茉野いおた

編集者、コピーライターを経て、物語を書き始めました。日経doorsでショートストーリー「踊り場の私たち」を連載。 https://twitter.com/choualamano https://www.instagram.com/choualamano/

茉野いおた

編集者、コピーライターを経て、物語を書き始めました。日経doorsでショートストーリー「踊り場の私たち」を連載。 https://twitter.com/choualamano https://www.instagram.com/choualamano/

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    • セックスちゃん|連載小説【完結】

      いい年して、セックスが大好きな史恵は、普通の恋愛・結婚についていけない。出会い系サイトで出会った相手は「セックスが嫌いだ」と言ってきて……。好きなものを好きと言って何が悪い、とスカッとした気持ちになる、硬派ビッチストーリー。

    • その他の小説・読み物

      単発の読み物などを掲載します。

    • 真夏のアンダルシアでバスケットをすることになり死にかけた話

      祥子はある思いを抱えて、真夏のアンダルシアに旅行に行きます。ところがそこは、想像を絶する暑さで……。読むだけで熱中症になる、救済の物語です。

    • for others|連載小説

      「他人のために生きて、何がいけないって言うの?」 思いやりをもって、いつも自分を犠牲にして生きてきた「他者チュー」の美香は、そのせいで彼に振られてしまう。 「自分を変えたい」と願う美香に救いの手を伸ばしてきてくれたのは、「超・自己チュー」の女社長・加穂子。 ふがいない自分を変えようとする美香だが、加穂子が突きつけたのは究極の選択だった……。 恋と仕事に悩めるアラサー女子の、ライフチェンジング奮闘ストーリー。

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    はじめまして。

    はじめまして、茉野いおたです。 noteをご覧いただき、ありがとうございます。 大学を卒業した後、出版社で編集者、広告会社でプランナー・コピーライターをしていました。 その後独立して、2017年から、小説や脚本を書いています。 まだまだ駆け出しですが、読み終えると気持ちがちょっとだけ救われる、そんな物語を書いていければと思っています。 好きな作家は長嶋有、西加奈子、好きな漫画は「町田くんの世界」、「ハイキュー!!」です。 どうぞよろしくお願いします!

      • 読み切り小説「はたち」

         タカナシミユキは、物心ついたころから、首がない。首だけでなく、頭も顔もない。  生まれたときにはすでになかったし、ミユキの両親も首というほどの首もないので、本人は何とも思わず、特別不便を感じることもないかった。もちろん、帽子が似合わない、身長が周りの子に比べて低くなりがちなど、つまらないことはいくつもあったが、実際、首から上がなくてもまあ生きてはいけるものだ。  ところが、ことは首の話なので、周りがほっておかない。なぜ話せる、どうやって食べるのか、動くな、走るな、と、あ

        • 踊り場の私たち、連載してます!

          日経ドアーズで連載中の「踊り場の私たち」、好評連載中です。 先日初めて、感想もいただきました。本当にうれしいです!!

          • 「踊り場の私たち」、第2回公開されました。

            月1回連載の、ショートストーリー「踊り場の私たち」。公開となりました。 今回のテーマは、不倫です。 妻帯者奥との恋愛に悩む主人公(24歳、生花店勤務)のもとへ、思わぬ来訪者が。。。 今回もイラスト、かわいいです。ぜひご覧ください! ーー やめなきゃいけない。それはわかってる。 でも、どうやったらやめられるのか。それが分からない。 「もう会うのはよそう」という、ただもうそれだけのLINEが、さっきからずっと送れないでいる。私はあきらめて、カウンターの下にスマホをしま

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            日経doorsでの連載、始まりました!

            お知らせです。 20代女性向けのサイト日経doorsで、連載小説をスタートしました。これがメディアデビュー作品となります。 個人的に、かわいくてかわいくてしかたありません。どうぞ、どうぞ、よろしくお願いいたします!!! タイトルは、「踊り場の私たち」。 人生には、しばしば「踊り場」のようなタイミングが訪れます。  がむしゃらに階段を登ってきた足をしばし止め、惑い、揺れる時期。  「このまま登っていいのかな」  「今までの道のりは正しかったのかな」  そんなときに、横で

            短編小説「for others 私の私は誰のため」第11話〈完結〉

            「ただいまー」 帰宅すると、母と妹が並んでテレビを見ていた。背中だけでなく、振り返った横顔も似てきている。 「おかえりー。お姉ちゃん、どうだった、怪しいセミナー?」 すぐに声をかけてきたところを見ると、妹なりに興味があるのかもしれない。 「うん、面白かったよ」 スプリングコートをイスに掛け、買ってきたたこ焼きをテーブルに置く。 「またたこ焼き?」 「うん、たこ焼き」 「美香、ありがとう。由佳、いやなら食べなくていいのよ」と母がお茶を入れてくれる。 ひとり2個

            短編小説「for others 私の私は誰のため」第10話

            雨が降りだしたのか、しゃーっという音が窓の外から聞こえる。加穂子は「そこのタブレット、見てみて」と言った。目線はあくまで台の上だ。 私は震える手で台の縁に置いてあったタブレットをつかむ。 そこには志保に向けたLINEの画面が映し出されていて、「あなたは来月から来なくていいです。代わりに田所さんに入ってもらいます。今までおつかれさまでした」と書かれている。 「そのLINEさ、志保ちゃんに送ってくれる? 送信ボタンだけ押してくれればいい。ほら、いま私、手が離せないでしょ?」

