上さんが追い求めている何かを繰り返すことへの美学がある気がするのです。
読み始めると止まれない長編小説の数々
”あああおもしろい、止まれない、続きが気になりすぎて眠れない”
こんなに夢中になれる本はなかなかないぞぉ!!というような気持にさせてくれる村上春樹さんの長編小説。何を読んでもハズレない。おもしろい。全部読みたい、制覇したい。村上春樹さんのメッセージを理解したい。読み続ければ理解できるんじゃないか…なんて熱い気持ちになってしまいます。
今では「まだ読んだことがない分厚い村上春樹作品」を発見すると、読まずにはいられません。
※夢浮橋が読んだ本一覧(R3.1.2現在)
興味のある長編小説から読んでいます…
・風の歌を聴け、1973年のピンボール
・羊をめぐる冒険
・ダンス・ダンス・ダンス
・世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
・ノルウェイの森
・1Q84
・ねじまき鳥クロニクル
・海辺のカフカ
・騎士団長殺し
・羊男のクリスマス
・スプートニクの恋人
・国境の南、太陽の西
※ 風の歌を聴け、1973年のピンボール、羊をめぐる冒険、ダンス・ダンス・ダンスの4つをわたしはまとめて羊四部作と捉えています。
「ああ、またか」同じテーマが繰り返される村上春樹さんの世界観。
村上春樹さんの作品を読み進めていくと、「ああ、またか」「これってもしかして前に読んだあの小説と一緒の展開なのでは…?」というような気持ちになってきます。
”村上春樹あるあるbot”というTwitterアカウントを見たことがありますか?
「やれやれ」「おそらく、たぶん」というような、村上春樹作品にありがちな物憂げな主人公が言いそうな言葉が1時間に1度つぶやかれるbotです。村上さんの小説を読んだことがある人なら必ず、「わかる~」と共感してしまうと思います。
村上さんの小説は、登場人物たちの会話や小説の構造、出てくる小物、主人公の性格、登場人物の立ち位置などがほとんど”決まりきった世界観”の中で描かれ、ストーリーが進んでいきます。
物語の大筋は、物憂げで、何かに失望している主人公が、何かを求めるために現実世界と架空の世界を行き来する、というような構造が繰り返されています。
主人公の趣味や暮らしぶりは、だいたい、熱いブラックコーヒーと、焼きたてのサンド・ウィッチを食べ、文豪の小説を読み、クラシック音楽やオペラ、ジャズを聴き、おしゃれな車に乗る。みたいな感じ。お洒落で優雅なんだけど、何かを喪失していて、心が空っぽだから、その失われたものを探しに行こうと奮闘する。
全く別の物語、違う登場人物、違う舞台設定、な、はずなのに、他の作品との共通点があるような気がする、いや似すぎている。と思わずにはいられないのです。
独断と偏見で登場人物、似ているものをまとめてみよう
独断と偏見による、思考整理のための分類です。異論は受け付けているので教えてください。
○不思議美少女枠
特徴
・口数が少なかったり、髪の毛がサラサラしていたり、色白だったりすることが多い
・ブルージーンズや薄手のニット、紺色の服を着ている
・おっぱいが小さい
・10代の美しい少女
例
・深田絵里子(1Q84)
・ユキ(ダンス・ダンス・ダンス)
・絵の中の少女(海辺のカフカ)
・秋川まりえ(騎士団長殺し)
・直子(ノルウェイの森)
・図書館の少女(世界の終り)
○悪の根源枠
特徴
・抽象的で、主人公を追い詰めているもの
・怖い
例
・リトル・ピープル(1Q84)
・やみくろ(ハードボイルド・ワンダーランド)
・白いスバル・フォレスターの男(騎士団長殺し)
・ジョニー・ウォーカーからナカタさんに取り憑いていた、ぬるぬるした白い「邪悪なもの」(海辺のカフカ)
・ねじまき鳥(ねじまき鳥クロニクル)
・羊(羊をめぐる冒険)
○空っぽ主人公枠
特徴
・料理上手、コーヒーや紅茶、読書、ジャズ、車、音楽が好きなことが多い
・何かを喪失し、喪失感を抱えながら探している
・30代の男性であることが多い
・直感で動いている
例
・川奈天吾(1Q84)
・岡田亨(ねじまき鳥クロニクル)
・田村カフカ(海辺のカフカ)
・ワタナベトオル(ノルウェイの森)
・僕(羊四部作)
・私(ハードボイルド・ワンダーランド)
・私(騎士団長殺し)
○主人公の愛人枠
特徴
・えっちなお姉さん
・濃密な時間を主人公と過ごしているが恋愛関係には無い
例
・電話の女(ねじまき鳥クロニクル)
・さくら(海辺のカフカ)
・絵画教室の生徒の女(騎士団長殺し)
・安田恭子(1Q84)
・誰とでも寝る女の子(羊をめぐる冒険)
○現実と架空世界を行き来するツール
特徴
暗くて狭くて出られない
例
・井戸(ノルウェイの森)
・祠(騎士団長殺し)
・いるかホテルのエレベーター(羊四部作)
・研究所の地下室(ハードボイルド・ワンダーランド)
・入り口の石(海辺のカフカ)
・高速道路の非常通路(1Q84)
村上春樹さんの描く主人公あるある
あるある、言わせてくれ〜
・湯気の立つブラックコーヒーを飲みがち
漆黒の夜空のような黒々としたやつ飲んでるよね〜苦そ〜!
・長ーいおしっこしがち
緊張する場面の途中、尿意を感じないまま突っ走った後、落ち着く場面に転換して、長ーいおしっこして、ドカ食いしてぐうぐう寝てる主人公、お疲れ様です...
・米よりパン派
登場人物が米食べてるとこ見たことない。
・車の車種、クラシック音楽の楽章まで教えてくれる
言われてもわからないんだよな〜、知りたくなって、調べたくなります。
同じことを繰り返す物語を通して、村上さんは結局何が言いたいのか
分かりません。考えてもわかりません。でもあきらめたくないのです。だから教えてください。わかる方...
村上さんの小説を読んでいると、必ず「またかよ~!」って言ってしまうのですが、その「またかよ~」に安心や心地よさすら覚えるようになってきました。まるでにゃんこスターの「なわとび」のネタのようです。
※にゃんこスターの縄跳びネタで、大塚愛のさくらんぼ」のサビで繰り広げられるあの不思議な動きに、最初は、驚くのだけれど、二回目からはサビが来るたびに不思議な動きが待ち遠しくなってしまう気持ちになってしまいます。
でもその繰り返して執筆する、ということを通して、村上春樹さん自身も、”喪失したものを取り戻す”というテーマを極めていきたいのではないかな、なんて思います。そして、村上さんが目指すその境地に私もついていきたい!なんて気持ちの読者がたくさんいるのではないでしょうか。
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