            短編小説「for others 私の私は誰のため」第9話

            「私はね、美香ちゃん、今の夫とどうしても結婚したかった」 ゴンッ。加穂子は台の一番長い対角線の先にある6番に向けて手玉を発射した。すーーっ。図ったようにポケットに落ちる。 「出会ったのは20代後半のころ。顔も中身もすごくタイプで、なにがなんでもこの人と結婚したいと思った。でも相手は7歳年下でまだまだ遊びたいみたいで、私がどれだけ言っても、決してうんとは言ってくれなかった」 「先生、その時って、まだ」 「うん。結婚してたよ。でも、彼と出会っちゃったら、前の夫のことはどう

            短編小説「for others 私の私は誰のため」第8話

            「私の番ね」 加穂子はキューにチョークをキュッキュッとこすりつけると、しなやかな身さばきで台に向かった。台上には3番から9番までのボールが残っている。 「ビリヤードで絶対に負けないコツってなにかわかる?」 「いいえ」 「それはね、一度握った手番は絶対に相手に渡さないこと」 加穂子は背中を向けたまま私にそう言うと、手玉を強くついた。 ガンッ。驚くほど激しい音を立てて飛び出したボールは、真正面から3番に当たり、そのまま3番は飛び出しそうな勢いでポケットに入った。ゴンッ

            短編小説「for others 私の私は誰のため」第7話

            「じゃあ、そういうことで。今日はおつかれさま!」 「お先に失礼します」 すべての参加者を見送り、志保とも入り口で別れた加穂子は、肩や首を回しながらこちらへやってきた。慌ててイスから立ち上がる。 「お待たせしちゃってごめんね」 「いえ、おつかれさまでした。で、先生、あのー、お話というのは?」 「美香ちゃんって、ビリヤードできる?」 「は?」 「私、昔から好きでね。社員にわがまま言って置かせてもらってるの。中古でちょっとガタが来てるんだけどね。できる? やりながら話

            短編小説「for others 私の私は誰のため」第6話

            「みなさん、今日は、『わがまま力で思い通りの人生を手に入れる』出版記念セミナーにようこそお越しくださいました」 モニターの前に立って挨拶する川崎加穂子の印象をひと言で言うなら、「かわいらしい人」だった。 本に載っている写真はいかにも切れ者のシャープな美人というイメージだったけど、実物は思ったよりも小柄で表情も柔和だ。童顔もあいまって年齢よりずっと若く見える。 自信を持ってゆっくりとはっきりと話す様子は女子アナウンサーのようで、声がとても聞き取りやすい。 「なにをやるの

            短編小説「for others 私の私は誰のため」第5話

            セミナー会場は、川崎加穂子が経営するウーマンパワー社のオフィスだった。 本郷とお茶の水の間に位置する8階建てビルの5階に、定刻よりもずいぶん早く着いてしまった。一番乗りで気恥ずかしい。 コンクリートの天井がむき出しで、ところどころに大きな植物が配された流行りのカフェのようなオフィスで、中央には無垢材の大きなテーブルが置かれ、そろいではない品のいいスツールの数々がセンスを感じさせる。 窓からは光がたっぷり差し込み、アジアンテイストのいい香りもする。片隅にはビリヤード台まで

            短編小説「for others 私の私は誰のため」第4話

            【あなたのなりたい自分を明確にイメージすることが大事です。ゴールが見えない人生はスタートしようがありません。あなたは10年後、5年後、1年後、明日、どうなっていたいですか】 相撲中継に夢中の母の横で、私は本を読みふける。 リビングの扉が開き、由佳が入ってくる。 「ただいまー。あれ、お姉ちゃん。早かったね。デートは?」 「あ、うん、早く終わって」 と、由佳は手元から本をぱっと取り上げる。 「なにこれ? わがまま力? 思い通りの人生? どうしたのお姉ちゃん? だいじょ

            短編小説「for others 私の私は誰のため」第3話

            お店を出て、行く当てもなくエスカレーターに乗る。吹き抜けの大時計が示す時刻は、まだ2時を回ったばかりだ。エスカレーターでも貴志くんの言葉が頭を回る。 「美香の気持ちが見えない」 「美香はどうしたいの?」 「他の人のことはいいから、美香は?」 レストランフロアのひとつ下の階には書店になっていて、私は夢遊病患者のようにそこへ吸い込まれる。 確かに私は昔から自分の意見を言うのが苦手だ。いつでもまず人のことを考えてしまう。親切で優しいと言われたこともあるけれど、同じぐらいお

            短編小説「for others 私の私は誰のため」第2話

            改札から直結した駅ビルに入っているパスタ屋は、お昼時なのに空いていた。人気のお店がひしめくおしゃれ街だから、駅ビルは意外と盲点なのかもしれない。 安定した味のパスタランチを食べ終え、貴志君はコーヒーを、私はミルクティーを、それぞれ一口すすった。それを合図のように貴志くんが体をもぞもぞさせ始めたので、私も心の中でだけ身構える。 「美香」 「なに?」 「突然だけど」 「うん」 「俺、ほかに好きな子ができた」 ティーカップを取り落としかけ、がしゃんという音に隣の家族連

            短編小説「for others 私の私は誰のため」第1話

            「いただきまーす」 3方向から同時に爪楊枝が伸びる。一番乗りでさらっていくのは妹で、次いで母、私の順だ。 たこ焼きはなんともいってもこの丸さが魅力だ。大きさも手頃でかわいいし、行儀よく並んで舟上に鎮座しているさまもいじらしい。 肝心のタコがグイグイと前に出てこないところも好感が持てるし、ひとつずつ確実に減っていく喪失感も胸に迫る。 似たような味でも、お好み焼きやもんじゃ焼きとは、情緒のレベルが断然違う。たこ焼きは、夜、家族と一緒に食べたい食べ物だ。 8個のたこ焼きを